スギ花粉症およびダニアレルギーに対する新しい免疫療法の開発

文献情報

文献番号
200729021A
報告書区分
総括
研究課題名
スギ花粉症およびダニアレルギーに対する新しい免疫療法の開発
課題番号
H18-免疫-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
阪口 雅弘(麻布大学 獣医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 辻本 元(東京大学大学院農学生命科学研究科)
  • 小埜和久(広島大学大学院先端物質科学研究科)
  • 高井敏朗(順天堂大学大学院医学研究科)
  • 内藤誠之郎(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 斎藤三郎(東京慈恵会医科大学医学部)
  • 岡本美孝(千葉大学大学院医学研究院)
  • 大久保公裕(日本医科大学耳鼻咽喉科学)
  • 中山俊憲(千葉大学大学院医学研究院)
  • 安枝浩(国立病院機構 相模原病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
54,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本においてスギ花粉症とダニを原因アレルゲンとした気管支喘息は重要なアレルギーである。本研究はこれらのアレルギーに対する新しい免疫療法を開発することを目的する。すなわち、CpGワクチン、DNAワクチン、乳酸菌・麹菌ワクチン、組換体ワクチン、経皮ワクチンの5つのワクチン開発を行い、その有効性と安全性を検討する。また、ヒノキアレルゲンの必要性についても検討する。さらに、舌下減感作療法の治療に用いた臨床研究を行い、その有効性とメカニズムの解析も行う。
研究方法
実験的にスギ花粉アレルゲンを感作した犬を用いて、CpG-ODN結合Cry j 1の犬における安全性と有用性を検討した。ダニアレルゲン遺伝子DNAワクチンとプルラン結合ワクチンを犬に投与し、その効果と安全性を検討した。スギアレルゲン発現乳酸菌をマウスに投与してその効果を調べた。ダニアレルゲンのプロテアーゼ活性に変異を導入し活性を消失させた組換変異体を作製しマウスにおけるアレルギー炎症の改善を調べた。オボアルブミンを抗原とした経皮ワクチンを検討した。スギとヒノキアレルゲンの共通エピトープを認識するマウスを用いて交叉性の研究を行った。花粉症患者に対して減感作抗原を舌下投与した二重盲検比較試験を行なった。また、マイクロアレイ解析も行なった。
結果と考察
犬においてCpGワクチンの安全性が高いことが判った。DNAワクチンは犬においてTh1型の免疫応答が誘導し、プルラン結合ワクチンは犬において安全性が高いことが判った。スギ花粉アレルゲン発現乳酸菌はマウスのアレルギー症状を緩和した。プロテアーゼ活性を除去したDer f 1変異組換体ワクチンはアレルギー性炎症を抑制し、減感作抗原として有望であると考えられた。経皮ワクチンは免疫法として十分免疫効果を上げることが判った。これらのワクチンの検討結果は人の臨床応用への貴重なデーターとなった。また、スギとヒノキのT細胞レベルでの交叉性が認められた。IL2産生に関しては花粉飛散後において舌下ワクチン投与群で無投与群に較べ有意に低値であることからアナジーが誘導されている可能性が示唆された。 
結論
現在のところ、各ワクチンの進展の経過については差が認められるが、いずれのワクチンも有効性と安全性に優れていることが判ってきた。今後、実用化に向けて検討していく。また、舌下ワクチンの安全性を確認することができた。今後、臨床効果の検討と治療のメカニズムに結びつくバイオマーカーの検索を行う。

公開日・更新日

公開日
2008-04-04
更新日
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