関節リウマチの重症化防止のための臨床的早期診断法と早期重症化診断法に関する研究

文献情報

文献番号
200729019A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチの重症化防止のための臨床的早期診断法と早期重症化診断法に関する研究
課題番号
H18-免疫-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
村澤 章(新潟県立リウマチセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 和彦(東京女子医科大学東医療センター)
  • 中野 正明(新潟大学医学部)
  • 松田 剛正(鹿児島赤十字病院 リウマチ・膠原病センター)
  • 衛藤 義人(国立病院機構名古屋医療センター)
  • 宮原 寿明(国立病院機構九州医療センター)
  • 高木 理彰(山形大学医学部)
  • 羽生 忠正(長岡赤十字病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
患者の負担軽減と安全性を確保し、医療経済性を配慮した医療が求められ中で、RAの重症化を防止するために、従来の早期診断基準を改訂し一般臨床医でも広く使用できるような臨床的早期診断法を検討する。骨破壊、内科合併症などの重症化因子を早期に捉え、早期重症化診断法を作成し、高価であるが効果も期待される薬物療法を必要な患者に選択的に使用できる指針を確立する。
研究方法
臨床的早期診断法では、昨年度は従来の臨床的関節所見を利用する診断法に足の関節を加えた改良CT法を作成し、本年度は抗CCP抗体を昨年の改良CT法に組み込む新CT法が検討された。重症化診断法については、骨関節破壊、腎障害、呼吸器合併症などが検討された。
結果と考察
新CT法は不確定診断症例に対しても感度・特異度の高い新しい早期RA診断法として有用であることが示された。全身の骨破壊の進行は非荷重関節、荷重関節とも、5~6年にわたりlinear に進行するパターンが認められた。さらに関節破壊が高度に進行する群は、2年後、10年後の疾患活動性評価のDAS28-CRP(3)が高値で、カットオフ値は3~3.2であった。また骨破壊進行度・程度は薬物介入によって変化することも解った。従来のMTXを中心にした治療では、発症半年以内に開始した群も、半年後に開始した群でも骨破壊に差がなかったが、生物学的製剤の導入によって関節破壊抑制が認められ、改善例はEULAR 診断基準でgood responder であることが判明した。これらのデーターより骨破壊の進行を抑制するためには早期の炎症の鎮静化をめざした選択的薬物投与が推奨された。
腎機能障害の早期診断のためにシスタチンC(CyC)の有用性が認められた。内科的合併症のうち、呼吸器合併症例が圧倒的に多く、更にそのうち呼吸器感染症は66%を占め、関節リウマチにおける呼吸器合併症特に呼吸器感染症への対応が改めて認識された。
結論
今後抗サイトカイン療法などの普及により、CRP値で表現される炎症がコントロールされると、骨関節破壊は抑制される反面、免疫抑制によって発生する感染症のコントロールが重要な課題となる。最終年度は新CT法の検証と、骨関節破壊(DAS28)・腎障害(CyC)・呼吸器合併症(ImmuKnowTM)・感染症(PCT;プロカルシトニン)などの早期診断による選択的薬物療法の提言を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2008-07-11
更新日
-