文献情報
文献番号
200729017A
報告書区分
総括
研究課題名
アレルギー性疾患の発症・進展・重症化の予防に関する研究
課題番号
H18-免疫-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部)
研究分担者(所属機関)
- 宇理須 厚雄(藤田保健衛生大学小児科)
- 近藤 直実(岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学)
- 伊藤 節子(同志社女子大学生活科学部)
- 荒川 浩一(群馬大学大学院医学系研究科小児生体防御学)
- 下条 直樹(千葉大学大学院医学研究院小児病態学小児科)
- 大嶋 勇成(福井大学医学部附属病院小児科)
- 安枝 浩(国立病院機構相模原病院臨床研究センター診断・治療薬開発研究室)
- 穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所代謝生化学部第2室)
- 玉利 真由美(理化学研究所遺伝子多型研究センターアレルギー体質関連遺伝子研究チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国のアレルギー性疾患の発症は乳児期に食物アレルギー(FA)の関与する乳児アトピー性皮膚炎(AD)で発症し気管支喘息(BA)、アレルギー性鼻炎と進展する。アレルギー性疾患の発症・進展・重症化の要因を疾患ごとに明らかにした上で効率的な予防法の開発を行う。
研究方法
相模原市で5年目を迎えた出生コホート研究において各アレルギー性疾患の有症率調査を解析した。コホート研究から得られた情報を元に相模原病院にてFAの関与する乳児AD児の前向きに喘息発症をエンドポイントに検討を行っている。食物負荷試験の普及と侵襲の低いFA診断法を検討し予防・寛解のメカニズムも探った。BAとRSVの細気管支炎の遺伝子多型の検討が行われた。
結果と考察
2002年に4ヶ月健診を受け調査の同意を得た5,247名から始まる相模原コホート調査で5歳児の33.8%が何らかのアレルギー性疾患を有し、乳児期のFA/ADを危険因子として3歳時に続き5歳時調査でBA、スギ花粉症の罹患率が急増し5歳児のスギ花粉症の罹患率は10.7%に達していた。相模原病院通院中のBA発症がハイリスクであるFAの関与する乳児ADの51名を呼吸器ウイルス (RSV, Rhino)感染、ダニ抗原をモニターした前向き研究において喘鳴有り群で有意に室内塵のダニ抗原が高い結果であった。呼吸器ウイルスの検査は121件中RSVが陽性3件、Rhino陽性58件であった。食物負荷試験ネットワークの累計症例数は1856症例に達し陽性率49%であった。加熱・調理による鶏卵抗原の変性について検知法により抗原解析データが示された。我が国の小児BA(TGFβ1プロモーター、TGFβ2プロモーター、LTC4S)と成人BAの遺伝子多型(TLR6遺伝子)、RSV細気管支炎の遺伝子多型(GSTP1 Ile105Val多型、RANTES C(-28)G多型)も明らかにされた。FAの遺伝子多型解析症例は331名の即時型患者のサンプリングが完了し最終年度に解析結果を明らかにする予定である。
結論
FA、BAに関する疫学、診断、治療、予防に関する研究成果が得られ、“食物アレルギーの診療の手引き”の改訂を最終年度に予定している。BAやRSVによる細気管支炎の遺伝子多型も明らかになり、アトピー素因が背景にある喘鳴の出現の機序にダニ抗原が関与していることが示された。
公開日・更新日
公開日
2008-04-10
更新日
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