気管支喘息難治・重症化の病因・病態の解明に関する研究

文献情報

文献番号
200729016A
報告書区分
総括
研究課題名
気管支喘息難治・重症化の病因・病態の解明に関する研究
課題番号
H18-免疫-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
森 晶夫(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 清(独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター )
  • 庄司 俊輔(独立行政法人国立病院機構福岡病院)
  • 相澤 久道(久留米大学医学部第一内科)
  • 田中 宏幸(岐阜薬科大学薬理学教室)
  • 藤澤 隆夫(独立行政法人国立病院機構三重病院)
  • 烏帽子田 彰(広島大学医学部)
  • 中村 裕之(金沢大学医学部)
  • 大田 健(帝京大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重症、難治性喘息は、軽症ないし中等症の喘息とは発病初期から異なる病態を有する。非アトピー型の慢性炎症、ステロイド抵抗性、リモデリングの要因がとりわけ重要と考えられる。このタイプの喘息は吸入ステロイド薬の効果が乏しいこと、QOLの障害、社会的、医療的コストが著しいことが明らかになっており、ステロイドに替わる有力な治療法、予防法の開発をめざして、生物学的要因の解明と、新規介入法の検討を行っている。
研究方法
非アトピーの喘息機序を明らかにするため、IgE抗体非依存性、T細胞依存性に生じる気管支平滑筋収縮メカニズムを解析した。ヒト培養気管支平滑筋細胞ゲルを利用したin vitroモデルを構築し、T細胞上清の収縮活性を検出した。また、T細胞クローン移入モデルにより、in vivoで、T細胞活性化に続く気道抵抗上昇を検出した。好酸球、平滑筋細胞の新たな活性化(TSLP)、制御(PTEN)メカニズムを解析した。喘息モデルでは、アジュバントフリーモデルを解析した。早期診断に向け、重症度別に臨床指標を登録し、炎症指標、器質化指標の観点からの分類と、難治、重症化に関連する遺伝子多型の検出を試みた。一次、二次予防介入の観点から、非晶鉄、活性炭を含む除去フィルターを開発した。
結果と考察
costimulatory signal制御によるT細胞レベルのステロイド感受性回復が可能なこと、非アトピー機序による気道閉塞メカニズムの解明に向け、至適な実験系が確立できたこと、EBCは気道炎症指標として有用なこと、COPD合併重症喘息に対する長時間作用性抗コリン薬投与が有用なこと、アレルギー性鼻炎合併患者では、鼻炎の治療が有用なこと、好中球プロテアーゼが好酸球性炎症を増悪すること、TSLPが好酸球サイトカイン産生を誘導すること、気管支平滑筋細胞がフィブロネクチンを認識し遊走すること、DEPのアジュバント効果、PTENが好酸球主要機能を負に制御すること、MCP-1遺伝子多型が喘息重症化に関与すること、水道水および大気中にアレルギー反応促進化学物質が存在し、新開発フィルターにより除去できること、等が明らかになった。
結論
本研究班によって抗原レベル、免疫細胞レベル、好酸球レベル、リモデリング、遺伝子多型の諸要因が解析された結果、ステロイド感受性回復、リモデリング回復による難治性喘息の治療法、新規診断、予防法開発に向け新たな知見が得られた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-04
更新日
-