リウマチ頚椎病変の治療に関するエビデンス形成のための体制確立と技術開発

文献情報

文献番号
200729010A
報告書区分
総括
研究課題名
リウマチ頚椎病変の治療に関するエビデンス形成のための体制確立と技術開発
課題番号
H17-免疫-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
米延 策雄(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 藤村 祥一(独立行政法人国立病院機構相模原病院)
  • 石井 祐信(独立行政法人国立病院機構西多賀病院)
  • 鐙 邦芳(北海道大学保健管理センター)
  • 永田 見生(久留米大学医学部)
  • 松永 俊二(今給黎総合病院)
  • 清水 敬親(群馬脊椎脊髄病センター)
  • 小田 剛紀(独立行政法人労働者福祉機構大阪労災病院)
  • 秋田 鐘弼(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター )
  • 星地 亜都司(東京大学医学部)
  • 松本 守雄(慶應義塾大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ頚椎病変に対する統合的評価方法の策定と安全確実な外科治療を支援するシステムの開発、副次的に単独施設ではエビデンスレベルの高い回答が困難な課題に対し、短期間に回答を出しうる研究システムの構築、リウマチ診療に関わる非外科医への指標の提示が目的である。
研究方法
1.光学式三次元位置計測システムを用いて新たな頚椎・上肢運動機能評価法を確立する。2.患者満足度を含む新たな治療成績評価法を策定する。3.従来の臨床指標、画像診断指標を再検証し、リウマチ診療に関わる非外科医にむけ頚椎病変に対する外科治療指標を提示する。4.安全性を高める手術支援器具・システムを開発・応用する。5.統計学的裏づけに基づく手術治療成績の導出を行う。6.研究会を発足させ、nation wideな研究システムを構築する。
結果と考察
1.確立させた光学式三次元位置計測システムを用いた頚椎・上肢運動機能評価法を用い、障害のある肘関節を他の関節がどの程度まで代償可能かを明らかにした。2.従来の欠点を補い、QOL評価・患者側評価を織り込んだ治療成績評価法試案を過去の手術例に応用し、妥当性を評価した。3.診断指標としてリウマチ上位頚椎病変での脊髄症発症と関連する指標の検証を進め、リウマチ診療医向けのスクリーニングとしての基準値を提示した。4.手術支援に関し、術中CT撮影とナビゲーションシステムを連結させレジストレーション不要のナビゲーション手術を試み、その有用性と現状の問題点を示した。5.手術治療成績分析では、単独施設の研究として、環軸関節亜脱臼に対する後方固定術の中・長期成績、軸椎下病変に対する再建手術の成績を明らかにした。多施設研究として、データベースを利用し、生命予後についてCoxの比例ハザードモデルを用いた統計解析を行い、有意に生命予後が悪いことに関連する因子が、年齢60歳以上、女性、機能障害分類でclass Ⅲ、Ⅳ群、軸椎垂直性亜脱臼や軸椎下亜脱臼を有する症例であることを明らかにした。6.nation wideなシステム構築として、関心のある脊椎脊髄病医に呼びかけ、本年度もリウマチ脊椎病変の研究会を開催した。
結論
リウマチ頚椎病変治療のエビデンス形成のために、機能評価法、治療成績評価法、手術支援、治療成績分析、nation wideなシステム構築について、体制作り、技術開発、研究を進めた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-28
更新日
-

文献情報

文献番号
200729010B
報告書区分
総合
研究課題名
リウマチ頚椎病変の治療に関するエビデンス形成のための体制確立と技術開発
課題番号
H17-免疫-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
米延 策雄(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 藤村 祥一(独立行政法人国立病院機構相模原病院)
  • 石井 祐信(独立行政法人国立病院機構西多賀病院)
  • 鐙 邦芳(北海道大学保健管理センター)
  • 永田 見生(久留米大学医学部)
  • 松永 俊二(今給黎総合病院)
  • 清水 敬親(群馬脊椎脊髄病センター)
  • 小田 剛紀(独立行政法人労働者福祉機構大阪労災病院)
  • 秋田 鐘弼(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター )
  • 星地 亜都司(東京大学医学部)
  • 松本 守雄(慶應義塾大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ頚椎病変に対する統合的評価方法の策定と安全確実な外科治療を支援するシステムの開発、副次的に単独施設ではエビデンスレベルの高い回答が困難な課題に対し、短期間に回答を出しうる研究システムの構築、リウマチ診療に関わる非外科医への指標の提示が目的である。
研究方法
1.光学式三次元位置計測システムを用いて新たな頚椎・上肢運動機能評価法を確立する。2.患者満足度を含む新たな治療成績評価法を策定する。3.従来の臨床指標、画像診断指標を再検証し、リウマチ診療医にむけ、頚椎病変に対する外科治療指標を提示する。4.安全性を高める手術支援器具・システムを開発・応用する。5.統計学的裏づけに基づく手術治療成績の導出を行う。6.研究会を発足させ、nation wideな研究システムを構築する。
結果と考察
1.光学式三次元位置計測システムで動作中の頚椎・肩・肘関節の可動域を再現性高く測定をする方法を確立し、障害のある関節を他の関節がどの程度代償可能かを明らかにした。2.従来の欠点を補いQOL評価、患者側評価を織り込んだ治療成績評価法試案を作成、過去の手術例、保存治療例に応用し妥当性を評価した。3.診断指標では、リウマチ上位頚椎病変で脊髄症発症と関連する指標の再検証を行い、リウマチ診療医向けのスクリーニングとしての基準値を提示した。また、上位頚椎病変に伴う頚部痛と画像所見の関連性を評価した。4.手術支援については、既存のコンピュータ支援システムや術中CT撮影を併用し、関節リウマチ頚椎手術の現状を検証した。5.治療成績分析では、単独施設で、後頭頚椎再建術、環軸椎固定術、インストゥルメンテーションを使用した全般の手術成績などを評価するとともに、新しい環軸椎固定術や軸椎下固定術の成績を提示した。多施設研究として、340例からなるデータベースを利用し、脊髄症状重症例や後頭骨からの広範囲にわたる頚椎固定術の成績を検証し、統計学者の介入による樹形モデルを用いた成績に影響する因子の解析、生命予後の解析を実施した。6.nation wideなシステム構築として、リウマチ脊椎病変の研究会を各年度1回ずつ計3回開催した。
結論
リウマチ頚椎病変治療のエビデンス形成のために、機能評価法、治療成績評価法、手術支援、治療成績分析、nation wideなシステム構築について、体制作り、技術開発、研究を進めた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200729010C

成果

専門的・学術的観点からの成果
関節リウマチ頚椎手術に対する本研究は、評価方法から診断指標、手術支援、治療成績の解析にわたり多面的に取り組んでいる点で類をみないものである。また、エビデンスを念頭におくと従来からの評価方法では得られる結果に限界があり、本研究を通じ評価方法に対する新たな方向性を示すことができた。また複雑な背景を有する患者群に対して、統計学者の介入を得た外科治療解析がなされた点も特記すべきである。さらに、術中CT撮影の併用を含めた最新のナビゲーションシステムや新しい手術方法による治療の成果を示した点も意義がある。
臨床的観点からの成果
関節リウマチ頚椎手術に対する現状の手術成績を評価し、その成績の概要と問題点を示した。特に症例数を確保することが難しい重症例に対し、多施設研究で現状の成績を明らかにし、従来から認識されているより改善していることを示した点は、こうした症例に対し今後さらに頚椎手術を推進する基礎データとなるものである。さらに最新のナビゲーションシステムや新しい手術方法を本領域に導入・推進することにもつながり、リウマチ頚椎病変治療の研究システムの構築として、班構成員の枠をこえて議論する場を持つことができた点も成果である。
ガイドライン等の開発
本研究課題申請の背景としては、関節リウマチ診療ガイドライン策定を行った際に、外科治療、特に頚椎病変の外科治療に関するエビデンスが極めて少ないことがある。本研究の成果は診療ガイドラインの改定に直接に資するとともに、構築された研究体制はさらなるエビデンスを形成すると考えられる。
その他行政的観点からの成果
本研究をベースとした有効な治療計画の立案・追及は、患者にとっての治療の有効性増大、リウマチ診療に関わる非外科医に対する認識向上、医療経済にとっての効率性増加が可能となる。また、今回の研究により構築された多施設研究のネットワークは、短時日での結果獲得にこだわらない中期的・長期的な前向き研究の基盤である。リウマチ頚椎病変治療の研究システム(ネットワーク)の構築として、nation wideな基盤作りに寄与した点は、社会的・行政的に意義がある。
その他のインパクト
班構成員の枠をこえてリウマチ頚椎病変の外科治療について議論するnation wideなシステム(ネットワーク)の構築として、関心のある脊椎脊髄病医に広く呼びかけ、リウマチ脊椎病変の研究会を平成18年1月21日、11月25日、平成19年10月6日の3回にわたり開催した。マスコミにとりあげられたことなく、公開シンポジウムは実施していない。

発表件数

原著論文(和文)
63件
原著論文(英文等)
7件
その他論文(和文)
25件
その他論文(英文等)
16件
学会発表(国内学会)
128件
学会発表(国際学会等)
26件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件
リウマチ脊椎病変の研究会の3回開催(平成18年1月21日、平成18年11月25日、平成19年10月6日)

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
小田剛紀、米延策雄、藤村祥一、他
関節リウマチ頚椎手術の全国調査
臨床整形外科 , 40 (1) , 27-32  (2005)
原著論文2
松永俊二、林協司、米和徳、他
自然経過の観点からみた関節リウマチ上位頸椎病変に対する手術の影響
臨床整形外科 , 40 (4) , 387-392  (2005)
原著論文3
松本守雄、戸山芳昭
管理不良関節リウマチのコントロール-手術療法からのアプローチ 頚椎病変に対する手術療法
Modern Physician , 25 (6) , 709-711  (2005)
原著論文4
辺見俊一、正富隆
光学式三次元位置計測システムを用いた脊椎上肢協同運動の動作解析
日本肘関節学会雑誌 , 12 (2) , 159-160  (2005)
原著論文5
Mtatsumoto T, Kuga Y, Seichi A, et al
Bone Resorption of the Facet Joint in Rheumatoid Arthritis as a Predictor of Lower Cervical Myelopathy.
Modern Rheumatol , 15 (5) , 352-357  (2005)
原著論文6
Matsumoto M, Chiba K, Nakamura M, et al
Impact of Interlaminar Graft Materials on the Fusion Status in Atlantoaxial Transarticular Screw Fixation.
J Neurosurg (Spine) , 2 (1) , 23-26  (2005)
原著論文7
小田剛紀、米延策雄
RA頚椎病変(全国調査を含めて)
日本脊椎脊髄病学会雑誌 , 17 (2) , 708-718  (2006)
原著論文8
辺見俊一、正富隆
光学式三次元位置計測システムを用いた頚椎上肢共同運動の動作解析~第2報~
日本肘関節学会雑誌 , 13 (2) , 179-180  (2006)
原著論文9
松永俊二、小宮節郎、林協司、他
関節リウマチ患者における頚椎手術の新しい成績評価基準に関する研究
九州リウマチ , 25 (2) , 136-139  (2006)
原著論文10
鐙邦芳、伊東学、織田格
環椎外側塊スクリュー
整形・災害外科 , 49 (4) , 361-369  (2006)
原著論文11
Henmi S, Yonenbu K, Masatomi T, et al
A Biomechanical Study of Activities of Daily Living Using Neck and Upper Limbs with an Optical Three-Dimensional Motion Analysis System.
Modern Rheumatology , 16 (5) , 289-293  (2006)
原著論文12
Matsumoto M, Nojiri K, Chiba K, et al
Open-Door Laminoplasty for Cervical Myelopathy Resulting from Adjacent-Segment Disease in Patients with Previous Anterior Cervical Decompression and Fusion.
Spine , 31 (12) , 1332-1337  (2006)
原著論文13
小圷知明、石井祐信、中條淳子、他
関節リウマチにおける上位頸椎病変に対する後頭骨頸椎間固定術の治療成績
臨床整形外科 , 42 (4) , 365-369  (2007)
原著論文14
松永俊二、今給黎尚典、古賀公明、他
RA頸椎病変の生命予後と機能予後
整形・災害外科 , 50 (7) , 737-741  (2007)
原著論文15
小田剛紀、米延策雄
RA頚椎病変の外科治療の現状
整形・災害外科 , 50 (7) , 743-750  (2007)
原著論文16
星地亜都司
RA頸椎病変に対する外科治療のタイミング
整形・災害外科 , 50 (7) , 751-756  (2007)
原著論文17
石井賢、松本守雄、戸山芳昭
RA頚椎病変に対する術式選択-長期経過を踏まえて
整形・災害外科 , 50 (7) , 757-762  (2007)
原著論文18
清水敬親、笛木敬介、井野正剛他
RA頚椎病変の外科的治療-術前・術後管理-
整形・災害外科 , 50 (7) , 763-771  (2007)
原著論文19
鐙邦芳
RA頚椎病変の外科治療―インストゥルメンテーション手術の合併症とその対策
整形・災害外科 , 50 (7) , 773-785  (2007)
原著論文20
松永俊二、小宮節郎
高齢関節リウマチ患者の頚椎病変に対する外科的治療
脊椎脊髄ジャーナル , 20 (5) , 629-633  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-