関節リウマチ及び線維筋痛症の寛解導入を目的とした新規医薬品の導入・開発及び評価に関する包括的研究

文献情報

文献番号
200729008A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチ及び線維筋痛症の寛解導入を目的とした新規医薬品の導入・開発及び評価に関する包括的研究
課題番号
H17-免疫-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
西岡 久寿樹(聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岩倉 洋一郎(東京大学医科学研究所ヒト疾患モデル研究センター)
  • 妻木 範行(大阪大学大学院医学系研究科機関制御外科学)
  • 千葉 一裕(慶応大学医学部)
  • 中島 利博(聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター)
  • 田中 栄(東京大学医学部)
  • 吉田 勝美(聖マリアンナ医科大学)
  • 川合 眞一(東邦大学医学部)
  • 高柳 広(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 木村 友厚(富山大学医学部)
  • 植田 弘師(長崎大学医学部)
  • 浦野 房三(長野県厚生連篠ノ井病院)
  • 松本 美富士(藤田保健衛生大学七栗サナトリウム)
  • 行岡 正雄(医療法人行岡医学研究会行岡病院)
  • 長田 賢一(聖マリアンナ医科大学)
  • 横田 俊平(横浜市立大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
41,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチの最近の治療薬剤の開発とその臨床応用は完全寛解の導入、早期関節リウマチにおいては、実現可能な到達目標となっている。これまでの実績に基づき、関節リウマチをその柱にして、リウマチ性疾患の制圧のためには、①滑膜増殖の完全抑制 ②軟骨・骨破壊の予防とその制御 ③線維筋痛症などの非炎症性慢性疼痛の制御によるQ.O.L.の向上 ④マクロ経済学的観点より、医薬品等の適正価格と患者の傷病負担軽減の4つを研究の軸とした。
研究方法
① ゲノム、プロテオーム等の新しい技術の導入による滑膜増殖および炎症性骨破壊の分子レベルでの全容の解明。
② 病態形成に関わる炎症性分子、骨関節破壊分子、疼痛惹起分子をゲノム医科学の手段を用いて解析し、重症化予防戦略の確立。
③ 線維筋痛症を対象とした慢性疼痛の制御によるQ.O.L.の評価。
④ ①による疾病抑圧効果による疾病負担の軽減の評価。
結果と考察
① 関節リウマチの発症及び重症化に関する種々の酵素や阻害剤の機序と制御を解明し、カテプシンKなどの酵素阻害剤が臨床応用に入ろうとしている。
② 骨関節破壊の抑制に対してBMPを中心とした標的分子が同定され、また、T細胞と骨破壊の結合メカニズムの全容が解明された。
③ 線維筋痛症の病因モデル、病態調査が大きく進歩した。
④ 筋骨格系の痛みによるQ.O.L.の損失が計量的に解明された。
結論
① 関節リウマチの基礎病変ともいえる滑膜増殖と炎症性骨破壊の全容を分子レベルでほぼ解明することができた。
② アポトーシス導入による滑膜を標的とする治療薬(ARG098)の臨床試験が開始された。
③ 骨免疫学研究の進歩により、骨破壊のメカニズムの全容が解明された。
④ 医療効果およびマクロ経済の双方から検討し、包括的なリウマチ医療体系の整備のための一定の方向性が検討された。
⑤ 線維筋痛症のガイドラインの作成準備が進んでいる。
⑥ プレガバリンに対する臨床評価の検討が展開されている。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200729008B
報告書区分
総合
研究課題名
関節リウマチ及び線維筋痛症の寛解導入を目的とした新規医薬品の導入・開発及び評価に関する包括的研究
課題番号
H17-免疫-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
西岡 久寿樹(聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岩倉 洋一郎(東京大学医科学研究所ヒト疾患モデル研究センター)
  • 妻木 範行(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 千葉 一裕(慶応大学医学部)
  • 中島 利博(聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター)
  • 田中 栄(東京大学医学部)
  • 吉田 勝美(聖マリアンナ医科大学)
  • 川合 眞一(東邦大学医学部)
  • 高柳 広(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 木村 友厚(富山大学医学部)
  • 植田 弘師(長崎大学医学部)
  • 浦野 房三(長野県厚生連篠ノ井病院リウマチ膠原病センター)
  • 松本 美富士(藤田保健衛星大学七栗サナトリウム)
  • 行岡 正雄(医療法人行岡医学研究会行岡病院)
  • 長田賢一(聖マリアンナ医科大学)
  • 横田 俊平(横浜市立大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチの最近の治療薬剤の開発とその臨床応用は完全寛解の導入であり、早期関節リウマチにおいては、実現可能な到達目標となっている。これまでの実績に基づき、関節リウマチをその柱にして、リウマチ性疾患の制圧のためには、①増殖滑膜細胞のアポトーシス導入による炎症の完全抑制 ②軟骨・骨破壊の予防とその制御 ③線維筋痛症などの非炎症性慢性疼痛の制御によるQ.O.L.の向上 ④マクロ経済学的観点より、医薬品等の適正価格と患者の傷病負担軽減の4つを研究の軸とした。
研究方法
① ゲノム、プロテオーム等の新しい技術の導入による滑膜増殖および炎症性骨破壊の分子レベルでの全容の解明をした。
② 病態形成に関わる炎症性分子、骨関節破壊分子、疼痛惹起分子をゲノム医科学の手段を用いて解析し、種々の薬剤による重症化予防戦略の確立をした。
③ 線維筋痛症を対象とした慢性疼痛の制御によるQ.O.L.の評価。
④ ①による疾病抑圧効果による疾病負担の軽減の評価。
結果と考察
① 関節リウマチの発症及び重症化に関する種々の酵素や阻害剤の機序と制御を解明し、カテプシンKなどの酵素阻害剤が臨床応用に入ろうとしている。
② 骨関節破壊の抑制に対してBMPを中心とした標的分子が同定され、また、T細胞と骨破壊の結合メカニズムの全容が解明された。
③ 線維筋痛症の病因モデル、病態調査が大きく進歩した。
④ 筋骨格系の痛みによるQ.O.L.の損失が計量的に解明された。
結論
① これまで萌芽的研究で明らかにされ、また新規酵素阻害剤による治療薬の開発も進展をみせ、新規分子が画期的な抗リウマチ剤、特に日欧で同時に第II相試験が行われた。
② インフリキシマブとエタネルセプトの臨床研究が進み、本邦における適正使用のために、低用量のメソトレキサートの併用に関する有用性が明らかにされた。
③ 骨・関節疾患のQ.O.L.に及ぼす影響の疾病負担が解明され、医療経済に与える影響が検討された。
④ 線維筋痛症の疫学研究及び実態調査の研究が進展し、患者受け入れのための医療機関のネットワーク化及びガイドラインの作成が進んでいる。
⑤ 本症の疼痛誘導物質と考えられる物質が同定され、下行性疼痛抑制経路の制御に関与していることが明らかにされた。一方、プレガバリンに対する臨床評価の検討が展開されている。

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200729008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
①関節リウマチの発症及び重症化に関する酵素や阻害剤の機序と制御を解明した。
②アポトーシス導入による関節炎の制御薬(ARG098)が欧州および日本で同時に開始され、カテプシンKなどの酵素阻害剤も臨床応用に入ろうとしている。
③骨関節破壊の抑制に対してBMPを中心とした標的分子が同定され、T細胞と骨破壊の結合メカニズムの全容が解明された。
④線維筋痛症の病因モデル、病態調査が大きく進歩し、日本初の病態評価モデルJ-FIQが開始された。
⑤筋骨格系の痛みのQOLの損失が計量的に解明された。
臨床的観点からの成果
①新規酵素阻害剤による治療薬の開発も進展をみせ、新規抗リウマチ剤の第II相試験が開始された。
②インフリキシマブとエタネルセプトの臨床研究が進み、本邦における適正使用のために、低用量のメソトレキサートの併用に関する有用性が明らかにされた。
③線維筋痛症の疫学研究及び実態調査の研究が進展し、患者受け入れのための医療機関のネットワーク化及びガイドラインの作成が進んでいる。
④プレガバリンに対する臨床評価の検討が展開されている。
ガイドライン等の開発
①線維筋痛症のガイドラインの作成準備が日本リウマチ財団の協力にて進んでいる。
②同上の医療従事者向けの教育研修用のDVD e-learnが作成された。

その他行政的観点からの成果
①線維筋痛症治療薬としてFDAで始めてプレガバリンの有効性について「第15回未承認薬使用問題検討会議」において研究代表者より臨床研究を陳述した。
②医薬品機構にて抗Fas導入剤ARG098が承認され治療薬の第II相試験が開始された。
その他のインパクト
①平成17年度、18年度ともに公開シンポジウムを開催。
②平成19年初旬アナウンサー自殺の報道に伴いテレビ各社の報道にて線維筋痛症が取り上げられ、研究代表者がその病態について各社の取材を受け説明した。
③線維筋痛症研究会を発足、平成19年9月23日24日灘尾ホール(東京)にて第1回線維筋痛症研究会を開催。
④平成19年8月5日付朝日新聞医療面、10月21日付日本経済新聞医療面に線維筋痛症についての記事が取り上げられた。
⑤平成20年2月1日付日本経済新聞に高柳グループの研究が取り上げられた。

発表件数

原著論文(和文)
52件
原著論文(英文等)
203件
その他論文(和文)
243件
その他論文(英文等)
20件
学会発表(国内学会)
457件
学会発表(国際学会等)
112件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
4件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kohno S, Endo H, Hashimoto A, Hayashi I, et al.
Inhibition of skin sclerosis by 15deoxy Delta(12,14)-prostaglandin J(2) and retrovirally transfected prostaglandin D synthase in a mouse model of bleomycin-induced scleroderma.
Biomed Pharmacother , 60 (1) , 18-25  (2006)
原著論文2
Murakami Y, Akahoshi T, Hayashi I, Endo H, et al.
Induction of triggering receptor expressed on myeloid cells 1 in murine resident peritoneal macrophages by monosodium urate monohydrate crystals.
Arthritis Rheum , 54 (2) , 455-462  (2006)
原著論文3
Kitahara K, Kawai S.
Cyclosporine and tacrolimus for the treatment of rheumatoid arthritis.
Curr Opin Rheumatol , 19 (3) , 238-245  (2007)
原著論文4
Asagiri, M., Hirai, T., Kunigami, T., Kamano, S., et al.
Cathepsin K-Dependent Toll-like Receptor 9 Signaling Revealed in Experimental Arthritis.
Science , 319 , 624-627  (2008)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-