関節リウマチ患者を対象とした多施設共同データベースの構築と疫学研究システムの確立に関する研究

文献情報

文献番号
200729006A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチ患者を対象とした多施設共同データベースの構築と疫学研究システムの確立に関する研究
課題番号
H17-免疫-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
當間 重人(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 衛藤 義人(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 安田 正之(独立行政法人国立病院機構別府医療センター)
  • 千葉 実行(独立行政法人国立病院機構盛岡病院)
  • 松井 利浩(独立行政法人国立病院機構相模原病院)
  • 金子 敦史(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 佐伯 行彦(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター)
  • 税所 幸一郎(独立行政法人国立病院機構都城病院)
  • 吉永 泰彦(財団法人倉敷成人病センター)
  • 森 俊仁(独立行政法人国立病院機構相模原病院)
  • 関 敦仁(国立成育医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、本邦における関節リウマチ(RA)患者に関する種々の情報を収集解析し、その現状や問題点を明らかにすることにある。
研究方法
データの収集管理は独立行政法人国立病院機構相模原病院に設置されている統合サーバーを用いている。参加施設は2007年12月現在30施設である。
結果と考察
1)本邦RA患者も高齢化を向かえている。
2)RA疾患活動性を経年的横断的に観測した結果、CRP・DAS28の改善が確認された。
3)4年間縦断的に観測しえた1599人のRA患者において、DAS28・疼痛関節数・腫脹関節数・患者総合VAS・医師総合VAS・血沈・CRPの改善が確認された。
4)新規承認薬(インフリキシマブ、エタネルセプト、タクロリムス)の投与症例が急増している。
5)RA関連整形外科手術頻度は、2002年度7.60%(手術件数/総患者数)から2006年度7.11%と減少していた。
6)人工関節予後調査では、年間約1%に合併症が生じていた。
7)RA患者における結核の標準化罹病率(SIR)は、全RA患者2.96(1.55?4.36)であった。各市販後調査から算出したインフリキシマブ、エタネルセプトの結核SIRは各々21.5と10.8であり、リスクが増加していた。
8)2005-2006年度(9406患者年)中172症例が結核以外の感染症で入院していた。リスクとして抽出できた薬剤はステロイド薬であった。
9)RAにおける悪性疾患全般のSIRはほぼ1.0であったが、悪性リンパ腫の発生率は高く、消化器系癌が少ないことが示された。
10)本邦におけるRA患者の間質性肺炎(ニューモシシティス肺炎を含む)発生状況を多施設共同研究として示すことができた。
11)死因としては感染症が最多であったが、生命予後(死亡時平均年齢)の改善とともに死因に占める悪性疾患の増加が認められた。
12)WEB上で展開できる共同臨床研究支援システムを構築することができた。現在6つの前向き共同臨床研究が進行中である。
結論
2002年度から開始継続されている本疫学研究も6年目を終了することになった。この間、全国規模の多施設共同RAデータベースが途切れることなく構築されてきたことは大きな成果である。このデータベースは本邦におけるRAの現状を把握することができるデータベースであり、今後の臨床研究の基礎データとしても極めて有用な情報となるはずである。

公開日・更新日

公開日
2008-04-28
更新日
-

文献情報

文献番号
200729006B
報告書区分
総合
研究課題名
関節リウマチ患者を対象とした多施設共同データベースの構築と疫学研究システムの確立に関する研究
課題番号
H17-免疫-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
當間 重人(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 衛藤義人(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 安田正之(独立行政法人国立病院機構別府医療センター)
  • 千葉実行(独立行政法人国立病院機構盛岡病院)
  • 松井利浩(独立行政法人国立病院機構相模原病院)
  • 金子敦史(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 佐伯行彦(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター)
  • 税所幸一郎(独立行政法人国立病院機構都城病院)
  • 吉永泰彦(財団法人倉敷成人病センター)
  • 森 俊仁(独立行政法人国立病院機構相模原病院)
  • 関 敦仁(国立成育医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、本邦における関節リウマチ(RA)患者に関する種々の情報を収集解析し、その現状や問題点を明らかにすることにある。
研究方法
データの収集管理は独立行政法人国立病院機構相模原病院に設置されている統合サーバーを用いている。参加施設は2007年12月現在30施設である。
結果と考察
1)本邦RA患者も高齢化を向かえている。
2)経年的横断的に観測した結果、CRP・DAS28の改善が確認された。
3)4年間縦断的に観測した1599人のRA患者において、DAS28・疼痛関節数・腫脹関節数・患者総合VAS・医師総合VAS・血沈・CRPの改善が確認された。
4)生物学的製剤など新規承認薬の投与症例が急増している。
5)RA関連整形外科手術頻度は、2002年度7.60%(手術件数/総患者数)から2006年度7.11%と減少していた。
6)人工関節予後調査では、年間約1%に合併症が生じていた。
7)RA患者における結核の標準化罹病率(SIR)は、2.96と有意に高値であった。市販後調査から算出した生物学的製剤投与群における結核SIRは、さらに増加していた。
8)感染症入院のリスク因子としてステロイド薬投与が抽出された。
9)RAにおける悪性疾患全般のSIRはほぼ1.0であったが、悪性リンパ腫の発生率は高く、消化器系癌が少ないことが示された。
10)本邦におけるRA患者の間質性肺炎発生状況を多施設共同研究として示すことができた。
11)死因としては感染症が最多であったが、生命予後(死亡時平均年齢)の改善とともに死因に占める悪性疾患の増加が認められた。
12)WEB上で展開できる共同臨床研究支援システムを構築することができた。
結論
本研究によりこれまでに明らかとなった問題点は、1)RA患者の生命予後が改善しつつあるとは言え死亡時平均年齢が日本国民の平均寿命より10数年短い。2)理想的寛解状態とされる患者は15%程に留まっている。3)結核等感染症合併が多く、かつ感染症が主たる死亡原因となっている。4)悪性リンパ腫の合併発症率が高い。5)新規抗リウマチ薬を含め治療抵抗性を示す患者も多い。6)不可逆的関節障害を有する患者においては薬物治療の効果が少ない。そして今後さらに問題となるであろう7)強力ながら高価な抗リウマチ薬による医療財政への圧迫、などである。
新規治療法が続々と導入される現在、本データベースは継続的に蓄積されていくべきものであり、本邦におけるRA実状の把握、治療法検証、及び有害事象の測定に極めて有用性の高いデータベースである。

公開日・更新日

公開日
2008-04-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200729006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究は、日本における関節リウマチの現状と問題点を継続的に観測する多施設共同疫学研究である。そのための継続運用可能なネットワークシステムを構築し、日本における関節リウマチの現状と問題点を明らかにしている。すなわち、毎年約5000症例の患者情報を収集解析することにより、治療効果の検証、有害事象の発生状況を全国規模で把握することができる他に類を見ないデータベースである。生物学的製剤等新規治療法が続々と導入される現在において重要なデータベースを作成できた意義は大きい。
臨床的観点からの成果
本研究により関節リウマチの実地臨床における治療効果が検証され、副作用を含む重篤な有害事象の発生状況が明らかになりつつある。経年的解析では、横断的あるいは縦断的な関節リウマチの疾患活動性が改善しつつあることが示されており、本邦における関節リウマチ治療効果の改善が検証されている。また、本研究で得られた疫学調査結果は、医療側あるいは患者にとって治療法選択の説明、意思決定時に有用な共有情報となると考えられる。
ガイドライン等の開発
現在までのところ、関節リウマチ診療ガイドライン作成への直接的寄与はないが、今後の改定に際して、本研究結果は重要な参考資料になると考えられる。
その他行政的観点からの成果
本研究では、薬物治療あるいは整形外科的治療における短長期的有害事象を計測していることから、これら介入治療の関与が否定できない副作用に関する救済等行政的対応の参考になる情報を提供できる可能性がある。
その他のインパクト
本研究班構成研究者は、関節リウマチ関連専門誌や関連学会、各種研究会や患者会において得られた疫学情報を報告しており、本邦における関節リウマチ診療の現状および問題点を伝達している。さらに専用ホームページ(NinJa:National Database of Rheumatic Diseases by iR-net in Japan)を設け、インターネット上で公開している。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
8件
その他論文(和文)
6件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
25件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-