ガイドライン普及のための対策とそれに伴うQOLの向上に関する研究

文献情報

文献番号
200729005A
報告書区分
総括
研究課題名
ガイドライン普及のための対策とそれに伴うQOLの向上に関する研究
課題番号
H17-免疫-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
須甲 松信(東京芸術大学保健管理センター)
研究分担者(所属機関)
  • 大田 健(帝京大学医学部内科)
  • 長谷川 眞紀(国立病院機構相模原病院統括診療部)
  • 大久保 公裕(日本医科大学耳鼻咽喉科)
  • 海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院小児科臨床研究センター)
  • 朝比奈 昭彦(国立病院機構相模原病院臨床研究センターアトピー性皮膚炎研究室)
  • 岩本 逸夫(国保旭中央病院アレルギー・リウマチセンター)
  • 秀 道広(広島大学医学部皮膚科)
  • 永田 真(埼玉医科大学内科)
  • 岡田 千春(国立病院機構南岡山医療センター)
  • 庄司 俊輔(国立病院機構福岡病院)
  • 森 晶夫(国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
  • 近藤 直実(岐阜大学小児病態学)
  • 東田 有智(近畿大学医学部呼吸器アレルギー内科)
  • 田中 裕士(札幌医科大学医学部)
  • 山内 広平(岩手医科大学医学部)
  • 相原 雄幸(横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター)
  • 杉山 温人(国立国際医療センター)
  • 本島 新司(亀田総合病院免疫アレルギー科)
  • 土橋 邦生(群馬大学医学部保健学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
かかりつけ医を担う一般医とアレルギー科標榜医へのアレルギー疾患の診療GLの普及状況を調査し、効果的な普及方法を確立しつつGL診療による患者QOLの向上効果を調査研究する。
研究方法
1)かかりつけ医のGL普及度の実態調査:一般医の実地医家には全国の研修会にて、全国のアレルギー科標榜医には葉書にてアンケート調査を行った。2)GL普及方法:患者向け、コメディカル向けの平易なGL小冊子をアレルギー週間の講演会出席の患者、全国アレルギー科標榜医に対して配付した。これらのGLコンテンツを日本アレルギー協会と学会等のホームページに掲載し情報発信した。3)各疾患の「GLに準じた治療による患者QOL向上」の臨床研究:分担研究者との多施設共同試験および個別研究を実施した。
結果と考察
1)一般医253名/アレルギー科標榜医1683名の普及度:一般医には喘息GLの認知度は70%以上とよく知られているが、それ以外のGLは50%以下である。アレルギー科標榜医は全疾患とも認知度が70%以上と高いが、その利用度をみると認知度より20%ほど低い。
2)GL普及対策:昨年度に続き、患者向け、コメディカル向けの喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎の平易なGL小冊子を作成し、患者約3000名、アレルギー科標榜医4333名に配付した。これらのコンテンツを日本アレルギー協会、学会等のホームページに掲載し情報提供した。3)GL治療によるQOL向上の研究:昨年に開始したQOL調査の最終集計(総称例数1239)の結果、多施設共同試験と個別研究において、各疾患ともGLに準じた治療(3カ月間)により患者のQOLの向上が有意に認められた。アレルギー科標榜医への調査にても60%がGL策定とその利用による患者QOL向上を認めている。
結論
アレルギー各疾患の診療GLは患者QOL向上に有効であるので今後GLの利用度を高める対策が必要である。アレルギー標榜科医との診療連携に重要である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200729005B
報告書区分
総合
研究課題名
ガイドライン普及のための対策とそれに伴うQOLの向上に関する研究
課題番号
H17-免疫-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
須甲 松信(東京芸術大学保健管理センター)
研究分担者(所属機関)
  • 太田 健(帝京大学医学部)
  • 長谷川 真紀(国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
  • 大久保 公裕(日本医科大学耳鼻咽喉科)
  • 海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
  • 朝比奈 昭彦(国立病院機構相模原病院臨床研究皮膚科)
  • 岩本 逸夫(総合病院国保旭中央病院アレルギー・リウマチセンター)
  • 秀 道広(広島大学大学院医師薬学総合研究科皮膚科)
  • 永田 真(埼玉医科大学呼吸器内科)
  • 岡田 千春(国立病院機構南岡山医療センター)
  • 庄司 俊輔(国立病院機構福岡病院内科)
  • 森 晶夫(国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
  • 近藤 直実 (岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学)
  • 東田 有智(近畿大学医学部呼吸器科)
  • 田中 裕士(札幌医科大学医学部第3内科)
  • 山内 公平(岩手医科大学第3内科)
  • 相原 雄幸(横浜市立大学医学部付属市民総合医療センター)
  • 杉山 温人(国立国際医療センター呼吸器内科)
  • 本島 新司(亀田総合病院免疫アレルギー科)
  • 土橋 邦生(群馬大学医学部保健学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省の新5カ年アレルギー対策は、アレルギー患者の自己管理の浸透を目標に置き、その方策の柱として、地域の「かかりつけ医」と拠点専門病院の診療連携の確立、アレルギー情報の提供と相談体制の確立、人材の育成を掲げている。当研究班は、かかりつけ医、コメディカル、患者へのアレルギー診療ガイドライン(GL)の普及を推進し、GL策定による患者QOL向上効果を検証することを目的とした。
研究方法
1)かかりつけ医にGL普及度について、地域の専門拠点病院に診療連携の実態について調査するためのアンケート調査を実施した。2)GLの普及を図るため、平易なGL印刷物(小冊子等)の発行と配付、ホームページ掲載を行った。3)GL診療によるQOL向上に関する多施設共同臨床研究および個別研究等を実施した。
結果と考察
1)地域の専門拠点病院(192施設)の多くは診療連携に積極的で、GL普及に前向きに取り組んでいる。2)一方、アレルギー診療連携の片軸である「かかりつけ医」の一般医(1722名)およびアレルギー科標榜医(4333名)へのガイドライン(GL)の普及度は、とくに喘息GLの認知度は7割以上とよく知られているものの利用度はそれより悪く、他の疾患のGLでは認知度も利用度もさらに低いことが判明した。3)かかりつけ医、患者、コメディカルに対して、延べ64,000部のGL小冊子を配付し得た。4)アレルギー疾患の「GLに準拠した治療と患者のQOL向上」に関する臨床試験の結果は、いずれの疾患でもGL治療は有意に患者のQOLを向上させた。全国のアレルギー科標榜医からのアンケート回答からも、診療現場においてもGL策定により診療方針が立てやすくなり、患者の症状・QOLの向上が認められた。
結論
アレルギー診療GLの策定とその普及は、患者QOL向上に有益である。今後、全国の診療レベルの均てん化を目指してGLの利用度を高めるための継続的な対策が必要である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200729005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
成人喘息、小児喘息、鼻アレルギー、アトピー性皮膚炎の診療ガイドライン(GL)に準拠した治療と患者QOL向上に関する3カ月の多施設共同研究および個別研究の結果、各GL治療は患者QOLを全般的に統計的有意に向上させた。この結果は各診療GLの有効性を示すと共に現行のQOL票自体の有用性を認めるものである。今後、GL内容の評価・訂正にはQOLを指標としたフィードバックが重要である。なる。
臨床的観点からの成果
一般医への各診療GLの普及度は、成人、小児とも喘息GLの認知度が70%以上と高いが、臨床現場の利用度は半数に過ぎず、鼻アレルギー、アトピーのGLはさらに低い。利用度の向上が課題である。アレルギー科標榜医の専門疾患GL利用度は80%以上であり、標榜医の60%がGL策定後治療方針の立てやすさ、患者症状の改善とQOL向上を認めている。GLの普及目的に一般医、患者、コメディカル向けに各疾患の平易なGL小冊子を作成し、延べ6,4000部を配布し、ホームページに掲載した。
ガイドライン等の開発
平成17年度に成人喘息用「喘息予防・管理ガイドライン2006」改訂版を発行し、それを元に「一般医のための喘息治療ガイドライン2007」の小冊子、コメディカルのための成人喘息ガイドライン」を作成した。次いで、コメディカル向けの花粉症およびアトピー性皮膚炎Q&A、一般医向けの蕁麻疹、患者向けの花粉症、アトピーおよび蕁麻疹の平易なGL小冊子を作成した。
その他行政的観点からの成果
厚生労働省が関連学会と共に策定してきた各診療ガイドラインが、患者症状の改善、QOL向上に有効であり、全国のアレルギー科標榜医へのアンケート結果からGL策定と普及の施策が正しいことが確認された。全国192のアレルギー拠点施設への診療連携に関する実態調査から、2/3の施設が地域の病診連携に積極的に取り組み、GLの普及に努力していることが明らかになった。今回、全国のアレルギー科標榜医・施設との連絡網(4300箇所)を築くことが出来たことは今後の厚生行政に役立つと期待される。
その他のインパクト
GL普及に関する実態調査結果が業界紙である日経メディカル誌、メディカルトリビューン紙の学会報告記事に掲載された。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
8件
その他論文(和文)
84件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
12件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計4件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
53件
(財)日本アレルギー協会主催アレルギー研修会、学術講演会

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
若林宏海、山岡桂子、大田健他
ピークフローメーターの使用感についてのアンケート調査
J.Japanese Society of Hospital Pharmacists , 41 (6) , 723-725  (2005)
原著論文2
Okuda M,Okubo K,Goto M. etal
Comparative study of two Japanese rhinoconjunctivitis quality-of-life questionnaires
Acta Oto-Laryngologica , 125 (10) , 736-744  (2005)
原著論文3
Gotoh M,Okubo K,Okuda M.
Inhibittory effects of facemasks and yeglasses on invasion of pollen patients in the nose and eye
Rhinology , 43 (8) , 266-270  (2005)
原著論文4
Okubo K,Gotoh M,Shimada K. etal
Fexofenadine improves the quality of life and work productivity in jJapanese patients with seasonal allergic rhinitis during the peak ceder pollinosis season.
Int Arch Allergy Immunol , 136 , 148-154  (2005)
原著論文5
Okubo K, Gotoh M
Inhibition of the antigen provoked nasal reaction by second-generation antihistamines in patients with Japanese ceder pollinosis.
Allergology International , 55 , 261-269  (2006)
原著論文6
Okubo K,Ogino S,Nagakura T. etal
Omalizumab is effective and safe in the treatment of Japanese ceder pollen-induced seasonal allergic rhinitis.
Allergology International , 55 , 379-386  (2006)
原著論文7
Nagata K,Hide M,Tanaka T. etal
Anaphylactic Shock Caused by Exposure to Sea Anemones.
Allergology International , 55 , 181-184  (2006)
原著論文8
Kameyoshi Y,Tanaka T,Mihara S. etal
Increasing the dose of cetirizine may lead to better control of chronic idiopathic urticaria ,an open study of 21 patients.
Br J Dermatol , 157 (4) , 803-804  (2007)
原著論文9
Hirano A,Kanehiro A, Ono K. etal
Pirfenidon Modulates Airway Responsiveness, Inflammation and Remodeling after Repeated Challenge.
Am J Respir Cell Mod Biol , 35 , 366-377  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-