文献情報
文献番号
199700369A
報告書区分
総括
研究課題名
社会生活に影響を及ぼす睡眠障害の対策ならびに良質な睡眠の確保に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
太田 龍朗(名古屋大学医学部教授)
研究分担者(所属機関)
- 粥川裕平(名古屋大学医学部附属病院精神科・助手)
- 早河敏治(名古屋大学医学部検査部・助手)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 健康増進研究事業
研究開始年度
平成7(1995)年度
研究終了予定年度
平成9(1997)年度
研究費
-円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
産業を中心に急速に変化する現代社会で、睡眠障害は健康増進にとって重要な課題になりつつあるが、とくに睡眠時無呼吸症候群と睡眠覚醒リズム障害は、社会生活上の支障という点から見て深刻な問題を呈している。そのためこれらの病態について、診断法と適格な治療法の確立が急がれている。とくに早期に発見し、治療をほどこすことが重要であるので、そのための簡易で正確な診断・治療法が求められている。本研究の目的はこれらを総合的に検討し、新しい方法を開発するところにある。
研究方法
1.睡眠時無呼吸症候群については、?いびきの習慣の有無を中心とした一般人口対象の調査表から抽出された人を対象に、在宅での動脈酸素飽和度(PaO2)をパルスオキシメトリーにより測定し、従来の睡眠ポリグラフィーによる方法と比較する。また?低磁場MRIフルオロスコピーによる機能的検査を行い、閉塞型における閉塞部位の正確な位置と、陽圧呼吸時の反応を調べ適格な陽圧を決定する。
2.睡眠相後退症候群を対象に、これまで行ってきた多項目の睡眠調査表の中から、本疾患を特徴づける項目を抽出して、問診表を新たに作製し、これを被疑対象および正常者の間で比較する。その結果から問診項目を確定し、さらに既に診断の下っている患者を対象にこれを実施し、有用性を確かめる。
3.季節と睡眠および気分変動の関係を調べるため、全国12カ所の研究機関を拠点にして表日本、裏日本(主として日照時間により区分)の2群に分け、年4回健康調査表による検索を行う。一方、うつ状態とくに不眠を伴う場合に変動する律速酵素テトラヒドロビオプテリン(BH4)を指標にその変化をみることとし、その前段階として外因性うつ状態がおきやすいインターフェロン治療時の動態を調べる。
2.睡眠相後退症候群を対象に、これまで行ってきた多項目の睡眠調査表の中から、本疾患を特徴づける項目を抽出して、問診表を新たに作製し、これを被疑対象および正常者の間で比較する。その結果から問診項目を確定し、さらに既に診断の下っている患者を対象にこれを実施し、有用性を確かめる。
3.季節と睡眠および気分変動の関係を調べるため、全国12カ所の研究機関を拠点にして表日本、裏日本(主として日照時間により区分)の2群に分け、年4回健康調査表による検索を行う。一方、うつ状態とくに不眠を伴う場合に変動する律速酵素テトラヒドロビオプテリン(BH4)を指標にその変化をみることとし、その前段階として外因性うつ状態がおきやすいインターフェロン治療時の動態を調べる。
結果と考察
?睡眠障害のうち対策が急がれる睡眠時無呼吸症候群について、診断的にその動態が正確に把握でき、かつ対策が適格に行なえるようになる低磁場MRIフルオロスコピーの開発と診断法としての確立および治療である持続性経鼻陽圧呼吸法への適用規準を明確にした。
?睡眠覚醒リズム障害のうち、不登校の原因のひとつとして注目されている睡眠相後退症候群の就学年齢(とくに高校生・中学生)を対象とする簡易型の問診表を開発し、その診断の有効性を立証した。
?季節によって睡眠と気分が変動することに注目し、全国12カ所の拠点において総数1万人以上を対象に四季の変動を調査したところ、日照の変動による変化と性、年齢と相関することが明らかとなった。また、睡眠と気分の関連が強いことから、気分障害のときに変動する律速酵素テトラヒドロビオプテリンの季節変動を調べることとし、その予備段階として、インターフェロン使用時の抑うつ・睡眠障害との関連について検討を行った。
睡眠時無呼吸症候群および睡眠相後退症候群の診断と治療に関する簡便化の試みはすでにいくつか報告してきたが、とくに問診法を生活現場や外来で簡便にチェックできるものがなかった。このため、今回いびきを中心とした問診表から、習慣性いびきの中に本症候群が存在し、一定の範囲で抽出できることが証明できた。また持続経鼻陽圧呼吸法の圧決定にMRIフルオロスコピーが有用であることが明らかとなり、治療上に応用できることが明らかとなった。
一方睡眠相後退症候群は、不登校となりやすく深刻な例も少なくない。また早期治療ほど予後が良いとのこれまでの研究からみても、患者とその予備群を早く見つけだすことが重要だが、これまで多くの人を対象に簡便にできる方法がなかった。本研究の結果は、患者では著しく高得点を示す問診表ができたことで、これが臨床的にも保健管理上も応用可能であることが示された。また、BH4の研究では、予備段階ではあるが不眠・抑うつとの相関が示された。従ってこれの季節変動の可能性も考えられ、スクリ-ニング法として、検討対象に入れるための検討が必要であろうと思われる。
?睡眠覚醒リズム障害のうち、不登校の原因のひとつとして注目されている睡眠相後退症候群の就学年齢(とくに高校生・中学生)を対象とする簡易型の問診表を開発し、その診断の有効性を立証した。
?季節によって睡眠と気分が変動することに注目し、全国12カ所の拠点において総数1万人以上を対象に四季の変動を調査したところ、日照の変動による変化と性、年齢と相関することが明らかとなった。また、睡眠と気分の関連が強いことから、気分障害のときに変動する律速酵素テトラヒドロビオプテリンの季節変動を調べることとし、その予備段階として、インターフェロン使用時の抑うつ・睡眠障害との関連について検討を行った。
睡眠時無呼吸症候群および睡眠相後退症候群の診断と治療に関する簡便化の試みはすでにいくつか報告してきたが、とくに問診法を生活現場や外来で簡便にチェックできるものがなかった。このため、今回いびきを中心とした問診表から、習慣性いびきの中に本症候群が存在し、一定の範囲で抽出できることが証明できた。また持続経鼻陽圧呼吸法の圧決定にMRIフルオロスコピーが有用であることが明らかとなり、治療上に応用できることが明らかとなった。
一方睡眠相後退症候群は、不登校となりやすく深刻な例も少なくない。また早期治療ほど予後が良いとのこれまでの研究からみても、患者とその予備群を早く見つけだすことが重要だが、これまで多くの人を対象に簡便にできる方法がなかった。本研究の結果は、患者では著しく高得点を示す問診表ができたことで、これが臨床的にも保健管理上も応用可能であることが示された。また、BH4の研究では、予備段階ではあるが不眠・抑うつとの相関が示された。従ってこれの季節変動の可能性も考えられ、スクリ-ニング法として、検討対象に入れるための検討が必要であろうと思われる。
結論
睡眠障害とその関連について、その診断と治療に保健増進の観点から簡便化の方策をいくつか開発し試みたが、いずれも有用性が証明され、実用に供与することが可能であることを明らかにすることができた。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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