肝炎ウイルスの培養系を用いた新規肝炎治療法の開発

文献情報

文献番号
200728017A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎ウイルスの培養系を用いた新規肝炎治療法の開発
課題番号
H19-肝炎-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
脇田 隆字(国立感染症研究所ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 土方 誠(京都大学ウイルス研究所)
  • 森石 恆司(大阪大学微生物病研究所・感染機構研究部門分子ウイルス分野)
  • 武部 豊(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 池田 正徳(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・機能制御学講座分子生物学分野)
  • 原田 和雄(東京学芸大学)
  • 田中 靖人(名古屋市立大学大学院医学研究科・臨床分子情報医学)
  • 本多 政夫(金沢大学大学院医学系研究科感染症病態学専攻)
  • 坂本 直哉(東京医科歯科大学・医歯学総合研究科・分子肝炎制御学講座)
  • 加藤 孝宣(東芝病院・研究部)
  • 竹原 徹郎(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学)
  • 上田 啓次(浜松医科大学医学部・感染症学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
68,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
申請者はC型肝炎ウイルス(HCV)のウイルス培養系を確立した。また、B型肝炎ウイルス(HBV)の場合、複製増殖実験は可能だが、培養細胞による感染実験系は確立されていない。両肝炎ウイルスに対する新たな治療法の開発が望まれている。そこで、本研究ではHBVやHCVのウイルス培養系や増殖系を用いて新規肝炎治療法の開発を目的とする。
研究方法
(1) 肝炎ウイルスの新規感染モデルの開発
(2) HCV増殖機構の解析と新規治療法の開発
(3) HCV生活環に関与する宿主側因子の探索と新規治療法の開発
(4) HBV増殖機構の解析と新規治療法の開発
(5) 肝炎ウイルス培養系および増殖系を用いた抗ウイルス薬のスクリーニング
結果と考察
(1)不死化細胞を立体培養する中空糸培養系を開発し、血清由来HCV感染増殖を1ヶ月間維持することに成功した。HBV感染実験でも感染後30日で細胞中及び培養上清にHBVを検出した。
(2-4)HCV感染系におけるシグナルペプチドペプチダーゼによるHCVコア蛋白質の膜貫通領域の切断の意義を検討した。
肝組織におけるHCV蛋白翻訳因子の発現を正常肝とC型慢性肝炎の肝組織を用いて検討したところ、HCV蛋白翻訳因子は正常肝よりC型慢性肝炎肝組織で発現が誘導され、肝組織のHCV-RNAと有意な相関を示した。
KANシステムを用いた3’X SL2結合ペプチドの最適化を行うとともに、最適化ペプチドによる複製への影響についてレプリコン・アッセイを用いて検証している。
(5)8,000種の化合物のscreeningを施行し、HCV増殖を抑制する41種の化合物を同定した。また、生薬成分化合物の細胞内HCV増殖に対する効果を解析し、肝臓由来の2種の化合物にHCV増殖抑制作用を見出した。
約12,000種の低分子化合物ライブラリーから、抗HCV活性をもつヒット化合物10数種を同定した。そのうち1種は感染最初期過程に対する阻害剤であることが示唆された。
ビタミン、アミノ酸、脂肪酸、およびミネラル類のHCV RNA複製に対する効果を網羅的に解析し、β-カロテン、ビタミンD2、リノール酸の3成分が、HCV複製を抑制することを明らかにした。また、糖鎖修飾阻害薬の中で抗HCV活性を有する薬剤を同定した。
結論
本研究により結果欄に記載した成果をあげた。すでに抗ウイルス薬としてかなり効果の高いものも得られている。新規モデル系の開発、ライブラリーのスクリーニングを継続すると共に、候補化合物の展開研究も必要である。来年度以降の研究により、さらに研究を進展させていく。

公開日・更新日

公開日
2008-04-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-01-22
更新日
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