ウイルス肝炎感染防止体制の確立に関する総合研究

文献情報

文献番号
200728016A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルス肝炎感染防止体制の確立に関する総合研究
課題番号
H19-肝炎-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山口 一成(国立感染症研究所血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋孝喜(東京大学・医学部・輸血部)
  • 半田誠(慶応義塾大学・医学部・輸血・細胞療法部)
  • 田所憲治(日本赤十字中央血液研究所)
  • 高松純樹(名古屋大学・医学部・輸血部)
  • 大戸斉(福島医科大学・輸血・移植免疫部)
  • 紀野修一(旭川医科大学・臨床検査・輸血部)
  • 浜口功(国立感染症研究所・血液・安全性研究部)
  • 古田里佳(大阪府赤十字血液研究センター・研究部)
  • 水谷哲也(国立感染症研究所・ウイルス1部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
48,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝炎ウイルス(HBV、HCV、HEV)の感染防止体制について、疫学、ウイルス学、血液学、輸血学などの観点から、現在の問題点を分析する。また血液(輸血含む)中の肝炎ウイルス汚染の現状把握と、検出に関する新規システムの開発を行なう。さらにこれらの研究を統合し、安全な血液(輸血含む)を確保するための総合戦略を確立し、医学的・行政的対策を提言する。
研究方法
日本輸血・細胞治療学会が平成16年度から行っている輸血業務に関する総合的アンケート調査の結果から輸血前後の感染症検査実施状況を後方視的に解析する。また、平成19年度のアンケート調査ではより詳細な設問を作成し、データを収集する。さらに新しい病原体検出法として、DNAマイクロチップを用いた方法開発と既存のNATの改良を平行して行う。
結果と考察
日本輸血・細胞治療学会が平成16年度から行っている輸血業務に関する総合的アンケート調査の結果から、①輸血前検体保存は約90%の施設で行われていること、②輸血前感染症検査は約70%の施設で実施されているが、厚生労働省通知に記載されている感染症マーカーのすべてが検査されていないこと、③輸血後感染症検査の実施率は40%以下であることが明らかとなった。平成19年度のアンケート調査ではより詳細な設問を作成し、データの収集の収集を行い、現在解析中である。また肝炎ウイルス検査システムの構築においては、肝炎ウイルス核酸を簡便かつ効果的に検出する検査システム開発を推進した。ウイルス核酸の非特異的増幅反応(RDV-RD法)を開発し、HCV核酸を300倍増幅に成功した。さらにウイルス核酸に特異的な遺伝子配列の決定、検出のためのDNAマイクロアレイチップの開発を行った。
結論
日本輸血・細胞治療学会が平成16年度から行っている輸血業務に関する総合的アンケート調査の結果から輸血前後の感染症検査実施状況の問題点を明らかにした。平成20年度にはアンケート調査に基づく輸血後感染症検査実施体制の実地検証を行う予定である。また、輸血後感染症検査結果から、ウイルスの再活性化や院内感染の実態を調査する。ウイルス検査システムについては、本研究によりDNAチップを用いて100分子程度のウィルス核酸が検出可能となった。今後さらなる感度の向上と、HCV、HBVに加えて、他の病原ウイルスを一括して検出できる検査システムを構築する。

公開日・更新日

公開日
2008-05-16
更新日
-