先進諸国を中心とした海外におけるエイズ発生動向、調査体制、対策の分析

文献情報

文献番号
200727035A
報告書区分
総括
研究課題名
先進諸国を中心とした海外におけるエイズ発生動向、調査体制、対策の分析
課題番号
H19-エイズ-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
鎌倉 光宏(慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 和子(金沢大学大学院自然科学研究科)
  • 野内 ジンタナ((財)結核予防会結核研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は先進諸国を中心とする海外のHIV/AIDSの発生動向、動向調査、調査体制について、その特徴や過去の経緯を明らかにすること、さらに実施された対策とその後の発生動向との関連を可能な限り探り、わが国における効果的かつ効率的な動向調査体制の確立と対策の立案および今後の施策に資することを目的とする。
研究方法
(1)先進諸国における発生動向の研究を国際機関および各国の報告書等の情報を活用し、とくに1990年代中期以降のHIV/AIDSの発生動向を比較検討することによって分析を行った。
(2)過去3年間の研究で先進諸国における感染経路別の対策と評価の研究について、調査可能な各種施策対象集団ごとに対策とその評価を行った。
(3)平成19年度は上記に加え、先進国、新規感染者の増加、 MSM症例の増加等、わが国と共通部分が認められるスウェーデン調査対象に加えた。
(4)HIV感染率ではわが国を凌ぐ英国、カナダ両国についてエイズ結核合併症の現状を調査し、対策の特徴やわが国への応用性を検討した。
結果と考察
(1)幾つかの国際機関等の推定を総合するとわが国のHIV陽性率は0.01%と0.02 %の間と推定されることが多く、2006年の推定では0.013%と先進諸国の中で最も低い数値を示している。一方、新規HIV感染については感染成立時期と検査時期の時間差および検査を受ける人口に係わる捕捉率の問題が常に存在する。
(2)わが国の感染経路として重視されるMSM対策について、対象各国でも重点化が認められたが、共通点として、1)多様性への認知、2)感染状況や性行動、健康決定因子の把握)、3)スティグマや差別への配慮・抑制 が抽出された。
結論
わが国の場合、届出症例の case identifier を欠くことは正確な疫学情報に基づく対策費の算出、新規導入薬剤の効果等の評価を困難にしており、守秘に配慮した病院症例を標本とした国内動向の分析が現実的である。先進諸国の各施策集団に対する予防対策に共通するものとして、 (1)対策が疫学情報に基づき講じられること (2) 個別施策層の同定 (3) 国と地方自治体の責任分担の明確化 (4) 他の健康問題を含む保健政策全体の中で対策が講じられていること (5) NGOの予防活動とそれに対する活動評価に基づく財政的支援がなされていること (6) モニター・評価システムが機能していることが認められた。

公開日・更新日

公開日
2008-06-04
更新日
-