薬剤耐性HIVの動向把握のための調査体制確立およびその対策に関する研究

文献情報

文献番号
200727034A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤耐性HIVの動向把握のための調査体制確立およびその対策に関する研究
課題番号
H19-エイズ-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
杉浦 亙(国立感染症研究所エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 桑原 健(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター薬剤科)
  • 小池隆夫(北海道大学大学院医学研究科)
  • 金田次弘(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 巽 正志(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 潟永博之(国立国際医療センターエイズ治療・研究開発センター)
  • 加藤真吾(慶應義塾大学医学部微生物学・免疫学教室)
  • 福武勝幸(東京医科大学医学部臨床検査医学科)
  • 藤井 毅(東京大学医科学研究所先端医療研究センター)
  • 白阪琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
  • 松下修三(熊本大学エイズ学研究センター)
  • 仲宗根 正(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 貞升健志(東京都健康安全研究センター微生物部)
  • 南 留美(独立行政法人国立病院機構九州医療センター)
  • 森 治代(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 下条文武(新潟大学医歯学総合病院第二内科)
  • 上田幹夫(石川県立中央病院血液病治療)
  • 近藤真規子(神奈川県衛生研究所微生物部)
  • 石ヶ坪良明(横浜市立大学大学院医学研究科)
  • 伊藤俊広(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター血液内科)
  • 佐藤武幸(千葉大学医学部附属病院感染症管理治療部)
  • 健山正男(琉球大学大学院医学研究科)
  • 木村昭郎(広島大学原爆放射線医科学研究所)
  • 原 孝(茨城県衛生研究所遺伝子科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
90,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国における薬剤耐性HIVの発生動向の把握を目的とする。
研究方法
(1) 薬剤耐性調査研究として新規診断症例の捕捉とその薬剤耐性検査およびサブタイピングを実施する。治療を受けている症例の薬剤耐性に関しては多剤耐性症例についてより詳細な情報を入手し、多剤耐性にいたる背景、臨床経過、遺伝子配列の変化について解析を進めていく。
(2)薬剤耐性HIV発生機序の解析研究として血清中のHIV特異的IgGの総量から感染時期を推測するBEDアッセイを調査項目として実施する。通常の薬剤耐性検査法では検出できない、潜在する薬剤耐性ウイルスの検出法を定量PCR等を基盤に開発する。
(3) 薬剤耐性検査の質的管理としてプロテアーゼ、逆転写酵素、インテグラーゼ各領域の研究班推奨基準測定法の作成を進める。
(4)薬剤血中濃度測定研究:ホームページを介しての検査受付と情報発信を行う。さらに研究班で提案された非侵襲且つアドヒアランスを客観的に評価する毛髪検査、唾液による血中濃度の推定などの新たな技術開発をさらに進める。
結果と考察
(1) 薬剤耐性調査研究:平成19年は新規感染症例508例を捕捉し薬剤耐性検査を実施した。薬剤耐性変異は39例(7.7%)に観察された。NRTI:24例(4.7%)、NNRTI:4例(0.8%)、PI:13例(2.6%)であった。治療症例の薬剤耐性に関しては拠点病院における抗HIV療法と薬剤関連アンケート調査を実施した。
(2)薬剤耐性HIV発生機序の解析研究: BEDアッセイを実施した症例では30%前後の症例がBED陽性と判定された。LC-MSを用いた微小集団の検出法を開発し、0.1?1%程度の微小集団の検出に成功した。
(3) 薬剤耐性検査の質的管理:サブタイプBとCRF_01AEそれぞれの全長感染性クローンを作製し、薬剤耐性遺伝子検査の研究班実用校正サンプル候補とした。
(4)薬剤血中濃度測定研究:平成19年度までに6749件のHPへのアクセスがあり、また482件の血中濃度測定検査が行われた。平成19年11月に新たに承認された新しいプロテアーゼ阻害剤ダルナビルの血中濃度測定法を開発した。
結論
新規HIV/AIDS診断症例における薬剤耐性症例は平成15年?18年と比較すると明らかに高くなっており、今後の動向監視が重要であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-06-04
更新日
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