HAART時代の長期予後を脅かす治療抵抗性エイズリンパ腫に対する多面的治療戦略開発に関する研究

文献情報

文献番号
200727030A
報告書区分
総括
研究課題名
HAART時代の長期予後を脅かす治療抵抗性エイズリンパ腫に対する多面的治療戦略開発に関する研究
課題番号
H19-エイズ-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 誠治(熊本大学エイズ学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邉俊樹(東京大学大学院新領域創成科学研究科)
  • 小田原隆(東京大学医科学研究所附属病院・感染免疫内科)
  • 永井宏和(国立病院機構名古屋医療センター・臨床研究センター・血液腫瘍研究部)
  • 藤原成悦(国立成育医療センター研究所・母児感染研究部)
  • 照井康仁(癌研究会癌研有明病院・血液腫瘍科・癌化学療法センター・臨床部)
  • 清水則夫(東京医科歯科大学・難治疾患研究所)
  • 片野晴隆(国立感染症研究所・感染病理部)
  • 駒野淳(国立感染症研究所エイズ研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HAART導入後エイズが慢性疾患化した現在、エイズ関連悪性リンパ腫はエイズ患者の長期予後を規定する最重要因子となった。エイズリンパ腫は難治性・再発性であり、有効な治療法は確立していない。従って、エイズリンパ腫の標準的な治療法の確立と治療抵抗性エイズリンパ腫に対する有効な新規治療法の開発は、エイズ対策として厚生労働行政上急務である。本研究では、エイズと悪性リンパ腫治療の最前線に立つ臨床医と基礎研究者が有機的に提携し、日本人に最適化されたエイズリンパ腫の治療プログラムの確立と新規治療薬の開発を軸に多面的治療戦略を展開する。
研究方法
研究は、相互に関連のある3つの大きな柱を軸に展開している。
柱1 日本人悪性リンパ腫治療最適化プログラム:アンケート調査により日本におけるエイズリンパ腫の発生状況と治療状況を把握した。
柱2 エイズリンパ腫の分子病態解析:臨床病理学的および分子生物学的解析を通じて、リンパ腫発生の分子機構解明を試みる。
柱3 エイズリンパ腫再現マウスモデルの開発と治療法開発への応用:マウス体内でヒト造血・免疫系を構築する系(ヒト化マウス)を用いて「エイズリンパ腫再現マウスモデル」を樹立し、その分子病態の解析から新たな治療法の開発及び治療法の標準化に資する。また、リンパ腫モデルマウス用いた治療薬の評価法を確立する。
結果と考察
エイズ拠点病院・血液研修指定病院のうち大都市の施設では10症例以上のエイズリンパ腫の経験があるが、多くの施設では1-2例の少数例の経験しかなく、治療に苦慮していることから、標準的な治療法の確立が望まれた。そのため、「エイズリンパ腫の治療指針」の策定を開始し、エイズリンパ腫治療多施設共同研究開始準備を進めている。また、エイズリンパ腫発生の分子機構解明と適切な分子標的療法の開発を目指して、エイズリンパ腫検体収集システムの構築準備を進めている。更に、分子標的としてのNF-B阻害剤の有効性を培養系とマウスモデルで確認した。一方、高度免疫不全マウスにヒトの造血系を構築する「ヒト化マウス」にEBウィルスを感染させることにより、潜伏感染とリンパ増殖性疾患のモデルを確立した。
結論
本邦においてもエイズリンパ腫は増加しており、臨床の現場では治療に苦慮していることから、日本人に最適化されたエイズリンパ腫の治療プログラムの確立と新規治療法の開発は急務である。

公開日・更新日

公開日
2008-06-04
更新日
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