HIV感染症の動向と影響及び政策のモニタリングに関する研究

文献情報

文献番号
200727020A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症の動向と影響及び政策のモニタリングに関する研究
課題番号
H18-エイズ-一般-017
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
木原 正博(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻国際保健学講座社会疫学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 小野寺昭一(東京慈恵医科大学医学部感染制御部)
  • 和田 清(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存部)
  • 中村 亮介(東京都立松沢病院精神科)
  • ソウケ島 茂(国立保健医療科学院公衆衛生政策部行政政策室)
  • サマン ザマニ(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻国際保健学講座社会疫学分野 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
23,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIVに関連する情報の集約と統合的分析を通じて、わが国の流行の理解と効果的・効率的なエイズ施策の推進に資する。
研究方法
(1)HIV感染及びリスク動向の統合的分析に関する研究
①近隣国・地域(中国、台湾、香港、韓国)及び主要先進諸国(米、英、仏、独、加、豪)のHIV/AIDS/STDデータを入手し、HIV/STD流行の動向を分析した。②わが国のSTD発生動向調査、母子保健統計、コンドーム統計、性行動関連データ、出入国管理統計、警察白書、新聞記事を収集分析し、HIV流行への社会的脆弱性を検討した。③全国9STD医療施設の受診者777名(男215、女289、風俗女性273)に対し、無料HIV/STD検査と質問票調査を行った。②全国6施設の入院覚醒剤使用者211人と自助グループメンバー48人に対し、HIV/STD/肝炎感染率、注射・性行動を調査した。
(2)自治体のエイズ政策のモニタリングに関する研究
 エイズ発生動向データ、エイズ対策関連予算、検査・相談サービス時間数及びHIV/STD関連知識に関する全国世帯調査データを用いて、自治体間のエイズ関連施策の効果や効率を比較評価した。
(3)HIV流行の推計予測に関する研究
Workbook(UNAIDS)を用いて、男性とセックスする男性(MSM)間のHIV流行について、MSMの推定人口・HIV感染率、エイズ発生動向データを用いた推計・予測を行った。
結果と考察
①近隣諸国での日本以上のHIV流行の存在、②欧米でのHIV/STD流行の再燃・悪化、②日本のHIV感染者は若者の割合が大きいこと、③わが国の性関連現象(性行動、STD、妊娠中絶、コンドーム出荷量)が複雑な変化をし始めたこと、④日本の若者は米国より性行動が無防備であること、⑤エイズ関連新聞記事が近年質的量的に大きく低迷していること、⑥性産業や麻薬の蔓延の悪化、⑦出入国の増大、⑧薬物使用者における注射使用・共用の減少傾向、⑨STD受診者におけるHIV感染率の上昇、⑩自治体間でのエイズ関連施策の効果と効率に大きな格差の存在等を明らかにし、また、⑪MSMにおけるHIV感染率が現在約3%で、今後最大11%まで上昇する可能性があることを示した。⑫データブックを作成し全国配布した。
結論
計画通り、HIVに関連する情報を集約して統合的に分析し、わが国のHIV流行と社会的脆弱性について、現状、文脈、展望を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2008-06-04
更新日
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