アジア・太平洋地域におけるHIV・エイズの流行・対策状況と日本への波及に関する研究

文献情報

文献番号
200727019A
報告書区分
総括
研究課題名
アジア・太平洋地域におけるHIV・エイズの流行・対策状況と日本への波及に関する研究
課題番号
H18-エイズ-一般-016
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
武部 豊(国立感染症研究所エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 駒野 淳(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 花房 秀次(荻窪病院)
  • 草川 茂(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 椎野 禎一郎(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 近藤 真規子(神奈川衛生研究所)
  • 加藤 真吾(慶応大学医学部)
  • 貞升 健志(東京都健康安全研究センター)
  • 小島 洋子(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 千々和 勝己(福岡県保健環境研究所)
  • 澤田 幸治(北海道立衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
36,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
分子疫学的手法により、我が国を含むアジアにおけるHIV流行形成のメカニズムおよび流行拡大に関連する諸要因の包括的な理解と、それら研究成果を踏まえた研究・政策提言を目指す。
研究方法
国内外の共同研究ネットワークをベースとして我が国およびアジアでのHIV感染症の分子疫学調査研究を進め、これら地域での流行の最新動向の解析を通じて提言をまとめる。
結果と考察
(1) アジアでのエイズ流行の最新動向として最も劇的な動きは、中国に特有の組換え型流行株 CRF07_BCによる台湾の薬物乱用者(IDU) の爆発的なアウトブレーク(2002-2004年)の発生である。最新のデータ解析技術 (BEAST)を用いて解析を進めた結果、中国から1990年末~2000年初頭に台湾南部、ついでその2-3年後に台湾中・北部のIDUに伝播したことを明らかにした。アジア型流行株の伝播のtimescaleが解明されたはじめての例である。
(2) 我が国では、2002 年以降5年連続してHIV/AIDS報告数が前年度を上回り、全国的な増加傾向が進行している。またエイズを発症してはじめて感染の事実に気づく(いわゆる「いきなりエイズ」)症例の割合は、とりわけ長野県や茨城県では、全報告件数の過半数を超える(全国平均は約1/3)という異常な事態が進行している。長野県における解析の結果、感染者の年齢が、全国平均に比べ15才以上高年齢層にシフトしていること。感染者の 80%以上が、日本人男性の異性間感染者であり、そのほとんど (75-85%) が東南アジアに由来するCRF01_AE感染によるものであることなど、際立った特徴をもっていることが、はじめて明らかにされた。東京・大阪などの大都市圏では、若年-壮年層の男性同性愛者が主要なリスク集団であり、遺伝子型も欧米由来のsubtype Bによる感染者であることと対照的な関係にある。
結論
アジアにおける流行動態は刻々変化しており、感染症疫学による検討・継続的モニタリングが不可欠である。とりわけ、本研究班における長野県における知見は、我が国におけるHIV感染症の拡がりに大きな地域差があることをはじめて明らかにしたものあり、都会と異なる流行動態を示している農村では、都会型のキャンペーンをそのまま展開しても成功しない。流行動態と社会風土を考慮した地域ごとの戦略が求められることが提言される。

公開日・更新日

公開日
2008-06-04
更新日
-