HIV感染症の治療開発に関する研究

文献情報

文献番号
200727015A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症の治療開発に関する研究
課題番号
H18-エイズ-一般-012
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
滝口 雅文(熊本大学エイズ学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岡 慎一(国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター )
  • 満屋 裕明(熊本大学 大学院医学薬学研究部)
  • 馬場 昌範(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 松岡 雅雄(京都大学 ウイルス研究所附属エイズ研究施設)
  • 松下 修三(熊本大学 エイズ学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
66,950,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
柱1:耐性ウイルスに対応できる新規薬剤の研究開発、柱2:HIV-1に特異免疫を用いた新しい治療法の研究開発、これによりエイズの治療に貢献できる研究を行う。
研究方法
柱1:darunavirの阻害機序を解明。HIV-1プロウイルスDNAからの遺伝子発現を抑制する薬剤の探索。インテグラーゼ阻害剤の耐性変異の酵素学的、構造学的解析
柱2:強いHIV-1増殖抑制能を有したCTLからの逃避ウイルスに対するCTLの誘導。強い中和活性能を有したKD-247の逃避変異エピトープの解析と新たな中和単クローン抗体を作製。
結果と考察
結果
柱1:新規のプロテアーゼ阻害剤darunavirは、今年度日本でも承認されて実用化が実現した。一方、darunavirは、プロテアーゼの重合阻害剤であることが明らかになった。新規ナフタレン誘導体のJTK-101に選択的な抗HIV-1効果を同定した。インテグレース阻害剤に対する耐性一次変異はインテグレースの酵素活性中心近傍に導入されており、また二次変異が酵素活性を補正すると考えられた。
柱2:強いHIV-1増殖抑制能を有したNef138特異的CTLから逃避するHIV-1に対する新たなCTLの誘導を確認し、免疫逃避ウイルスに対する治療法の可能性を示唆した。KD-247に対する中和逃避ウイルスの誘導をおこない、変異の同定が出来た。また長期非進行症例から20種類の中和単クローン抗体を樹立した。

考察
darunavirの新薬承認がされたことは、本班の大きな成果といえる。またプロテアーゼの二量体阻害剤であることを明らかにし、今後のプロテアーゼ阻害剤の開発に大きな将来性を拡げた。逃避変異を認識するCTLが誘導されるのも関わらずウイルス量が低下させることが出来ないことが明らかになった。このためこの逃避ウイルスに対して新たに認識するCTLによる治療法の開発が今後の課題である。KD-247の逃避エピトープの解析も進んだので、今後多角的に中和抗体の解析が必要である。
結論
・新規プロテアーゼ阻害剤darunavirの新薬として承認、またこの新たな阻害機を解明し、新規ナフタレン誘導体のJTK-101に選択的な抗HIV-1効果を同定した。
・強いHIV-1増殖抑制能を持ったNef138特異的CTLからの逃避変異に対する新たなCTLの誘導を確認し、KD-247抗体の逃避エピトープを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2008-03-25
更新日
-