HIV感染とエイズ発症の阻止および治療に関わる基礎研究

文献情報

文献番号
200727014A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染とエイズ発症の阻止および治療に関わる基礎研究
課題番号
H18-エイズ-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
佐多 徹太郎(国立感染症研究所感染病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 横田 恭子(国立感染症研究所 免疫部)
  • 田中 勇悦(琉球大学 感染免疫学)
  • 宮澤 正顯(近畿大学医学部 免疫学教室)
  • 神奈木 真理(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 有吉 紅也(長崎大学熱帯医学研究所 熱帯医学)
  • 塩田 達雄(大阪大学微生物病研究所 ウイルス学)
  • 石坂 幸人(国立国際医療センター 難治性疾患研究部)
  • 徳永 研三(国立感染症研究所 感染病理部 )
  • 高橋 秀宗(国立感染症研究所 感染病理部 )
  • 岩本 愛吉(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター)
  • 小柳 義夫(京都大学ウイルス研究所 ウイルス学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
103,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV感染病態の基礎的な解析に焦点をあて、そこから得られる情報をもとに、感染防御免疫の増強、そして抗HIV薬剤やワクチンの開発に役立てることを目的とし、HIV感染免疫防御機構、HIV感染に関わる自然免疫等の宿主因子の解析、HIV感染病態の解明を3本の柱として、HIV感染やエイズ発症の阻止や治療に繋がる基礎的研究を行う。
研究方法
分担研究者の詳細な研究方法は分担研究者の報告書に譲る。
結果と考察
DCの分化培養により CD8+T細胞を活性化し、OX40/OX40L発現誘導を通じてHIV-1増殖を抑制した。HIV曝露非感染者の持つ遺伝的特徴を、Gene1イントロンにおける塩基配列多型の集積として同定した。NK感受性K562細胞、TLR3あるいはTLR4の刺激によりHIV-1複製を抑制した。CTL免疫圧によって生じるGagアミノ酸変異の中で高CD4値、低ウイルス量など臨床経過に良い影響を与えるT242を見出した。ウイルス成熟によりウイルス表面のenv、env認識抗体が減少した。HIV-2のTRIM5感受性はヒトとカニクイサルとで共通であった。HIV-1インテグレーションの過程にゲノムDNA二重鎖切断が関与していた。サブタイプCのVif蛋白は、最も強い抗APOBEC3G活性を有した。血中ウイルス量の高い群でIL-2R, MIP-1, MIP-1, RANTESの産生能が有意に低かった。ミトコンドリア透過膜保護薬ubiquinone-10は、Vprによる神経細胞障害を改善した。SIV感染による神経・グリア障害にERK活性化によるアポトーシスが関与している可能性があった。
結論
DCを介するHIV-1感染伝播の阻害法、自然感染抵抗性を示す遺伝要因、自然免疫によるHIV-1防御法、CTL免疫とウイルスの相関関係、ウイルス成熟と抗体の関係について知見が得られた。HIV感染感受性の違いを決定する宿主因子、潜伏感染と再活性化、抗APOBEC3G活性の強弱を説明する分子機構について説明がなされた。慢性期HIV感染者の血中ウイルス量を規定する因子探索、HIV感染による中枢神経組織破壊機構の理解が進み、有効な薬剤が見出された。

公開日・更新日

公開日
2008-06-04
更新日
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