NeuroAIDSの発症病態と治療法の開発を目指した長期フォローアップ体制の構築

文献情報

文献番号
200727012A
報告書区分
総括
研究課題名
NeuroAIDSの発症病態と治療法の開発を目指した長期フォローアップ体制の構築
課題番号
H18-エイズ-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中川 正法(京都府立医科大学大学院・神経内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 出雲 周二(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科・難治ウイルス病態制御研究センター・分子病理病態研究分野)
  • 鈴木 直人(同志社大学文学部心理学科)
  • 岸田修二(都立駒込病院・神経内科)
  • 船田 信顕(都立駒込病院・病理科)
  • 白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター・HIV感染症)
  • 古川 良尚(鹿児島大学病院輸血部・神経内科学・血液内科学)
  • 向井 栄一郎(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター・一般神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国ではHIV感染者・ADIS患者ともに増加傾向である.HAART導入によりHIV感染症は慢性感染症へと変貌したが,このことはエイズ脳症を含むHIV感染による神経合併症(以下,NeuroAIDS)の増加と臨床病態の変化を予測させる.本研究は,神経内科医,感染症科医,臨床心理士,神経病理医などとの学際的な協力のもとHIV感染者を長期フォローアップする体制の構築とNeuroAIDSの臨床的,病理学的解明を目指す.
研究方法
1)HIV感染者のフォローアップ体制の構築:都立駒込病院,大阪医療センター,名古屋医療センター,鹿児島大学病院において、HIV感染者の早期フォローアップを継続する.2)各施設のNeuroAIDSに関する検討会を行う.3)NeuroAIDS関連死亡例,サルエイズモデルの分子病理学的解析を行う.
結果と考察
平成19年度は,昨年度作成したプロトコールに基づいてHIV感染者の神経内科的フォローアップを開始した.古川班員は,神経学的異常がないHIV感染者においても側頭葉・前頭葉の血流が低下していることを報告した.向井班員らは,HIV感染症における進行性多巣性白質脳症(PML)の特徴について報告した.岸田班員は,HAART中にHIV脳症を発症した例を報告し,末梢でのウイルスモニター,認知機能の観察,薬剤選択などの重要性を強調した.骨髄移植後のHHV6 脳脊髄炎剖検例,AIDS関連びまん性B大細胞型リンパ腫例,HIV関連PML例について神経病理学的検討を行った.出雲班員らは,サルエイズモデルの分子病理学的検討を行い,炎症性サイトカインTNF-αとIL-1βのエイズ脳症への関与について報告した.今年度はフォローアップ研究を具体的に開始し、神経内科的に異常がないHIV感染者でも比較的初期より脳血流の低下が見られることを明らかにしたことは重要と考える。また、HAART中患者の末梢でのウイルスモニター,認知機能評価の重要性を指摘した。サルエイズモデルとの神経病理学的比較研究を進めることは,ヒトNeuroAIDSの病態解明に重要な知見を与えるものと考える.
結論
第2年度である今年度は,HIV感染者の長期フォローアップ体制を具体的スタートさせ,若干の知見を得た.

公開日・更新日

公開日
2008-06-04
更新日
-