文献情報
文献番号
200727010A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症に合併する各種疾病に関する研究
課題番号
H18-エイズ-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小池 和彦(東京大学医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 高松純樹(名古屋大学医学部附属病院)
- 菅原寧彦(東京大学医学部附属病院)
- 四柳宏(東京大学医学部附属病院)
- 菊池嘉(国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター)
- 茶山一彰(広島大学医歯薬学総合研究科)
- 髭修平(北海道大学病院)
- 正木尚彦(国立国際医療センター)
- 加藤道夫(国立病院機構大阪医療センター )
- 服部俊夫(東北大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
36,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
HHIV感染者の死因は大きく変化してきている。HIV感染患者の死亡のうち約半数が非AIDS関連死で、その多くがウイルス性肝疾患による死である。HIV感染者に合併した慢性HCV、HBV感染症への対策が急務である。
研究方法
HIV・HBV重複感染症の実態を把握するためのデータベース作成、リバビリン併用ペグ・インターフェロン(PegIFN)治療時代のHIV・HCV重複感染のコントロール法の確立、HIV感染合併B型肝炎患者の治療法と薬剤耐性に関する研究、等を行なった。
結果と考察
全国エイズ拠点病院への調査結果を詳細に検討した。HIV感染5988例中377例(6.4%)においてHBs抗原が陽性であった。血液製剤によるHIV感染例では5.9%、同性間性交渉例では8.3%、異性間性交渉例では3.4%、麻薬・覚醒剤例では8.3%と日本全体でのHBV陽性率(1%程度)に比して高率であった。
班研究として施行したHIV・HBV重複感染例の肝疾患検討結果では以下のことが明らかとなった。HBV感染判明時の血清アルブミン値は3.9±0.7(g/dL)、平均観察期間3.9±4.1年を経た後(終了時)は4.1±0.6であった。判明時/終了時におけるHBV-DNA値は、高レベル(≧106 copies/mL)→高レベル41例(27%)、高レベル→低レベル(<106 copies/mL)61例(42%)、低レベル→高レベル2例(1%)、低レベル→低レベル44例(30%)であった。HBV遺伝子型は、73例のうちA58例 、B6例、C7例、D1例、A/G1例、H3例であった。
HIV・HBV重複感染症における抗HIV感染薬の使用法について、HBV量が多い例では、HAART開始時に抗HBV作用をもつ抗HIV薬を2剤以上使用する方が、無治療例に比して肝疾患の予後が良好であった。
HIV感染症に合併する慢性C型肝炎に対するリバビリン併用PegIFN療法が無効であった症例に対して、PegIFNの少量長期導入を開始した。現在の処、数名のみのエントリーであり増加させる必要がある。
班研究として施行したHIV・HBV重複感染例の肝疾患検討結果では以下のことが明らかとなった。HBV感染判明時の血清アルブミン値は3.9±0.7(g/dL)、平均観察期間3.9±4.1年を経た後(終了時)は4.1±0.6であった。判明時/終了時におけるHBV-DNA値は、高レベル(≧106 copies/mL)→高レベル41例(27%)、高レベル→低レベル(<106 copies/mL)61例(42%)、低レベル→高レベル2例(1%)、低レベル→低レベル44例(30%)であった。HBV遺伝子型は、73例のうちA58例 、B6例、C7例、D1例、A/G1例、H3例であった。
HIV・HBV重複感染症における抗HIV感染薬の使用法について、HBV量が多い例では、HAART開始時に抗HBV作用をもつ抗HIV薬を2剤以上使用する方が、無治療例に比して肝疾患の予後が良好であった。
HIV感染症に合併する慢性C型肝炎に対するリバビリン併用PegIFN療法が無効であった症例に対して、PegIFNの少量長期導入を開始した。現在の処、数名のみのエントリーであり増加させる必要がある。
結論
HIV感染症に合併するB型肝炎とC型肝炎について、疫学、診療体制の組織強化、抗ウイルス療法の実行、等を行なった。今後のHIV・HBV・HCV重複感染症例の診療に大きな成果を上げることが期待される。
公開日・更新日
公開日
2008-03-24
更新日
-