HIV感染予防における経粘膜ワクチンの開発

文献情報

文献番号
200727009A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染予防における経粘膜ワクチンの開発
課題番号
H18-エイズ-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
廣井 隆親(財団法人東京都医学研究機構 東京都臨床医学総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 秀実(日本医科大学)
  • 横田 恭子(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV感染を最初の感染経路である粘膜面で阻止するために、感染経路粘膜上に細胞性ならびに液性免疫の両方を誘導する新規粘膜ワクチンを開発することを目的としている。
研究方法
ウイルスベクターMVASHIVIL-15と、同上の組み合わせのうちIL-15のみを除去したMVASHIVをBALB/cマウスにそれぞれ、107pfu投与感染させた。投与方法は経皮下、経鼻、経膣、経肛門の4種類を検討した。2週間後に血清、糞便、膣洗浄液を回収してELISAによりHIV特異的抗体価を測定した。また、細胞傷害活性の指標として免疫したマウスの末梢血より末梢血単核球 (PBMC)を採取して、env抗原ペプチドでin vitroの培養系にて刺激し、培養上清中のIFN-gamma産生量を測定した。
結果と考察
結果: 各種免疫方法においてIL-15を挿入したワクシニアウイルスを投与した群が有為にenv特異的血清中IgG、糞便中IgA、膣洗浄液中IgGの上昇が確認された。さらに免疫したマウスよりPBMCを単離してenv抗原のペプチドで刺激した結果IL-15遺伝子搭載ワクシニアウイルスを免疫した群がより強くIFN-gを分泌することを認めた。さらに皮下、経鼻免疫したマウスを最終免疫後、2ヶ月後と8ヶ月後の血清サンプルと膣洗浄液サンプルに含まれるenv抗原特異的IgGを測定比較したところMVASHIVIL-15を経鼻免疫した群では最終免疫後8ヶ月経過しても高いレベルで抗原特異的IgGが血清中ならびに膣洗浄液中両者に確認された。
考察: IL-15は抗原と同時に投与すると全身系、ならびに粘膜系の両方において強いアジュバント活性を示す事が明らかになった。さらに免疫後8ヶ月経過したマウスの抗原特異的IgGを測定した結果より、IL-15にはCD8T細胞のメモリー機能を増強するのみならず、抗原特異的抗体産生能を長期間にわたり維持する機能があることが明らかになった。IL-15がメモリーB細胞に与える影響については未だ不明であるが、IL-15がメモリーB細胞の増殖、分化ならびに維持に関わっている可能性がある。
結論
IL-15は細胞性(CD8T細胞)ならびに液性(抗原特異的IgG, IgA)の免疫反応を増強するアジュバントとしての活性を見いだした。

公開日・更新日

公開日
2008-03-24
更新日
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