ウイルス感染症の効果的制御のための病原体サーベイランスシステムの検討

文献情報

文献番号
200726042A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルス感染症の効果的制御のための病原体サーベイランスシステムの検討
課題番号
H19-新興-一般-013
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
清水 博之(国立感染症研究所ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 沼崎 啓(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
  • 多屋 馨子(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 小池 智(東京都医学研究機構 東京都神経科学総合研究所)
  • 帖佐 徹(国立国際医療センター 国際医療協力局)
  • 野田 雅博(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
70,520,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ワクチン予防可能疾患のうちポリオおよび麻疹について病原体サーベイランスの質的向上を行うとともに、ポリオおよび麻疹の制御過程で得られた知見を未だサーベイランスシステムが確立していない他のウイルス感染症に応用する。ポリオサーベイランスの改良は世界ポリオ根絶達成のため重要であり、2012年までの麻疹排除に向け、我が国の麻疹コントロールの進展を精度の高い実験室診断により検証する必要がある。また、日常的に検出される腸管・呼吸器感染症の病原体サーベイランスシステムを構築することにより、新興・再興ウイルス感染症の発生を迅速かつ感度良く検出するための研究資源の蓄積を図る。
研究方法
質の高い疾患サーベイランスと連動した精度および感度の高い病原体サーベイランスの確立を目的として、ウイルス伝播の検出手法の評価・開発およびウイルス伝播機構に関する研究を行った。ポリオに関しては、AFPサーベイランスを補完する病原体サーベイランスについて、麻疹については、2008年に導入された麻疹症例全数報告に対応するための実験室診断系について研究を行った。日常的に検出される腸管・呼吸器感染症の病原体サーベイランスシステム構築のための基盤的研究を行った。
結果と考察
国内外のポリオフリーを確認し、世界ポリオ根絶計画の進展を確認するためには、AFPサーベイランス以外の多様な腸管ウイルス病原体サーベイランスシステムの確立が重要であることを明らかにした。地方衛生研究所等の公的検査機関では、現在、遺伝子検出等様々な手法により麻疹実験室診断を実施していることを明らかにし、麻疹全数報告に向けた検査態勢の整備および検査法の標準化が重要であることを示した。RSウイルス, ヒトメタニューモウイルス等、急性呼吸器ウイルス感染症に対する病原体サーベイランスの重要性を明らかにし、検査手法の評価・改良およびリファレンス体制の整備を行った。
結論
ポリオ、麻疹を含むウイルス感染症の病原体サーベイランスについて、技術的評価および新たな検査手法の開発を行い、感度および精度の高い病原体サーベイランス手法の研究を行った。ウイルス感染症制御に必要とされる病原体サーベイランス整備のためには、感染症および病原体の特性に合わせたサーベイランス手法の確立が重要であるため、各ウイルス感染症に則した病原体検出・同定法の技術的改良および標準化を行った。

公開日・更新日

公開日
2008-05-02
更新日
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