遺伝子増幅RPA法に基づいた媒介蚊における迅速簡便病原体検出法の開発

文献情報

文献番号
200726040A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝子増幅RPA法に基づいた媒介蚊における迅速簡便病原体検出法の開発
課題番号
H19-新興-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
嘉糠 洋陸(国立大学法人帯広畜産大学 原虫病研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 福本 晋也(国立大学法人帯広畜産大学 原虫病研究センタ)
  • 下島 昌幸(国立大学法人東京大学 医科学研究所)
  • 平田 晴之(国立大学法人東京大学 疾患生命工学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
26,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
マラリア、西ナイル熱、デング熱等の蚊媒介性の再興感染症は世界的に大きな脅威となっている。本研究では、これらの感染症の本邦への侵入防除に寄与するため、等温遺伝子増幅法による迅速・簡便病原体検出法の確立を目的として以下の項目に分け遂行した。
研究方法
ヒトに致死性の病原性を持つ熱帯熱マラリア原虫などの本研究課題の対象病原体を用いた実験は、高度なバイオセーフティーレベル下での遂行が必要となる。そこで、代替えとしてGFP発現組換え齧歯類マラリア原虫と、安全性の高い昆虫モデルウイルス、さらには犬に感染する犬フィラリアを用いた媒介蚊-病原体感染モデルを用いることで、媒介蚊体内からの病原体検出に対する等温遺伝子増幅法の有効性の検証と、反応条件の至適化を行った。特にマラリア媒介蚊において、蛍光タンパク質を発現するGFP遺伝子を指標に、上記の病原体を有する蚊より抽出した核酸を検体とし、一個体の病原体を検出可能かつ高い特異性を持つプライマーセット、反応条件の確定等を実施した。同時に、次年度以降の「マルチプレックス等温遺伝子増幅法-イムノクロマト法」開発を見越したイムノクロマト作成法構築を遂行した。
結果と考察
(1)検出法の妥当性の検討のため、蛍光タンパク質マーカーを発現するマラリア原虫の作出に成功した。(2)ヤブカ-犬フィラリア感染モデルの導入開発を進め、検出法の開発における病原体媒介蚊のシーズ提供の環境を構築した。(3)同様に、ヤブカ-フロックハウスウイルス感染モデルの導入開発を実行した。(4)単一温度反応系遺伝子増幅法開発のため、DNA増幅酵素・DNA結合因子等の精製法の改良を行い、一定の改善成果を得た。(5)単一温度反応系遺伝子増幅法によるハマダラカからのマラリア原虫の検出に成功し、ただひとつの原虫感染においても検出可能であることを示した。(6)西アフリカ・ブリキなファソ国内のマラリア流行地域におけるハマダラカ試料の採集とその評価をおこない、DNAテンプレート・ライブラリーの構築に成功した。
結論
以上の研究により、病原体媒介蚊における病原体検出に対する総合的な厚生労働行政施策を策定するための科学的基盤を進展させた。本研究により等温遺伝子増幅法の応用が順調に進展し、結果極めて高感度で迅速かつ簡便な病原体検出法を提供することにより、日本を含めた国際保健医療に多大な貢献をするものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-05-02
更新日
-