動物由来感染症の生態学的アプローチによるリスク評価等に関する研究

文献情報

文献番号
200726038A
報告書区分
総括
研究課題名
動物由来感染症の生態学的アプローチによるリスク評価等に関する研究
課題番号
H19-新興-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山田 章雄(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岸本 壽男(国立感染症研究所 ウイルス第1部)
  • 今岡 浩一(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 井上 智(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 棚林 清(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 川端 寛樹(国立感染症研究所 細菌第1部)
  • 高橋 元秀(国立感染症研究所 細菌第2部)
  • 柳井 徳磨(岐阜大学 応用生物科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
26,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国内に存在するが、その存在様式等に不明な点が多い動物由来感染症病原体の国内生態系における存在様式を明らかにし、そのリスク評価を改めて行う。一方、狂犬病診断のための教材試作を行う。
研究方法
病原体分離、病原体遺伝子検出、抗体検出により、国内各地で捕獲した哺乳類、鳥類、及びダニを中心に病原体の生息地域、生息環境を明らかにする。
結果と考察
Q熱抗体測定法の精度を検討し、市販キットでは偽陽性があることを明らかにした。ボレリアが鳥類に付着したマダニによってその分布を拡大していること、これまでに国内では報告のなかった新種のボレリアが存在することを明らかにした。イヌのコリネバクテリウムウルセランスが、ヒトのジフテリア様疾患の原因となった可能性が指摘されているため、近隣のイヌにおける保菌状況を調査したが、陽性の個体は見いだせなかった。国内のイノシシ、シカについてブルセラ属菌の保有状況を血清学的に調査したが、これまでのところ陽性個体は見いだされなかった。日本各地で野兎病特異的と考えられてきたプライマーを用いたPCRで陽性となるマダニが発見されたが、野兎病菌に極めて近縁な菌がマダニで保有されている可能性が高いと考えられた。国内死亡鳥類、捕殺ツキノワグマについての調査では重要な病原体は検出されていない。一方、狂犬病の診断体制構築における基盤技術としてのイヌ脳幹部の採材を滞りなく行うための教材として、イヌの頭部解剖モデルの作成を試み、基本的設計に必要な3Dイメージを取得した。
結論
国内での存在は明らかにされているがその存在様式が不明な動物由来感染症について実態調査を行った。Q熱については調査のための方法論を確認した。その他については実際に調査を行い、部分的にではあるがその実態を明らかにした。今後調査研究を継続する。

公開日・更新日

公開日
2008-05-02
更新日
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