深在性真菌症と輸入真菌症に関する新しい検査法と抗真菌薬の開発、並びに病原因子の解明に向けたポストゲノムの基盤的研究

文献情報

文献番号
200726037A
報告書区分
総括
研究課題名
深在性真菌症と輸入真菌症に関する新しい検査法と抗真菌薬の開発、並びに病原因子の解明に向けたポストゲノムの基盤的研究
課題番号
H19-新興-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
新見 昌一(国立感染症研究所生物活性物質部)
研究分担者(所属機関)
  • 亀井 克彦(千葉大学真菌医学研究センター)
  • 槇村 浩一(帝京大学医真菌研究センター)
  • 渋谷 和俊(東邦大学医学部)
  • 上 昌広(東京大学医科学研究所)
  • 菊池 賢(順天堂大学医学部)
  • 杉田 隆(明治薬科大学)
  • 上原至雅(岩手医科大学薬学部)
  • 大川原 明子(国立感染症研究所生物活性物質部)
  • 宮崎 義継(国立感染症研究所生物活性物質部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
42,720,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
深在性真菌症と輸入真菌症に関する新しい検査法と抗真菌薬の開発を行うことを目的とした。また真菌病原因子の解明に向けたポストゲノムの基盤的研究を行った。
研究方法
輸入真菌症の国内発生状況は、全国の主要医療機関へ問い合わせて調査した。国内の潜在的ヒストプラスマ症の可能性を知るために抗ヒストプラスマ抗体検査を行った。カンジダ属菌を中心とした臨床分離真菌株の遺伝的多様性を解析した。その他、診断法の開発、病原性発現機構、薬剤耐性に関する基礎研究を行った。
結果と考察
(1) 輸入真菌症については、ヒストプラスマ症が増加傾向にあった。肺線維症患者を対象に抗ヒストプラスマ抗体検査を行ったが、国内感染を疑うヒストプラスマ症陽性例はなかった。今後はさらに症例数を増やす必要がある。(2) ヒストプラスマ症血清診断法、ニューモシスチス症遺伝子診断法、マラセチア症起因菌の同定法、アスペルギルス症早期診断法、マルネッフィー型ペニシリウム症起因菌定量検出法等について新規真菌症診断法の開発および改良を行い一定の成果が得られつつある。(3) 1200臨床分離株をデータベース化し、Candida 属菌の遺伝的多様性をしらべた。(4) 子嚢菌および担子菌の両方に抗真菌活性を有する海生菌由来のエキスを見出した。また海洋微生物由来の化合物および培養ろ液から真菌の薬剤耐性に関わるABCトランスポーターの阻害物質を見出した。(5) C. albicansの細胞壁マンノース転移酵素遺伝子の破壊株作製に着手し、宿主の炎症惹起との関連について基礎検討を行った。
結論
本事業においては、輸入真菌症、深在性真菌症の発生動向調査を行い、遺伝子診断法の実用化、深在性真菌症の早期迅速診断法の開発研究を行った。また講習会等による診断技術の普及、真菌症の発生動向等の情報の提供に務め、ガイドラインの配布などを積極的に推進している。しかし、真菌症の重要性の理解を深めるにはなお一層の努力を要する。一方、基礎研究としては、分子遺伝学的診断法の開発および抗真菌性化学療法剤に対する耐性機構の解明および真菌と宿主との相互作用に基づく発症機序の解明を試みている。また新しい抗真菌剤の開発につながる成果が得られた。これらの研究によって期待される成果は真菌感染症から国民を守るために多大の貢献をするものと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2008-05-02
更新日
-