インフルエンザ(H5N1)の死因となる劇症型ARDSの病態解析と治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200726034A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザ(H5N1)の死因となる劇症型ARDSの病態解析と治療法の開発に関する研究
課題番号
H19-新興-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
河内 正治(国立国際医療センター手術部)
研究分担者(所属機関)
  • 布井 博幸(宮崎大学医学部生殖発達医学講座小児科分野)
  • 本間 栄(東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科)
  • 前原 康宏(国立国際医療センター麻酔科)
  • 松下 竹次(国立国際医療センター小児科)
  • 尾崎 由佳(国立国際医療センター麻酔科)
  • 松谷 厚子(国立国際医療センター麻酔科)
  • 鈴木 和男(千葉大学大学院医学研究院免疫発生学)
  • 中山 俊憲(千葉大学大学院医学研究院免疫発生学)
  • 山本 健二(国立国際医療センター研究所 国際臨床研究センター)
  • 大島 正道(国立感染症研究所免疫部)
  • 川上 和義(東北大学医学部保健学科検査技術科学専攻)
  • 赤池 孝章(熊本大学大学院医学薬学研究部)
  • 荒谷 康昭(横浜市立大学大学院 国際総合科学研究科)
  • 永田 典代(国立感染症研究所 感染病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
61,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本国内研究機関とベトナム国立病院が連携し、インフルエンザ(H5N1)を含む劇症型ARDSの病態を臨床・基礎医学両面から解析、病態の特定マーカとなる因子を抽出、インフルエンザ(H5N1)による脳症発症の有無を検証し、将来の治療薬開発研究につなげる。
研究方法
臨床班:ベトナム関係医療機関(国立小児病院および国立熱帯感染症研究所)と共同で、H5N1感染症例を含む劇症型ARDSについて過去症例の臨床経過・病態のデータの洗い出しと、今後の症例を抽出しBALF/血清採取/biopsy(or autopsy)を行い、検体中のマーカを現地にて測定可能にし、病理学的検討を加える。国内ARDS症例について、超急性期にBALを行いBALF/血清中の複数のサイトカインなどを測定して特定マーカとなる因子を解析する。基礎班:劇症型ARDS動物モデルを作成し、モデル動物およびARDS患者のBALF/血液におけるサイトカイン等を測定、特定マーカ因子を抽出する。
結果と考察
臨床班:ベトナム関係医療機関(国立小児病院および国立熱帯感染症研究所)と研究班の間での研究計画書の作成-締結、H5N1を含む劇症型ARDS症例についての研究活動開始、研究遂行のための測定機器の導入・測定開始、国内ARDS症例対象研究計画書の作成(倫理委員会承認)/研究活動開始(目標30症例/3カ年)、ベトナムにおける小児インフルエンザ(H5N1)症例データ集積開始(目標60症例/3カ年)、以上について成果が得られた。病理所見については発表した(Jap J Infect Dis 61(2) : 157-160, 2008)。基礎班:劇症型ARDS動物モデル(VILIモデルマウス)の基本条件の確立、モデル動物およびARDS患者のBALF/血液におけるサイトカイン等特定マーカ因子の測定開始した。
結論
インフルエンザ(H5N1)感染による劇症型ARDS患者の病態解析とその原因を究明することは将来のパンデミック対策としても重要であり、その目的に向かって、臨床・基礎医学両面からの緊密な提携をもった研究が不可欠である。本研究では、ベトナムにおけるヒトH5N1症例とインフルエンザ(H5N1)感染による劇症型ARDS病態のモデル動物を使用してサイトカインストームと産生細胞の機能調節分子を明らかにし、インフルエンザ(H5N1)型ARDSの迅速特異診断および治療法を提案することを最終目標とし、20年度以降この目的に沿ったさらなる研究展開を予定している。

公開日・更新日

公開日
2008-05-02
更新日
-