医療機関における感染症伝播に関する研究

文献情報

文献番号
200726030A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関における感染症伝播に関する研究
課題番号
H19-新興-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 久義(独立行政法人国立病院機構熊本医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 工藤 宏一郎(国立国際医療センター)
  • 加藤 はる(国立感染症研究所)
  • 中村 浩幸(国立成育医療センター研究所)
  • 大久保 憲(東京医療保健大学医療情報学科)
  • 河野 文夫(国立病院機構熊本医療センター)
  • 切替 照雄(国立国際医療センター)
  • 西岡 みどり(国立看護大学校看護情報・管理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
34,560,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、改正感染症法に関する医療機関の周知を計るとともに、規模や種類を考慮したハイリスクの部署や医療行為などを同定し、院内感染症対策の均霑化、医療現場で実施可能な消毒・滅菌法のガイドラインの見直し、EBMのためのゲノム疫学、薬剤耐性菌分析、行動分析をとおして、全国の医療機関で実施可能な院内感染症対策を普及させることである。
研究方法
さまざまな医療現場での院内感染のハイリスクポイントを同定し、そのリスク管理体制を総合的に確立するために、全国の医療機関の感染制御チーム(ICT)の協力を得て、さまざまな規模の医療機関による研究グループを組織し、以下の項目を研究した。1)院内感染症対策の実態及び改正感染症法の周知に関する研究、2)感染制御法の普及に関する研究、3)消毒・滅菌ガイドラインの作成:医療施設における洗浄・消毒・滅菌に関する状況を把握するための研究、4)Clostridium difficile施設内感染における研究、5)行動分析によるEBM創出、6)病院施設の規模別の感染対策の実態調査、7)医療機関における感染症伝播に関する研究、8)ゲノム疫学による感染伝播リスクの評価。
結果と考察
全国の医療機関を対象に、院内感染症対策の実態及び改正感染症法の周知に関するアンケート調査の結果、専門の医療従事者の不足、ICT活動の拡大、特定感染症対応マニュアルの普及など改善すべき点が判明した。特定病原体の管理・所持に関しては、医療機関が適切に対応している実態が判明した。病院、診療所を合わせて5,000施設に対してのアンケートの結果、器材の洗浄、一次洗浄の状況、滅菌の質保証、滅菌バリデーション、感染制御のための手指衛生、手術時手洗い、術野消毒や術後創の消毒、消化器内視鏡の処理などの状況が明白となった。特に中規模・小規模病院での可能な院内感染症対策活動のあり方を議論する必要が明確化してきた。Clostridium difficile関連下痢症・腸炎を疑った症例から採取された糞便検体からC. difficile分離培養を行い、分離菌株の解析を行う研究協力体制を、国立感染症研究所と医療施設の間で整えた。手指衛生などの行動分析やゲノム疫学によるEBMを検討した。
結論
3年計画の初年度では、院内感染症対策の基本となるICT活動の普及、消毒薬の適正使用の普及、手洗いの行動分析など、我が国の医療機関で改善が必要な点が明確化した。

公開日・更新日

公開日
2008-06-19
更新日
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