リケッチア感染症の国内実態調査及び早期診断体制の確立による早期警鐘システムの構築

文献情報

文献番号
200726027A
報告書区分
総括
研究課題名
リケッチア感染症の国内実態調査及び早期診断体制の確立による早期警鐘システムの構築
課題番号
H18-新興-一般-014
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岸本 壽男(国立感染症研究所ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 安藤 秀二(国立感染症研究所ウイルス第一部 )
  • 猪熊 壽(帯広畜産大学畜産学部獣医学科臨床獣医学講座)
  • 岩崎 博道(福井大学医学部病態制御医学講座内科学(1)領域)
  • 大橋 典男(静岡県立大学環境科学研究所環境微生物学研究室)
  • 岡部 信彦(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 川端 寛樹(国立感染症研究所細菌第一部)
  • 倉田 毅(富山県衛生研究所)
  • 高田 伸弘(福井大学病因病態医学講座)
  • 田原 研司(島根県保健環境科学研究所ウイルスグループ)
  • 堤 寛(藤田保健衛生大学医学部第一病理学)
  • 藤田 博己(財団法人大原綜合病院付属大原研究所)
  • 古屋 由美子(神奈川県衛生研究所微生物部)
  • 山本 正悟(宮崎県衛生環境研究所微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
54,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)つつが虫病の発生持続に加え、近年、日本紅斑熱の増加と死亡例の発生があり、早期対応が急務。(2)輸入リケッチア症例や、国内の新たな紅斑熱群、エーリキア症、アナプラズマ症等の発生への対応が未整備。(3)リケッチア感染症全般の実態把握、早期診断法、リファレンス体制、臨床像解析が不十分。これらの現状を鑑み、リケッチア感染症の国内実態調査及び早期診断体制の確立による早期警鐘システムの構築をし、リケッチア感染症対策に資する。

研究方法
リケッチア症のサーベイランス改善法を検討する。リケッチア感染症の国内実態解明のため、患者発生状況調査と、推定感染地におけるベクターと動物のリケッチア浸淫状況を調査する。PCR診断法の改善の検討や、リケッチア感染症の新規診断ツールの開発を試みる。早期診断法として生検材料や組織からの遺伝子検出法や染色法を検討する。リファレンス体制構築に向けて整備を進める。症例の臨床像の調査と病態像の解析をし、治療効果についてin vitroの実験系での検討を行う。住民への感染予防啓発を行う。
結果と考察
流行地での医師でも、地域によってリケッチア症への認知度に差があり、啓発の重要性が示された。全国的な患者、リケッチア、ダニ、媒介動物についての実態調査では、多くの新たな知見が追加され実態解明が進んだ。日本紅斑熱の患者がこれまでで最北の青森で確認された。さらに近隣国での調査データを追加した。イヌ、ネコと野生動物のリケッチア感染状況を明らかにした。マダニからアナプラズマと、未知の紅斑熱群リケッチアDNAを検出した。高知県で本邦初となるアナプラズマ症を、患者血液からの遺伝子の検出で2例発見した。痂皮が有用な早期診断材料であることを示した。リファレンス体制構築のため、収集株と患者血清のリストを作成し、リケッチア分離法マニュアルの試案を用意した。患者の病態解析では、重症度とサイトカイン血中濃度との関連性を検討し知見を得た。in vitroでの実験系で、テトラサイクリン系薬剤の有効性の機序について検討した。住民への感染予防啓発のためのリスクコミュニケーションを試みた。
結論
リケッチア症の国内実態については、ある程度明らかにすることができたが、アナプラズマ症等の実態など新たに解明すべき課題も明らかとなった。さらに国内実態解明と早期診断体制の確立、早期警鐘システムの構築を目指し検討を進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2008-05-02
更新日
-