性感染症に関する特定感染症予防指針の推進に関する研究

文献情報

文献番号
200726015A
報告書区分
総括
研究課題名
性感染症に関する特定感染症予防指針の推進に関する研究
課題番号
H18-新興-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小野寺 昭一(東京慈恵会医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 川名 尚(帝京大学医学部溝口病院)
  • 松本哲朗(産業医科大学)
  • 塚本泰司(札幌医科大学)
  • 松田静治([財]性の健康医学財団)
  • 本田まりこ(東京慈恵会医科大学医学部)
  • 飯沼雅朗(日本医師会)
  • 岡部信彦(国立感染症情報センター)
  • 大日康史(国立感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
26,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.性器ヘルペス、尖圭コンジローマの新しい診断法を開発する。
2.咽頭の淋菌感染に対する適切な診断法・治療法を確立する。
3.地域を限定した性感染症の全数調査を行って定点調査を検証し適切な定点設計を検討する。
3.若者の性感染症を早期に発見し治療に結びつけるシステムを構築し早期受診を可能にする医療体性を検討する。
研究方法
1.性器ヘルペスについてはLAMP法の開発を行い臨床検体について検出感度を培養法と比較した。尖圭コンジローマでは抗乳頭腫ウイルス抗体を用いてイムノクロマト法による検出を行った。
2.咽頭の淋菌感染の診断法として生食によるうがい液を用い、SDA法、PCR法の精度について検討した。咽頭の淋菌感染の治療法としてCTRX1gの単回投与の有効性について検討した。
3.地域を限定した性感染症の全数調査として、千葉、石川、岐阜、兵庫、岩手、茨城、徳島の7県で日本医師会の協力を得て梅毒と4つの性感染症の調査を行った。
4.若者を対象として関東や関西地区のイベントでクラミジアの無料検査キットを配布すると同時に性行動に関するアンケート調査を行った。
結果と考察
1.性器ヘルペスの診断法としてのLAMP法と培養法の比較では感度88.2%,特異度99.1%と良好な結果を得、今後の臨床応用が期待された。尖圭コンジローマの診断ではイムノクロマト法は各種抗体を用いて検討したが現時点では陽性結果が得られていない。
2.うがい液を用いた淋菌の咽頭感染の診断ではSDA法の精度が高かった。
3.性感染症の全数調査において、定点調査における届出患者数は今回の調査の半数程度であった。両調査で年齢分布はほぼ似通っていたが、10代後半の女性において乖離がみられ定点設計の見直しが必要と思われた。
4.クラミジアの自己検査キットが配布された1850件中、検査陽性者は男性6.5%,女性4.2%であった。検査コーディネーター活動を普及させるため養成マニュアル「虎の巻」を作成した。
結論
1.性器ヘルペスの診断法としてLAMP法は臨床応用が期待できる。
2.咽頭の淋菌感染の診断法としてうがい液を検体としたSDA法の臨床応用が期待できる。CTRX1gの単回投与は性器、咽頭の淋菌を同時に除菌できる。
3.地域を限定した性感染症の全数調査の結果、10代後半の若年層は定点医療機関を受診していない可能性があり、定点の見直しが必要である。
4.無症候の若者における19年度のクラミジアの陽性率はやや減少傾向にあった。検査コーディネーターマニュアル「虎の巻」の普及は性感染症の治療や予防に関する正しい情報を伝えるツールになる。

公開日・更新日

公開日
2008-05-02
更新日
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