文献情報
文献番号
200726011A
報告書区分
総括
研究課題名
海外渡航者に対する予防接種のあり方に関する研究
課題番号
H17-新興-一般-027
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
尾内 一信(川崎医科大学小児科学2講座)
研究分担者(所属機関)
- 市村 宏(金沢大学大学院医学系研究科 ウイルス感染症制御学)
- 西山 利正(関西医科大学 公衆衛生学)
- 庵原 俊昭(国立病院機構 三重病院)
- 岡田 賢司(国立病院機構 福岡病院 小児科)
- 岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
- 金川 修造(国立国際医療センター 国際疾病センター 渡航者健康管理室)
- 寺田 喜平(川崎医科大学 小児科学1講座)
- 中野 貴司(国立病院機構 三重病院 臨床研究部 国際保健医療研究室)
- 中山 哲夫(北里大学 北里生命科学研究所 ウイルス感染制御学)
- 渡邊 浩(久留米大学 医学部 感染医学講座 臨床感染医学部門)
- 飯田 稔(バイオメディカルサイエンス研究会)
- 木村 幹男((財)結核予防会 新山手病院 第二内科)
- 相楽 裕子(横浜市立市民病院 感染症部)
- 萩原 敏且(バイオメディカルサイエンス研究会)
- 濱田 篤郎(労働者健康福祉機構 海外勤務健康管理センター)
- 藤井 達也(自衛隊中央病院内科医官 兼三宿病院一般内科)
- 三木 祐(国立病院機構 仙台医療センター 呼吸器科)
- 三輪 亮寿(三輪亮寿法律事務所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
20,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
海外渡航者が渡航地で必要な予防接種を出国前に受け,安全に渡航できるシステムを構築する.
研究方法
・邦人渡航者のワクチン接種と感染症罹患状況を調査した.
・国内トラベルクリニックの現状を調査した.
・海外渡航者の海外での感染症の危険性とワクチンの知識を調査した.
・未承認渡航者用ワクチンの個人輸入と補償制度を検討した.
・未承認である腸チフスワクチン,髄膜炎菌ワクチンの安全性と有効性を調査した.
・渡航者用ワクチンの抗体持続期間を調査した.
・MRワクチン2回接種の安全性と有効性を調査した.
・国内トラベルクリニックの現状を調査した.
・海外渡航者の海外での感染症の危険性とワクチンの知識を調査した.
・未承認渡航者用ワクチンの個人輸入と補償制度を検討した.
・未承認である腸チフスワクチン,髄膜炎菌ワクチンの安全性と有効性を調査した.
・渡航者用ワクチンの抗体持続期間を調査した.
・MRワクチン2回接種の安全性と有効性を調査した.
結果と考察
・在留邦人は,A型あるいはB型肝炎ワクチンを約半数で接種しているが,破傷風,日本脳炎ワクチンを接種していた人は約1/3のみであった.また,狂犬病ワクチン接種者は20%のみであった.未承認ワクチンである腸チフスワクチンと髄膜炎菌ワクチンを接種していた人はほとんどいなかった.これらのワクチンで予防できる疾患に罹患した人は,延べ65人(3%)であった.罹患者が多いのは,A型肝炎,腸チフス,B型肝炎の順であった.
・海外在住邦人の渡航前受診率は,国内在住邦人の渡航前受診率より2倍高く,海外のほうがトラベルクリニックを渡航前に受診する環境が整っている.
・欧米や海外在住邦人の渡航者に比べて日本在住邦人は渡航先の感染症の危険性に関する認識とワクチンに関する知識が不足していた.
・ワクチンの個人輸入は満足のいく対応であった.ワクチン輸入代理店による自社補償制度は,実行可能であると考えられた.
・腸チフスワクチン,髄膜炎菌ワクチンともに重篤な副反応はなく抗体価上昇も良好であった.
・黄熱,破傷風,ポリオは10年以上,日本脳炎,A型肝炎,B型肝炎は5~10年,狂犬病1.5年であった.
・MRワクチン2回接種は重篤な有害事象はなく抗体の上昇も良好であった.
・海外在住邦人の渡航前受診率は,国内在住邦人の渡航前受診率より2倍高く,海外のほうがトラベルクリニックを渡航前に受診する環境が整っている.
・欧米や海外在住邦人の渡航者に比べて日本在住邦人は渡航先の感染症の危険性に関する認識とワクチンに関する知識が不足していた.
・ワクチンの個人輸入は満足のいく対応であった.ワクチン輸入代理店による自社補償制度は,実行可能であると考えられた.
・腸チフスワクチン,髄膜炎菌ワクチンともに重篤な副反応はなく抗体価上昇も良好であった.
・黄熱,破傷風,ポリオは10年以上,日本脳炎,A型肝炎,B型肝炎は5~10年,狂犬病1.5年であった.
・MRワクチン2回接種は重篤な有害事象はなく抗体の上昇も良好であった.
結論
邦人渡航者は,十分に予防接種をせずに途上国へ渡航し,予想以上に多くの人がワクチンで予防できる疾患に罹患していることが明らかとなった.
海外の感染症やワクチンに対する認識が欧米に比べ乏しく啓発が重要である.
トラベルワクチン接種の対応に大きな地方間格差があり,トラベルクリニックの全国的な普及が必要である.
海外渡航者の未承認ワクチンの接種率が極めて低いため,海外の多くの国で接種されている渡航者用のワクチンが近い将来承認され,さらに身近に接種できる環境づくりが望ましい.
海外の感染症やワクチンに対する認識が欧米に比べ乏しく啓発が重要である.
トラベルワクチン接種の対応に大きな地方間格差があり,トラベルクリニックの全国的な普及が必要である.
海外渡航者の未承認ワクチンの接種率が極めて低いため,海外の多くの国で接種されている渡航者用のワクチンが近い将来承認され,さらに身近に接種できる環境づくりが望ましい.
公開日・更新日
公開日
2008-05-02
更新日
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