有用な結核対策(BCG及び結核感染特異的診断に関する費用対効果分析等)に関する研究

文献情報

文献番号
200726007A
報告書区分
総括
研究課題名
有用な結核対策(BCG及び結核感染特異的診断に関する費用対効果分析等)に関する研究
課題番号
H17-新興-一般-023
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
坂谷 光則(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
研究分担者(所属機関)
  • 矢野郁也(日本ビーシージー製造株式会社 日本BCG研究所)
  • 小倉剛((財)結核予防会大阪府支部 (財)結核予防会大阪病院)
  • 宮野前健(国立病院機構南京都病院)
  • 倉島篤行(国立病院機構東京病院 臨床研究部)
  • 原寿郎(九州大学大学院医学研究院 成長発達医学)
  • 螺良英郎((財)大阪結核研究会 (財)結核予防会大阪府支部)
  • 内村和広((財)結核予防会結核研究所 研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
15,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1. (A)結核発症ハイリスク集団〔結核患者接触者、零細企業従業員、老人ホーム、4結核疾患医療従事者等〕及び(B)デインジャーグループ〔発病すると他に影響(教職員、医療関係者)〕の結核対策(選択的な定期健診・BCG接種を強化)を行うことを目的。
2. 上記グループの定期健診及びBCGの費用対効果解明。
3. BCG接種集団の背景因子を考慮した疫学分析数学モデルの確立。
4. BCGの成人結核予防有効性のエビデンスに基づく研究をハイリスク集団にも適用拡大。
5. ツ反に代わる新しい結核感染特異的診断法Quantiferon(QFT)の開発と費用対効果を解析。
研究方法
1. ハイリスク集団・デインジャーグループの当院職員のQFT結核診断とツ反診断を比較。
2. 老人ホームの結核患者接触者・零細企業従業員・小児結核をQFT診断。
3. 大阪府下10市でのBCG接種の費用対効果解析。
4. QFTの費用対効果解析モデルを用いた数学モデル。
結果と考察
1. 結核感染ハイリスク集団・デインジャーグループの当院職にQFT。結核感染特異性等、より費用対効果QFTの方がツ反よりも優れている。結核性肋膜炎においてQFT診断は費用対効果UP。結核性腹膜炎、心膜炎診断にも有用。
2.老人ホーム・学習塾及び零細企業従業員。QFT有用。
3. BCG接種と費用対効果。大阪府下10市のツ反・BCG接種は、半日出勤か1日出勤体制かで、BCG接種1件あたりの費用は大差なし。実施体制の効率化により費用を節減しうる。
4. BCGは医療従事者で接種群と非接種群で現時点(5年後)で差はない。
5. QFT診断において費用対効果の数学的モデルを作製。QFTの診断特異度が高い場合、PPD診断(ツ反)より費用対効果が大。
6.小児結核では2歳以上でQFT診断有用。
7.BCGによる副反応を投与前に検出し得るSNP解析研究。
8.ツ反に代わる新しい皮内反応による結核特異診断法DPPDを開発。BCGより1万倍強力な新しい結核ワクチン(Hsp65DNA+IL-12DNAワクチン)を開発。
結論
1. 結核感染ハイリスク集団・デインジャーグループにおけるQFT診断の結果、費用対効果はQFTの方がツ反より優れている。
2. BCGワクチンは医療従事者で接種群と非接種群で現時点(5年後)で差はない。
3. QFT診断において費用対効果の数学モデルを作製。
4. 上記集団のBCG接種の有用性を検証。

公開日・更新日

公開日
2008-05-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200726007B
報告書区分
総合
研究課題名
有用な結核対策(BCG及び結核感染特異的診断に関する費用対効果分析等)に関する研究
課題番号
H17-新興-一般-023
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
坂谷 光則(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
研究分担者(所属機関)
  • 矢野郁也(日本ビーシージー製造株式会社 日本BCG研究所)
  • 小倉剛((財)結核予防会大阪府支部 (財)結核予防会大阪病院)
  • 宮野前健(国立病院機構 南京都病院)
  • 倉島篤行(国立病院機構東京病院 臨床研究部)
  • 原寿郎(九州大学大学院医学研究院 成長発達医学)
  • 螺良英郎((財)大阪結核研究会 (財)結核予防会大阪府支部)
  • 内村和広((財)結核予防会結核研究所 研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.(A)結核発症ハイリスク集団〔結核患者接触者、零細企業従業員、老人ホーム、結核疾患医療従事者等〕及び(B)デインジャーグループ〔発病すると他に影響(教職員、医療関係者)〕の結核対策(選択的な定期健診・BCG接種を強化)を行うことを目的。
2.上記グループの定期健診及びBCGの費用対効果解明。
3.BCG接種集団の背景因子を考慮した疫学分析数学モデルの確立。
4.BCGの成人結核予防有効性のエビデンスに基づく研究をハイリスク集団にも適用拡大。
5.ツ反に代わる新しい結核感染特異的診断法Quantiferon(QFT)の開発と費用対効果を解析。
研究方法
1.ハイリスク集団・デインジャーグループの当院職員のQFT結核診断とツ反診断を比較。
2.老人ホームの結核患者接触者・零細企業従業員・小児結核をQFT診断。
3.大阪府下10市でのBCG接種の費用対効果解析。
4.QFTの費用対効果解析数学モデル。
5.BCG費用対効果数理解析。
結果と考察
1.結核感染ハイリスク集団・デインジャーグループにおいて、結核感染特異性等、より費用対効果QFTの方がツ反よりも優れている。結核性肋膜炎においてQFT診断は費用対効果UP。結核性腹膜炎、心膜炎診断にも有用。
2.老人ホーム・学習塾及び零細企業従業員。QFT有用。
3.BCG接種と費用対効果。大阪府下10市のツ反・BCG接種は、半日出勤か1日出勤体制かで、BCG接種1件あたりの費用は大差なし。実施体制の効率化により費用を節減しうる。
4.BCGは医療従事者で接種群と非接種群で現時点(5年後)で差はない。
5.QFT数学的モデルでQFTの診断特異度が高い場合、ツ反より費用対効果が大。
6.小児結核では2歳以上でQFT診断有用。
7.結核特異診断法DPPDを開発。BCGより1万倍強力な新しい結核ワクチンを開発。
9.BCGの費用対効果:1人あたりの患者発生予防費用は2,700万円と推定。
結論
1.結核感染ハイリスク集団・デインジャーグループにおけるQFT診断の結果、費用対効果はQFTの方がツ反より優れている。
2.BCGワクチンは医療従事者で接種群と非接種群で現時点(5年後)で差はない。
3.QFT診断において費用対効果の数学モデルを作製。
4.上記集団のBCG接種の有用性を検証。
5.BCGの患者発生予防費用の数理解析。

公開日・更新日

公開日
2008-05-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200726007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1.結核感染ハイリスク集団・デインジャーグループにおいて、結核感染特異性等、より費用対効果QFTの方がツ反よりも優れている。結核性肋膜炎においてQFT診断は費用対効果UP。結核性腹膜炎、心膜炎診断にも有用。
2.BCGは医療従事者で接種群と非接種群で現時点(5年後)で差はない。
3.BCGの費用対効果:1人あたりの患者発生予防費用は2,700万円と推定。
臨床的観点からの成果
1.小児結核では2歳以上でQFT診断有用。特に6才以上の小児で有用で、治療適応決定可能。小児結核ではアネルギー症例でツ反陽性例でもQFT陰性。QFTの限界を示した。乳幼児の潜在性感染例ではQFTの感度が低い可能性。接触者健診で感染リスクの高いQFT陽性例は、INH予防投与を基準化。
2.結核感染ハイリスク集団・デインジャーグループにおけるQFT診断の結果、費用対効果はQFTの方がツ反より優れている。
ガイドライン等の開発
1.小児結核では2歳未満の場合、ツベルクリン反応陽性でもQuantiferon(QFT)診断陰性のことがあることを発見した。小児では2歳以上でQFT診断を行うべきである。ガイドラインを作製予定。
2.デインジャーグループ(医療関係者等)の結核感染スクリーニングにツベルクリン反応に代わりQFTを行うガイドラインを国立病院機構呼吸器ネットワークで計画。
その他行政的観点からの成果
1.BCG接種と費用対効果。大阪府下10市のツ反・BCG接種は、半日出勤か1日出勤体制かで、BCG接種1件あたりの費用は大差なし。実施体制の効率化により費用を節減しうる。
2. (A)結核発症ハイリスク集団〔結核患者接触者、零細企業従業員、老人ホーム、結核疾患医療従事者等〕及び(B)デインジャーグループ〔発病すると他に影響(教職員、医療関係者)〕の結核対策(選択的な定期健診)を行う厚生行政が重要であることを明らかにした。
その他のインパクト
1.最近新聞をにぎわすことが多い学校や学習塾での結核集団感染事例において、QFT診断により結核感染が高い人を特異的に早期に発見できるようになった。これらの人にINH予防投与を行う施策が普及しつつあり、厚生行政にインパクト。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
11件
学会発表(国内学会)
56件
学会発表(国際学会等)
9件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Yoshida S, Suzuki K, Sakatani M, et al.
Molecular Epidemiology of Mycobacterium tuberculosis-Comparision between Multidrug-Resistant Strains and Pan-Sensitive Strains.
Kekkaku , 82 (6) , 531-538  (2007)
原著論文2
Tsuyuguchi K,Yoshida S, Sakatani M, et al.
Exogenous re-infection by multidrug-resistant tuberculosis.
Kekkaku , 81 , 41-43  (2006)
原著論文3
Yoshida S, Suzuki K, Sakatani M, et al.
Molecular epidemiological analysis of Mycobacterium kansasii isolates.
Kekkaku. , 82 (2) , 103-110  (2007)
原著論文4
Suzuki K, Yoshida S, Sakatani M, et al.
Chemotherapy for pulmonary M.kansasii disease.
Kekkaku , 81 , 80-81  (2006)

公開日・更新日

公開日
2016-06-27
更新日
-