アジア地域との研究ネットワークの活用による多剤耐性結核の制御に関する研究

文献情報

文献番号
200726005A
報告書区分
総括
研究課題名
アジア地域との研究ネットワークの活用による多剤耐性結核の制御に関する研究
課題番号
H17-新興-一般-021
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 全司(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 菅原 勇(財団法人結核予防会結核研究所 抗酸菌レファレンスセンター)
  • 服部俊夫(東北大学大学院医学系研究科 内科病態学)
  • 野内英樹(長崎大学熱帯医学研究所国際連携戦略本部)
  • 慶長直人(国立国際医療センター研究所・呼吸器疾患研究部)
  • 櫻田紳策(国立国際医療センター研究所・呼吸器疾患研究部)
  • 高鳥毛敏雄(大阪大学大学院医学系研究科・社会環境医学講座)
  • 阿部千代治(日本ベクトン・ディッキンソン研究所 学術情報部)
  • 竹田 潔(大阪大学大学院医学系研究科・免疫制御学)
  • 坂谷光則(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
31,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.多剤耐性結核の多数発症がアジア地域で大問題。有効な治療法がない。したがって、アジア地域との研究ネットワークを、一層強固にし、多剤耐性結核制御研究を行う。
2.アジア地域のコホート研究。
3.新しい結核予防・治療ワクチン、化学療法剤を開発。
4.多剤耐性結核の宿主要因、菌側の要因解明。
5.スーパー・スプレッダー(S・S)多剤耐性結核菌の対策。
研究方法
1.アジア地域、特にタイ、中国の多剤耐性結核の菌側因子及び宿主要因を解析。
2.フィリピンのサルの系で結核ワクチン予防・治療。
結果と考察
1.アジア地域との研究ネットワークは、一層強固になった。
(1)タイ:(チェンライ県)多剤耐性結核の分子・疫学コホート対策。
再登録例で高い。
(2)中国:多剤耐性結核菌DNA研究
(a)中国瀋陽のXDR-TB:15%でMDR-TB、そのうち12%がXDR-TB
(b)北京では、SM耐性遺伝子解明。日本に比べSM耐性結核菌多い。
(3)インド:ニューデリー・シン教授と共同研究。二国間研究。
(4)国際ワクチン学会シンポジスト。国際的評価。
(5)シンガポール:発見したINH低レベル耐性菌を解析。
2.HVJ/Hsp65DNA+IL-12DNAワクチンは、超薬剤耐性結核(XDR-TB)に対する強力な治療ワクチン。サルでも治療効果。
3.BCGよりも1万倍強力な結核ワクチン効果。(マウス)
4.サルで100%生存率の画期的な結核予防ワクチン効果。
5.新しい化学療法剤(OPC,CPZ)が多剤耐性結核・S・S多剤耐性結核・XDR-TBに有効。第Ⅱ相臨床試験計画。
6.TRIF/MyD88が結核に重要。TLR刺激産生リポカリン2が抗結核作用。
7.結核菌殺傷タンパクGranulysin(Gra)遺伝子導入マウス作成。多剤耐性結核患者でキラーT産生Gra低下。タイの慢性化TB患者でGra産生異常。
8高活性のHVJ-Eパウダー・ベクター開発。
9.結核予防・治療ワクチン・化学療法剤の開発はアジア地域の多剤耐性結核対策に貢献し、日本国内行政・国際協力施策にきわめて重要。
結論
1.タイ・中国で多剤耐性結核の分子・疫学コホート研究。
2.アジア地域(中国)にもS・S多剤耐性結核を初めて発見。中国でXDR-TB 12%、タイ1%。一方本邦で50%以上。
3.BCGより1万倍強力な結核予防ワクチン(Hsp65+IL-12DNA)開発に成功。
4.このワクチンが多剤耐性結核治療効果。世界で最初の発見。
5.多剤耐性結核に有効な新しい化学療法剤の開発に成功。

公開日・更新日

公開日
2008-05-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200726005B
報告書区分
総合
研究課題名
アジア地域との研究ネットワークの活用による多剤耐性結核の制御に関する研究
課題番号
H17-新興-一般-021
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 全司(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 菅原勇(財団法人結核予防会結核研究所 抗酸菌レファレンスセンター)
  • 野内英樹(長崎大学熱帯医学研究所 国際連携戦略本部)
  • 慶長直人(国立国際医療センター研究所 呼吸器疾患研究部)
  • 服部俊夫(東北大学大学院医学系研究科 内科病態学)
  • 高鳥毛敏雄(大阪大学大学院医学系研究科 社会環境医学講座)
  • 櫻田紳策(国立国際医療センター研究所 呼吸器疾患研究部)
  • 竹田潔(大阪大学大学院医学系研究科 免疫制御学)
  • 阿部千代治(日本ベクトン・ディッキンソン研究所 学術情報部)
  • 坂谷光則(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター )
  • 赤川清子(国立感染症研究所免疫部免疫工学室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.多剤耐性結核の多数発症がアジア地域で大問題。有効な治療法がない。したがって、アジア地域との研究ネットワークを、一層強固にし、多剤耐性結核制御研究を行う。
2.アジア地域のコホート研究。
3.新しい結核予防・治療ワクチン、化学療法剤を開発。
4.多剤耐性結核の宿主要因、菌側の要因解明。
5.スーパー・スプレッダー(S・S)多剤耐性結核菌の対策。
研究方法
1.アジア地域、特にタイ、中国、インド、フィリピンの多剤耐性結核の菌側因子及び宿主要因を解析。
2.フィリピンのサルの系で結核ワクチン予防・治療。
結果と考察
1.アジア地域との研究ネットワークは、一層強固になった。
(1)タイ:(チェンライ県)多剤耐性結核の分子・疫学コホート対策。
再登録例で高い。
(2)中国瀋陽のXDR-TB:15%でMDR-TB、そのうち12%がXDR-TB
(3)北京では、SM耐性遺伝子、OFLX耐性遺伝子、EB耐性遺伝子解明。日本に比べOFLX、EB、SM耐性結核菌多い。
(4)インド:ニューデリー・シン教授と共同研究。二国間研究。
(5)国際ワクチン学会シンポジスト。国際的評価。
(6)シンガポール:発見したINH低レベル耐性菌を解析。
2.HVJ/Hsp65DNA+IL-12DNAワクチンは、超薬剤耐性結核(XDR-TB)に対する強力な治療ワクチン。サルでも治療効果。
3.BCGよりも1万倍強力な結核ワクチン効果。(マウス)
4.サルで100%生存率の画期的な結核予防ワクチン効果。
5.新しい化学療法剤(OPC,CPZ)が多剤耐性結核・S・S多剤耐性結核・XDR-TBに有効。第Ⅱ相臨床試験計画。
6.TRIF/MyD88が結核に重要。TLR刺激産生リポカリン2が抗結核作用。
7.結核菌殺傷タンパクGranulysin(Gra)遺伝子導入マウス作成。多剤耐性結核患者でキラーT産生Gra低下。タイの慢性化TB患者でGra産生異常。
8高活性のHVJ-Eパウダー・ベクター開発。
9.結核予防・治療ワクチン・化学療法剤の開発はアジア地域の多剤耐性結核対策に貢献し、日本国内行政・国際協力施策にきわめて重要。
結論
1.タイ・中国で多剤耐性結核の分子・疫学コホート研究。
2.アジア地域(中国)にもS・S多剤耐性結核を初めて発見。中国でXDR-TB 12%、タイ1%。一方本邦で50%以上。
3.BCGより1万倍強力な結核予防ワクチン(Hsp65+IL-12DNA)開発に成功。
4.このワクチンが多剤耐性結核治療効果。世界で最初の発見。
5.多剤耐性結核に有効な新しい化学療法剤(OPC、CPZ)の開発に成功。

公開日・更新日

公開日
2008-05-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-01-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200726005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1.中国でも日本と全く同じVNTRで遺伝子パターンが同じスーパー・スプレッダー多剤耐性結核菌(SS-MDR)を発見。
2.中国では日本と比較し、SM耐性遺伝子、EB耐性遺伝子、OFLX耐性遺伝子変異が多い多剤耐性結核菌であることを発見。
3.HVJ/HSP65DNA+IL-12DNAワクチンは超薬剤耐性結核にも治療効果。
臨床的観点からの成果
1.多剤耐性結核患者の入院個室管理が重要であることを明らかにした。
2.日本では超薬剤耐性結核が多剤耐性結核の50%近くと非常に多いことを明らかにした。
3.新しいワクチンは結核予防のみでなく治療効果も強いことをヒトの結核モデルに最も近いサルで明らかにした。
ガイドライン等の開発
1.スーパー・スプレッダー多剤耐性結核菌の発見は厚生行政の多剤耐性結核患者の個室化のガイドラインに反映させた。
2.2004年WHO STOP TB Vaccine MeetingにおいてMemberとして、新しい結核ワクチンおよび新しい結核特異的診断法(QFT)の世界各国での取り組みの推進の提言を共同でWHOに対して行った。
3.チェンライのフィールドは、結核対策のオペレーショナル・リサーチの事例として、WHOのHIV合併結核のガイドラインに貢献し、結核研究所での国際研修に活用されている。
その他行政的観点からの成果
1.多剤耐性結核患者の入院には個室への入院が重要である厚生行政に我々の研究が大きく寄与した。
2.平成20年度より結核患者の個室入院の治療(診療点数)改善に寄与

その他のインパクト
1.平成18年5月30,31日 朝日新聞 「結核新ワクチン開発:BCG超える有効性(高齢者用に期待)」
2.平成18年4月19日 日本経済新聞 「新ワクチンで結核撃退」
3.平成18年7月14日 朝日新聞 「遺伝子治療効果的に注入」
4.平成18年7月25日 Newton 9月号 「成人の結核に効くDNAワクチン」
5.平成18年10月23日 日経バイオテクオンライン
6.平成18年11月6日 日経バイオテク誌 「新しい結核ワクチン」

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
7件
その他論文(和文)
20件
その他論文(英文等)
13件
学会発表(国内学会)
54件
学会発表(国際学会等)
14件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計2件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Okada M, Kita Y, Nakajima T. et al.
Evaluation of a novel vaccine (HVJ-liposome / HSP65 DNA + IL-12 DNA) against tuberculosis using the cynomolgus monkey model of TB.
Vaccine , 25 (16) , 2990-2993  (2007)
原著論文2
Yoshida S, Tanaka T, Okada M. et al.
DNA vaccine using hemagglutinating virus of Japan-liposome encapsulating combination encoding mycobacterial heat shock protein 65 and interleukin-12 confers protection against Mycobacterium tuberculosis by T cell activation.
Vaccine , 24 , 1191-1204  (2006)
原著論文3
Okada M, Kita Y, Kanamaru N, Hashimoto S. et al.
Novel vaccination (HVJ-liposome/HSP65 DNA+IL-12 DNA ) against Tuberculosis using cynomolgus monkey.
41st Tuberculosis and Leprosy Research Conference. , 109-113  (2006)
原著論文4
Nakano H, Nagata T, Okada M. et al.
Immunization with dendritic cells retrovirally transduced with mycobacterial antigen 85A gene elicits the specific cellular immunity including cytotoxic T-lymphocyte activity specific to an epitope on antigen 85A.
Vaccine , 24 (12) , 2110-2119  (2006)
原著論文5
Okada M.
Novel vaccines against tuberculosis.
Kekkaku , 81 (12) , 745-751  (2006)
原著論文6
Kita Y, Tanaka T, Okada M. et al.
Novel recombinant BCG- and DNA-vaccination against tuberculosis in a cynomolgus monkey model.
Vaccine , 23 , 2132-2135  (2005)
原著論文7
Okada M, Tanaka T, Yoshida S. et al.
Novel vaccination (HVJ-liposome/HSP65 DNA + IL-12 DNA and recombinant 72f BCG) against tuberculosis using cynomolgus monkey.
40th Tuberculosis and Leprosy Research Conference US-JAPAN Cooperative Medical Science Program. , 46-50  (2005)

公開日・更新日

公開日
2016-06-27
更新日
-