加齢性難聴に対する地域介入プログラムの有効性評価

文献情報

文献番号
200725015A
報告書区分
総括
研究課題名
加齢性難聴に対する地域介入プログラムの有効性評価
課題番号
H19-感覚器-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
西脇 祐司(慶応義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 武林 亨(慶応義塾大学医学部)
  • 朝倉 敬子(慶応義塾大学医学部)
  • 齊藤 秀行(慶応義塾大学医学部)
  • 水足 邦雄(慶応義塾大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
加齢による難聴の有無は高齢者のQOLの重要な決定要因であり、放置すると感情面、社会面に悪影響を惹起することが知られている。また認知機能低下や主観的健康度悪化との関連も報告されている。その対策は補聴器使用を含むリハビリテーションとされ、日常生活における心理社会的ハンディキャップ、抑うつ、対人関係の改善等が報告されている。しかしながらこれまでの報告は、個人レベルを対象としたクリニカルベースの研究であり、communityを対象とした加齢性難聴者に対する介入計画の有効性に関してのエビデンスは全く不足している。そこで本研究では、加齢性難聴に対する地域介入プログラムの有効性を検証することを目的とする。
研究方法
対象地域は群馬県高崎市倉渕町(65歳以上人口約1500名)。対象地域を平成19年度に介入を行う地域(前期介入地区)と平成20年度に行う地域(後期介入地域)に二分する。介入は、Ⅰ.ベースライン評価、Ⅱ.地域在住高齢者を対象とした加齢性難聴の1次スクリーニング、Ⅲ.提供プログラム決定のための詳細評価、Ⅳ.補聴器フィッティング、本人・家族への教育を含むプログラムの提供、Ⅴ.アウトカム評価から構成される。
評価項目としては、記述疫学的アウトカム指標(1次スクリーニング陽性者数、加齢性難聴者数、耳鼻科的治療必要者数、補聴器必要者数、教育プログラム参加者、補聴器使用者等)ときこえのQOL関連指標(QOLスコア、抑うつ度その他)から成る。
結果と考察
平成19年度は、前期介入地区で上記介入計画のうちI?Ⅳ、後期介入地区でⅠを実施した。1420名よりベースライン情報を得、370名に多面的機能健診、118名に耳鼻科詳細検査を実施し、34名に補聴器を試用させるに至った。(最終確認人数ではないので若干の変動あり)
平成20年度は後期介入地区におけるⅡ?Ⅳの実施と、全地区におけるⅤを行う。最終的にデータを整理統合・解析・総括報告を行う予定である。
結論
本研究計画は2年間にわたる疫学研究(地域介入計画)であり、現時点ではまだ最終的な結果は出ていない。しかしながら、地域にきこえの困難者は多く、補聴器等によりきこえの改善の期待される住民が多く存在することが明らかになった。今後追跡により、個人レベルでのベネフィットとともに地域全体でのプログラムの有効性を検証予定である。なお、平成19年度までの実施結果をもとに、平成20年度日本耳鼻咽喉科学会にて報告すべく現在抄録準備中(平成19年11月現在)である。

公開日・更新日

公開日
2008-05-14
更新日
-