文献情報
文献番号
200725014A
報告書区分
総括
研究課題名
黄斑部疾患診断のための客観的網膜機能評価法の確立
課題番号
H19-感覚器-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
角田 和繁(独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 谷藤学(理化学研究所脳科学総合研究センター脳統合機能研究チーム)
- 三宅養三(愛知淑徳大学医療福祉学部視覚科学専攻)
- 篠田啓(大分大学医学部脳・神経機能統御講座感覚運動医学分野・眼科学 )
- 楠城紹生(株式会社ニデック研究開発本部 探索研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、黄斑部の他覚的機能評価を統合的に行い、より質の高い診断・治療に結びつけるために、黄斑部網膜の神経活動を非侵襲的かつ客観的に評価する新しい検査技術を確立することを目指している。
研究方法
初年度においては黄斑部局所ERGについては、オカルト黄斑症の全容解明を目指した家系調査を新潟大学眼科と共同で開始し、同疾患における黄斑部の電気生理学的評価を体系的に行う準備を行った。網膜内因性信号計測法については、測定機器の精度を向上させるための改良を行うとともに、網膜内層とくに神経節細胞の信号起源への関与を詳細に検討した。また、これまでのCCDカメラによるビデオ撮像に代わり、C-MOSカメラによるスナップショットで色素褪色変化を記録する簡便な方法を新たに開発した。機能的OCTについては、これまでの内因性信号計測法の測定結果をもとに、動物実験用のプロトタイプの設計を行った。
結果と考察
黄斑部局所ERGを用いた臨床研究について今回調査の対象とした家系は、これまでに施行された自覚的、他覚的検査からオカルト黄斑症の罹患者が多数含まれる家系と思われた。今後、黄斑部局所ERGによるスクリーニングにより、本疾患の病態についての理解がさらに深まって行くものと思われる。網膜内因性信号計測法については遅い反応成分を抽出することで、網膜神経節細胞の活動を空間的にマッピングすることができることが分かった。網膜内因性信号計測法は、自覚的視野欠損が明らかになる前の早期の段階における、緑内障の診断および治療を可能にするポテンシャルを持つことが示された。スナップショットによる色素褪色変化のマッピングは、固視が容易であること、光暴露による侵襲が少ないこと、オフラインの網膜位置補正が容易であることなどの理由により、これまでのビデオを用いた連続撮影よりも眼球運動等のノイズも少なく、より実用化に近いプロトタイプの作成に向けて大きく前進することができた。
結論
各計測法の開発段階は異なるものの、それぞれの部門において実用化に向けた大きな進展が得られた。
公開日・更新日
公開日
2008-05-14
更新日
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