ナノテクノロジー、再生医学を融合した人工内耳・人工蝸牛の開発

文献情報

文献番号
200725013A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノテクノロジー、再生医学を融合した人工内耳・人工蝸牛の開発
課題番号
H19-感覚器-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 壽一(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 中川 隆之(京都大学医学部附属病院)
  • 平海 晴一(京都大学医学部附属病院)
  • 坂本 達則(京都大学医学部附属病院)
  • 川野 聡恭(大阪大学大学院基礎工学研究科)
  • 田畑 泰彦(京都大学再生医学研究所)
  • 和田 仁(東北大学大学院工学研究科)
  • 熊川 孝三(虎の門病院)
  • 内藤 泰(神戸市立中央市民病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
23,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究事業は、本邦におけるナノテクノロジー、蝸牛バイオメカニクス、再生医学、組織工学、耳科学の各分野の知見を統合し、医工連携による「内耳再生」を目指すものである。全く新しい発想に基づく聴覚デバイスを世界に先駆けて開発し、内耳再生医学と融合させることにより新規感音難聴治療法を確立することを目的とする。
研究方法
ナノテクノロジーを応用し、圧電素子を応用した人工感覚上皮開発の基盤となるプロトタイプを作製し、その特性を解析した。並行して、人工感覚上皮素材の与える蝸牛基底板振動特性の変化の数値解析を行い、開発すべき人工感覚上皮に求められる条件を解析した。また、組織工学的なアプローチにより、人工感覚上皮を蝸牛内に固定するための加工技術開発を行った。内耳再生に関しては、人工感覚上皮が刺激する標的となるラセン神経節再生を目的とし、自己由来細胞による移植細胞開発を行うと同時に手術手技開発を行った。臨床応用を考慮し、ヒトでの手術手技、手術器機開発に関連する解剖学的な検討を行った。
結果と考察
人工感覚上皮プロトタイプを作製し、音響刺激に対する応答性を計測し、周波数応答性をもったデバイスが開発可能であることが分かった。人工感覚上皮の素材については、モルモット蝸牛基底板に接着した場合の振動特性の変化を数値解析し、厚みに関する条件付けを行うことができた。人工感覚上皮蝸牛内固定に関連して、電極に対するコラーゲン加工技術を開発した。自己由来細胞のソースとして、モルモット骨髄由来細胞および脂肪組織由来細胞の培養、分化誘導の条件の至適化を行い、低侵襲な移植手技開発を行った。また、ヒト側頭骨および人工内耳手術症例の解析から、臨床的な手術アプローチに求められる条件が明らかとなった。
結論
本年度の研究成果から、モルモットに実際に装着する人工感覚上皮開発に必要な条件が明らかとなり、また、多種のデバイスデザインの可能性が判明した。自己由来細胞移植によるラセン神経節再生の基盤と技術となる移植細胞開発を行った。さらに、人工感覚上皮装着に関する基盤技術開発を行った。

公開日・更新日

公開日
2008-06-25
更新日
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