日本各地の手話言語に関するデータベースの作成

文献情報

文献番号
200725004A
報告書区分
総括
研究課題名
日本各地の手話言語に関するデータベースの作成
課題番号
H17-感覚器-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
福田 友美子(国立身体障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 大杉 豊(筑波技術大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
障害者自立支援法では市町村における手話通訳派遣が義務化されている.しかし、(1)聴覚障害者一人ひとりの受けた教育内容に差異が大きいこと、(2)地域による手話の違いが大きいことを主な理由に、標準手話を学んだ手話奉仕員や手話通訳者が聴覚障害者の手話を読み取るときに困難さを感じる傾向が指摘されている.この困難を克服するために,地域や年代によるさまざまな手話表現をデータとして収集し、手話通訳養成、言語地図作成、映像ライブラリーなど汎用的な目的に応用できるシステム作りを目指す。
研究方法
①ろう者の対話を対象にした研究:東京地域と京都地域それぞれに在住するろう者を対象に,40分程度の対談をしてもらい,手話表現を収録する.次に,この一連の対話を用いて,A.使用頻度の高い基本単語をどのような単語か調べる.B.使用頻度の高い単語(基本単語)について,特に地域の特性や高齢者の特性を考慮しながら,どのような語義をもっているか分析する.
②これまでの研究で作製してある東京地区の若い世代の手話言語についての電子辞書に掲載してある単語や文の表現(ビデオ動画)を,東京在住で高齢のろう者や京都在住のろう者にみてもらって,年代や地方によって異なる単語の使い方の違いについて,ろう者に詳細なインタビューを実施し,単語の語義別に違いを整理し,手話言語の時間的な変化や地域による違いを検討する.
結果と考察
① 東京地域の研究:手話言語表現でどのような年代間の違いがあるか検討してきた.平成19年度には,語法が変化した34単語で,特徴を表わしている例文を作成し,各単語単語の高齢ろう者と若いろう者の手話表現を両方のせて,世代による手話言語表現の違いをみられる手話言語のデータベースを作成した.
②京都地域の研究:日本語などの音声言語と同様に手話も通時的に共時的に語彙の変化に富むことが、京都地域でも確認された。
結論
手話言語でも,日本語などの音声言語と同様に,世代間や地域間で,単語の使用法について変化がかなりあることが,東京地区でも京都地域でも,確認された。全国各地で,本研究で実施したのと同様な研究を行い,地域ごとの手話言語の単語の使用法を整理する必要があると考えられる.

公開日・更新日

公開日
2008-04-04
更新日
-

文献情報

文献番号
200725004B
報告書区分
総合
研究課題名
日本各地の手話言語に関するデータベースの作成
課題番号
H17-感覚器-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
福田 友美子(国立身体障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 大杉 豊(筑波技術大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
障害者自立支援法では市町村における手話通訳派遣が義務化されている.しかし、(1)聴覚障害者一人ひとりの受けた教育内容に差異が大きいこと、(2)地域による手話の違いが大きいことを主な理由に、標準手話を学んだ手話奉仕員や手話通訳者が聴覚障害者の手話を読み取るときに困難さを感じる傾向が指摘されている.この困難を克服するために,地域や年代によるさまざまな手話表現をデータとして収集し、手話通訳養成、言語地図作成、映像ライブラリーなど汎用的な目的に応用できるシステム作りを目指す。
研究方法
①ろう者の対話を対象にした研究:東京地域と京都地域それぞれに在住するろう者を対象に,40分程度の対談をしてもらい,手話表現を収録する.次に,この一連の対話を用いて,A.使用頻度の高い基本単語をどのような単語か調べる.B.使用頻度の高い単語(基本単語)について,特に地域の特性や高齢者の特性を考慮しながら,どのような語義をもっているか分析する.
②これまでの研究で作製してある東京地区の若い世代の手話言語についての電子辞書に掲載してある単語や文の表現(ビデオ動画)を,東京在住で高齢のろう者や京都在住のろう者にみてもらって,年代や地方によって異なる単語の使い方の違いについて,ろう者に詳細なインタビューを実施し,単語の語義別に違いを整理し,手話言語の時間的な変化や地域による違いを検討する.
結果と考察
①14人のろう者の30分くらいの日常会話で使用されていた単語の種類ののべ数は,1700語以上にのぼっていた.
②手話単語の構成要素の1種である手型別に単語を分類すると,手型の使用頻度にはおおきな偏りがあった.
③高齢のろう者のほうが,使用する単語の種類が多い傾向がみられた.
④ろう者が生活している社会情勢の変化によって,単語の表現に変化が見られるものがあった.
⑤社会の変化に合わせて,あたらしく出現した単語がかなりあった.
⑥高齢ろう者の対話では,若い世代に比較して,手話言語を特徴付ける「CL」や「ロールシフト」の使用頻度が高かった.
結論
手話言語でも,日本語などの音声言語と同様に,世代間や地域間で,単語の使用法について変化がかなりあることが,東京地区でも京都地域でも,確認された。全国各地で,本研究で実施したのと同様な研究を行い,地域ごとの手話言語の単語の使用法を整理する必要があると考えられる.

公開日・更新日

公開日
2008-04-04
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200725004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究で得られた京都と東京2地域の手話言語の違いや世代の違いについての知見や,東京地域での研究で作製したデータベースは,研究で収集した手話言語サンプルのDVD記録は,手話通訳やろう学校教師を目指している人々が,手話学習を行うの際,教材として役たつと思われる.これらの資料について,関連の機関と相談して,一般に公開することを検討したい.
臨床的観点からの成果
本研究で得られた京都と東京2地域の手話言語の違いや世代の違いについての知見や,東京地域での研究で作製したデータベース,研究で収集した手話言語サンプルのDVD記録は,手話に関係する様々な研究(ろう者のための福祉機器の開発・手話の言語学的研究・ろう者の思考や認知の研究など)にも,大きく役立つと考えられる.これらの資料について,公開することを検討したい.
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
平成19年2月24日に,全国手話研修センターコミュニティ嵯峨野(京都市)で,「高齢ろう者の手話言語に関する研究」をテーマに,シンポジウムを行った.地域の手話言語にかかわる職種にいる方々や手話を毎日使用している方々を中心に150名のご参加をいただき,実施している研究に対して高い関心が寄せられていることを確認した.

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-