優良補助犬の効率的育成と普及に関する生殖工学的研究

文献情報

文献番号
200724032A
報告書区分
総括
研究課題名
優良補助犬の効率的育成と普及に関する生殖工学的研究
課題番号
H19-障害-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 宏志(国立大学法人帯広畜産大学原虫病研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
16,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
障害者の社会参加の促進に資するため、補助犬の人工繁殖技術の開発と実用化および補助犬適性の遺伝子レベルでの診断系の開発を果たし、優秀な補助犬の効率的育成とその啓蒙・普及を達成する基礎・応用研究を計画する。
研究方法
(I)イヌ精子の超急速凍結保存法の開発、(II)盲導犬の人工授精法の普及に関する検討、(III)盲導犬の卵巣移植法の開発、(IV)イヌ胚の凍結保存技術・胚移植技術の開発、および(V)遺伝子多型の解析による盲導犬適性検査法の開発を行った。
結果と考察
(I)スキムミルクとグルコースを基礎とする新規保存液を開発し、これを用いて凍結融解を行ったイヌ精子の人工授精によって6頭の産仔を得ることに成功した。(II) 人工授精を試行・実用化を図っている盲導犬事業所は、5施設に増加しており、人工繁殖技術の啓蒙、普及活動の効果が現われつつある。また、ブルセラ症の摘発のため、血清抗体法およびPCRによる検査系を確立し、全国の盲導犬協会8施設に対してサービスを提供した。(III)凍結融解卵巣の移植後の卵胞数の減少を抑制するために、抗酸化剤およびRhoキナーゼ阻害剤の効果を検討した結果、両者ともに移植片の生着率を向上させる傾向が認められたが、卵胞の減少を抑制する証拠は得られなかった。(IV)ラブラドールリトリバーの初期胚の動態を初めて明らかにするとともに、胚の発生段階の違いによる凍結感受性の差異の存在を明らかにした。(V)性格関連遺伝子の多型と盲導犬適性との間に関連性が存在することを示唆する成績を得た。また、ラブラドールリトリバーの進行性網膜委縮症の遺伝子診断系を確立し、スクリーニングを実施した結果、盲導犬集団の数%に本疾患のキャリアーの存在を認めた。
結論
研究計画に沿った活動によって、新規のイヌ精子凍結保存液の開発を果たすとともに、人工繁殖技術の啓蒙・普及活動およびブルセラ症、進行性網膜委縮症の診断・検査系を確立し、診断サービスを提供した。次年度以降の本研究の遂行によって、一層の優良補助犬の効率的育成と普及が図られるものと考える。

公開日・更新日

公開日
2008-05-14
更新日
-