発達障害児に対する有効な家族支援サービスの開発と普及の研究

文献情報

文献番号
200724027A
報告書区分
総括
研究課題名
発達障害児に対する有効な家族支援サービスの開発と普及の研究
課題番号
H19-障害-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
辻井 正次(中京大学現代社会学部)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 雅彦(鳥取大学医学研究科)
  • 野邑 健二(名古屋大学発達心理精神科学教育研究センター)
  • 宮地 泰士(浜松医科大学子どものこころの発達研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
広汎性発達障害を中心に、発達障害児者の家族支援の有効な方法論の開発のために、実際にペアレント・トレーニングを実施する形態で、基本的な調査を実施した。
研究方法
発達障害児の家族支援において、①家族支援ニーズの把握と、②家族支援技法の開発、③家族の精神的健康について、実践的な調査研究および介入研究を実施した。ペアレント・トレーニングを実際の広汎性発達障害児者の母親を対象に実施し、実際の家族がどういう課題で困るのかについて質的に整理を行うとともに、障害特性に配慮した実際の家族支援の成果として、母親の認知的な枠組みの変化や、さらには精神的健康の改善方法についての検討を行った。対象は、NPO法人アスペ・エルデの会や、愛知県大府市などの協力を得て、発達障害児者の家族等の参加を得た。
結果と考察
①家族支援ニーズとしては、広汎性発達障害の成人期の困難例、学齢期、診断前の子育ての難しい子どもの3つのグループを主任研究者と分担研究者で実施し、質的な把握を行った。さらに、高機能広汎性発達障害児の母親を対象に、障害に対する受容過程に関して、多様な側面での調査研究を行い、早期診断へのニーズが非常に高いことなどが明らかになった。②家族支援技法の開発においては、子育て支援や障害児福祉あるいは教育支援サービスとして実施するモデルを実際に行い、成果をあげることができた。また、成人期の子どもを持つ母親に対して、二次的な精神科疾患などで深刻な状況であっても、取り組める具体的なプログラムの開発ができた。③家族の精神的健康については、広汎性発達障害児者の母親に対する抑うつ状態の高さや、孤立感が浮き彫りになった。しかし、ペアレント・トレーニングの参加によって、抑うつ感が有意に低下することも示され、有効な家族支援によって状態を改善できることも明らかになった。
結論
ペアレント・トレーニングを実際の広汎性発達障害児者の母親を対象に実施し、実際の家族がどういう課題で困るのかについて質的に整理を行うとともに、障害特性に配慮した実際の家族支援の成果として、母親の認知的な枠組みの変化や、さらには精神的健康の改善につながることが明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2008-05-14
更新日
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