「生活機能」低下者の保健福祉施策における国際生活機能分類(ICF)の活用に関する研究

文献情報

文献番号
200724012A
報告書区分
総括
研究課題名
「生活機能」低下者の保健福祉施策における国際生活機能分類(ICF)の活用に関する研究
課題番号
H17-障害-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
仲村 英一(財団法人結核予防会)
研究分担者(所属機関)
  • 上田 敏(財団法人日本障害者リハビリテーション)
  • 丹羽 真一(福島県立医科大学 医学部)
  • 大橋 謙策(日本社会事業大学)
  • 小野 喜志雄(独立行政法人国際協力機構 人間開発部)
  • 有馬 正高(東京都立東部療育センター)
  • 楠 正(日本薬剤疫学会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
10,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 「生活機能低下者」(全年齢の各種障害者、要介護者、難病患者、各種福祉サービス対象者、等)に共通する「中核(コア)的評価指標」を国際生活機能分類(ICF)に立って開発する。
研究方法
○平成17年度に作成した「中核的評価指標」と「拡大中核的評価指標」の第1次試案をもとに、今年度最終版が決定されたICF-CY(国際生活機能分類・児童版<仮称>)との整合性の検討、臨床記録および実際の症例に基づく「指標」の項目および評価点の妥当性の検討、国際的比較による評価点の普遍妥当性(コスタリカ、3歳以上、N=1,507)の検討を行った。
○ICFの派生分類としてWHO-FIC(国際分類ファミリー)2006年会議で採択されたICF-CYの内容が2007年の最終版では内容に少なからず変更があったため、改めて翻訳を行い、その活用法(ICF本体の活用法の検討も含む)について衆知を集めて検討した。
結果と考察
○「活動」「参加」の中核的部分をなす最小限の項目による真の「中核的評価指標」と、より詳細な評価が必要な場合に用いる「拡大中核的評価指標」との2段階の最終案を作成した。共に「活動」「参加」共通リスト内部の階層構造に立脚して5~9章を中心的なものと位置づけ、第1~4章はそれに対する副次的・補足的なものと位置づけた。
○また両者における評価点基準最終案を作製した。
○ICF-CYの翻訳案が完成した。またICF-CYはICF本体と密接な関係を持つものであり、それとの整合性をもって活用されるものであること、「中核的評価指標」の中に問題なく取り入れることができることが確認された。これを通してICF本体の活用法の今後の課題も明らかとなった。
○わが国と社会的文化的背景を異にする外国であるコスタリカにおいて、2年にわたって、対照的な2地域を選んで、わが国と同じ基準・手順を用いて生活機能調査を行った結果、わが国の調査結果から確立された活動・参加の評価基準が国際的にも普遍妥当性を有することが確認され、付随的に各種の貴重な情報が得られた。
結論
○「中核的評価指標」および「拡大中核的評価指標」の最終案および評価点基準を作製した。

公開日・更新日

公開日
2008-06-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200724012B
報告書区分
総合
研究課題名
「生活機能」低下者の保健福祉施策における国際生活機能分類(ICF)の活用に関する研究
課題番号
H17-障害-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
仲村 英一(財団法人結核予防会)
研究分担者(所属機関)
  • 上田 敏(財団法人日本障害者リハビリテーション協会)
  • 丹羽 真一(福島県立医科大学医学部)
  • 大橋 謙策(日本社会事業大学)
  • 有馬 正高(東京都立東部療育センター)
  • 楠 正(日本薬剤疫学会)
  • 小野 喜志雄(独立行政法人国際協力機構人間開発部)
  • 大川 弥生(国立長寿医療センター 研究所 生活機能賦活研究部)
  • 野中 博(日本医師会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 「生活機能低下者」(全年齢の各種障害者、要介護者、難病患者、等)に共通する「中核(コア)的評価指標」を国際生活機能分類(ICF)に立って開発する。
 なお、研究2年度にICF-CY(国際生活機能分類・児童版<仮称>)がICFの派生分類としてWHO-FIC(国際分類ファミリー)2006年会議で新たに採択され、その翻訳、及びICFとの関連性・活用法の明確化が新たな目的として加わった。
研究方法
○初年度に身体障害者福祉法等級表をはじめとする既存の評価法の比較検討、各種生活機能低下者の生活機能の分析、長期経過事例での検討等にもとづき「中核的評価指標」および「拡大中核的評価指標」の第1次試案を作成した。
その後、ICF-CYとの整合性の検討、臨床記録および実際の症例に基づく「指標」の項目および評価点の妥当性の検討、国際的比較による評価点の普遍妥当性の検討などに立って一部修正を加え、両者の最終案および評価点基準を作製した。
○評価点について各種の症例を用いての再検討と、災害時における被災高齢者の生活機能低下のリスク面からの検討を行った。更に外国において我が国と同じ基準・手順で生活機能調査を行い検討した。
○ICF-CYに関連して1)2006年4月案についての検討と我が国の意見(案)の作製、2)途中案及び決定版の翻訳(案)の作製、3)活用法の検討(関連するICF本体の活用法の検討も含む)を行った。
結果と考察
○「活動」「参加」の中核的部分をなす最小限の項目による「中核的評価指標」と、より詳細な評価が必要な場合に用いる「拡大中核的評価指標」との2段階を作成した。共に「活動」「参加」共通リスト内部の階層構造に立脚して5~9章を中心的なものと位置づけ、第1~4章はそれに対する副次的・補足的なものと位置づけた。
○評価点については、わが国の生活機能調査結果から確立された活動・参加の評価基準の国際的な普遍妥当性が確認された。
○ICF-CYの翻訳案が完成し、「中核的評価指標」の中に問題なく取り入れることができることが確認された。
○生活機能調査の結果に基づいて身体障害等級規定の検討を行い、障害種別の同一等級者の間に生活機能に関しては大きな差があること、等、今後の課題を示唆する結果を得た。
結論
○「中核的評価指標」および「拡大中核的評価指標」の最終案および評価点基準を作製した。

公開日・更新日

公開日
2008-06-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200724012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
・様々な「生活機能低下者」(全年齢の各種障害者、要介護者、難病患者、等)に共通する「中核(コア)的評価指標」を国際生活機能分類(ICF)に立って開発することを目的に研究を行った結果、「活動」「参加」の中核部分による「中核的評価指標」と、より詳細な評価が必要な場合に用いる「拡大中核的評価指標」との2種を作成した。これにより様々な分野での生活機能に関するデータ集積及び比較が可能となる。
・我が国で公的に策定された「活動」「参加」の評価点の整合性が、文化的に異なるコスタリカでも確認された。
臨床的観点からの成果
・「中核的評価指標」により個別の生活機能低下者について、チーム間及び施設・サービス機関間の連携に活用が可能となる。
 これが保健・医療・福祉の臨床現場や行政で活用されることを通じて次のようなICF理念が普及・推進される。1)疾患から生活機能への視点の拡充、2)保健、医療、介護、福祉等の分野間・分野内の当事者中心の連携、3)年齢・障害・疾患等の種別を超えた普遍的な視点。
・ICF-CY(児童版:仮名称)の翻訳案を作成し、更に使用上の留意点等をICF本体との関連で明確にし、正しい活用と普及に益する。
ガイドライン等の開発
・様々な「生活機能低下者」(全年齢の各種障害者、要介護者、難病患者、等)に共通する「中核的評価指標」及び「拡大中核的評価指標」を国際生活機能分類(ICF)に立って開発した。
・本研究班の「活動」と「参加」の評価点(案)は厚労省社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会での、わが国の評価点策定の資料となった。
・環境因子の評価点(案)を作成した。
・ICF-CY翻訳(案)を作成し、これはわが国の日本語訳の基礎資料として検討される予定である。
その他行政的観点からの成果
・ICFに関して平成18年7月に厚生労働省社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会が発足し、これまでの研究成果を事務局に提出し、第1回委員会(平成18年7月26日)にてICFの基本的考え方の説明資料等となった。
・WHO-FIC年次会議でのICFに関するわが国の意見の基礎資料となった。
・WHOでのICF-CYの採択にあたり、我が国の意見(案)を作製し、統計情報部ICD室からWHOに提出の意見の基礎資料となった。その他ICF-CY活用法等についての他省庁等との検討資料等を作成した。
その他のインパクト
 厚生労働科学障害保健福祉総合研究推進事業研究成果発表会(平成18年3月17日)として「『生活機能』向上をめざして -ICFの保健・医療・介護・福祉・行政での活用-」を開催した。その他、医療・介護・福祉・行政等の各種専門家向けの講演や研修会・一般市民向け講演等にて、研究成果内容にもとづいた啓発を行っている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
7件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
学会発表(国際学会等)
19件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
5件
その他成果(普及・啓発活動)
20件
厚生労働科学研究・障害保健福祉総合研究成果発表会:「生活機能」向上をめざして-ICFの保健・医療・介護・福祉・行政での活用-平成18年3月17日(金)

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-