脊髄損傷者の生活習慣病・二次的障害予防のための適切な運動処方・生活指導に関する研究

文献情報

文献番号
200724005A
報告書区分
総括
研究課題名
脊髄損傷者の生活習慣病・二次的障害予防のための適切な運動処方・生活指導に関する研究
課題番号
H17-障害-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
樋口 幸治(国立身体障害者リハビリテーションセンター 病院 第一機能回復訓練部 運動療法部門)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,640,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

文献情報

文献番号
200724005B
報告書区分
総合
研究課題名
脊髄損傷者の生活習慣病・二次的障害予防のための適切な運動処方・生活指導に関する研究
課題番号
H17-障害-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
樋口 幸治(国立身体障害者リハビリテーションセンター 病院 第一機能回復訓練部 運動療法部門)
研究分担者(所属機関)
  • 樋口 幸治(国立身体障害者リハビリテーションセンター・病院第一機能回復訓練部)
  • 中澤 公孝(国立身体障害者リハビリテーションセンター・研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脊髄損傷者(脊損者)の生活習慣病、二次障害の対策、予防のための適切な運動処方・生活指導に関する指針を作成することを目的とした。
研究方法
1.脊損者約3500人を対象に、生活習慣病や二次障害などのアンケート調査を行った。
2.運動負荷試験データを収集、運動強度設定に関する基礎的資料を得た。
3.脊損者約100名を対象に、問診、心理検査、心電図・血圧、血液検査、大腸機能検査、骨塩量、泌尿器検査、運動負荷試験、栄養調査、深部静脈血栓等のチェック、腹腔内臓脂肪面積(VF)検査などを行った。
4.脊損者を対象に、定期的トレーニングを試行し、効果の評価を行った。
5.1.-4.の検討から、生活習慣病・二次障害予防に適切な運動処方・生活指導の指針を検討した。
結果と考察
脊損者のアンケート調査から、生活習慣病合併が高く生活スタイルにも多くの問題を認めた。
頸髄損傷者に立位歩行様運動を行い、この運動が運動強度の把握が可能で運動処方上、有用と思われた。
臨床検査で、VF異常、高脂血症、インスリン抵抗性異常、血圧高値、空腹時血糖高値、HbA1c高値を認め、メタボリック症候群の診断基準の適応上の問題も明らかにした。
脊損者のエネルギー消費量について、日本人の食事摂取基準を活用した栄養計画では、脊損者の推定エネルギー必要量が過大評価になった。
VFが、100c㎡以上の脊損者を対象に3ヶ月間のトレーニングを実施し、メタボリック症候群因子に改善を認めたが、運動様式によって効果が異なった。脊損者でも定期的な麻痺域を含めた全身運動は、それらの危険因子を軽減させた。また、身体機能をADL状況等から推測することは不正確であり、運動やスポーツを通して身体機能を再確認することも重要で、その特性を活かし積極的なコミュニケーションを行うことで社会性の向上が導けると考えられた。腕時計型行動識別計を用いた測定から、個人別や脊損者固有の基礎代謝基準値に基けば、確度の高い個別の推計が可能で、日常生活活動の強度を分類できる可能性が示唆された。
結論
脊損者の生活習慣病や二次障害予防のための適切な運動処方・生活指導に関して、下記を提案する。
(1) 運動時間・頻度:週1回以上、1回30分間(日常生活での移動以外)
(2) 運動強度:ニコニコペース運動(乳酸閾値相当)
(3) 運動様式:麻痺域を含めた全身運動の実施

公開日・更新日

公開日
2008-04-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200724005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
脊髄損傷者の生活習慣病および二次障害の実態および現状を把握し、食事や運動など生活スタイルにも問題が多いことが明らかとなった。また、従来用いられている「日本人の食事摂取基準」を活用した栄養計画は脊髄損傷者には適用が困難で、安静時代謝量や活動量による補正を行う必要がある。脊髄損傷者の生活習慣病の予防・治療には、定期的な運動と適正な評価に基づいた食事および健診体制の整備、運動を含む適切な生活環境整備が重要であることが示唆された。
臨床的観点からの成果
脊髄損傷者におけるメタボリック症候群の診断基準は、健常者の基準をそのまま適応できないことが明らかであった。また、障害レベルや受傷経過年数を考慮した診断基準作成の基礎的な資料を得た。そこから、腹囲80cm(ベット上臥位)とメタボリック症候群の因子との関係を見出し、臨床的観点から簡易な指標となることが考えられる。また、栄養学的観点からは、安静時代謝量や活動量の把握が栄養指導上重要と考えられた。
ガイドライン等の開発
脊髄損傷者の生活習慣病や二次障害予防のための適切な運動処方・生活指導に関する検査やトレーニングの実施および栄養学側面から検討を行い、それらを改善し、健康的な生活を営むために、下記の運動処方の項目を提案する。
(1) 運動時間および頻度:週1回以上、1回30分間(日常生活での移動以外)
(2) 運動強度:ニコニコペース運動(乳酸閾値相当)
(3) 運動様式:麻痺域を含めた全身運動(立位歩行様運度や他動的自転車運動)
その他行政的観点からの成果
メタボリック症候群予防のための保健指導導入に際して、障害者を対象とする健診体制の見直しや行政的指導の導入に役立ち得ると考えられ、その整備により、生活習慣病等の二次障害の軽減、予防や早期治療が可能になり、脊髄損傷者に係る医療費の削減にも繋がることが期待される。
その他のインパクト
特に無し

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
日本体力医学会・日本臨床スポーツ医学会・日本脊髄障害学会・日本運動療法学会
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-