文献情報
文献番号
200724004A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者の二次的障害としての窒息事故および誤嚥性肺炎の予防とQOLの向上に関する研究
課題番号
H17-障害-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山田 光彦(国立精神・神経センター精神保健研究所老人精神保健部)
研究分担者(所属機関)
- 樋口 輝彦(国立精神・神経センター)
- 白川 修一郎(国立精神・神経センター精神保健研究所老人精神保健部)
- 高橋 浩二(昭和大学 歯学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
精神障害者がより充実した生活を営むためには「食べる」「話す」といった基本的社会機能の場である歯・口腔・咽頭・喉頭の健康を保持増進することは極めて重要である。一方、「窒息事故」や「誤嚥性肺炎」を契機とした全身状態の急速な悪化は精神障害者の極めて重篤な健康被害・死亡原因として特に重要でありQOLを大きく低下させる誘因となっている。そこで本研究では、精神障害の特性を踏まえた効果的なリスク評価法と支援法を開発することを目的として研究を進めた。
研究方法
(1)誤嚥・窒息のリスク判定と適切な対応のあり方ついての検討、(2)リスク判定を目的とした統合失調症患者の活動・休息リズムに関する調査、(3)精神科専門病院における摂食・嚥下障害を有する精神疾患患者・認知症患者への摂食・嚥下リハビリテーションの具体的取り組みの検討を行った。本研究では、精神科医師、歯科医師、看護師、管理栄養士など複数の専門分野の研究者が連携して共同研究を行った。
結果と考察
(1)精神科病院入院中の摂食/嚥下要支援者を適切な支援サービスへ結びつけるためのフローを整理し、誤嚥・窒息のリスク判定と適切な対応のあり方を提案することができた。(2)一部の統合失調症患者において概日リズム同調能力の低下が明らかとなった。この結果は、種々の介入により概日リズム同調能力を正常化することで、摂食・嚥下機能障害を改善できる可能性を示唆している。(3)先行研究の科学的な分析に基づくチーム医療による摂食・嚥下リハビリテーションの効果として、平成16年度は18件であった摂食・嚥下障害に起因する窒息事故は、平成17年度は7件、平成18年度は9件、平成19年度は6件と、発生件数を減少することができた。
結論
口腔環境および摂食・嚥下機能に着目した生活機能支援法の研究は、脳梗塞後遺症患者などの身体障害者や痴呆性高齢者などにおいてはこれまでも国内外において報告がなされている。しかし、精神症状、薬剤性錐体外路障害、抗コリン性副作用および治療療養環境と口腔内の器質的な状態や口腔・咽頭・喉頭の機能不全が、生活の質とどのように関連しているかについては国内外においてもほとんど研究が進んでいない分野であった。本研究により、精神障害の特性を踏まえた効果的なリスク評価法と支援法を開発するための重要な知見を得ることができた。
公開日・更新日
公開日
2008-03-31
更新日
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