障害者の所得保障と自立支援施策に関する調査研究

文献情報

文献番号
200724002A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者の所得保障と自立支援施策に関する調査研究
課題番号
H17-障害-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
勝又 幸子(国立社会保障・人口問題研究所 情報調査分析部)
研究分担者(所属機関)
  • 本田 達郎(財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 )
  • 圓山 里子(特定非営利活動法人自立生活センター新潟)
  • 遠山 真世(立教大学コミュニティ社会福祉学部)
  • 福島 智(東京大学先端化学技術研究センター)
  • 土屋 葉(愛知大学文学部人文社会学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
社会福祉基礎構造改革の理念である、障害者がその障害の種類や程度、また年齢や世帯状況、地域の違いにかかわらず、個人が尊厳をもって地域社会で安心した生活がおくれるようになるために必要な施策へとつなぐ基礎データを得ることである。
研究方法
独自の調査を実施して、既存の調査では得ることの出来ない障害者の生活実態を明らかにするとともに、それを基礎データとして総合的学際的に研究した。委託研究としてケーススタディを実施した。そこでは制度改正によって影響を強く受けた特徴ある障害当事者への聞き取りによる実態把握を行った。本調査票の参考にした、国民生活基礎調査を目的外使用申請で借り出し、「手助けや見守りが必要」と回答した人を障害者実態調査と比較した。
結果と考察
2回の実態調査を総合して「就労・生活時間・家計」から分析した。就労に関する分析は障害種別や障害程度といった要因に注目し、就労実態を把握した。また、『就業構造基本調査』と比較し、一般との格差や性別による差を明らかにした。時間簿調査から得られたデータを『平成18年社会生活基本調査』と比較した。全国消費実態調査と障害者、障害者世帯を対象とした他の調査と、実態調査比較検討することにより、障害者世帯の家計収支の特徴を明らかにした。理論的研究では、障害者の所得保障と「自立」支援施策をめぐる考察では、「自立」を推進所得保障制度の基本的要件を考察した。障害者の就労支援と教育支援、ではその沿革、現状、課題及び諸外国の取組状況を行政の報告書や先行研究により文献調査を行った。障害者福祉の財政分析と所得保障の効果、では経済学の視点から障害者福祉に対する一般財源の利用が認められる論拠について整理した。イギリスのダイレクトペイメントの歴史的意義と現状を現地調査と文献調査からまとめた。
結論
日本において、障害者の自立は、地域で生活することを基盤に議論されているが、介護労働者の賃金の低さや社会参加への機会の制限などから、なかなか地域生活への移行がすすんでいない。
障害者の多様性を実態把握から踏まえながらも、障害者に限定された議論ではなく、ベーシック・インカムの議論など、すべての人の問題として障害者の問題を捉える必要がある。
地方自治体の障害者プランが自立支援法の開始後どのように機能しているのか政府責任で地方自治体に障害者プランの監視と評価を促すメカニズムを構築すべきである。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200724002B
報告書区分
総合
研究課題名
障害者の所得保障と自立支援施策に関する調査研究
課題番号
H17-障害-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
勝又 幸子(国立社会保障・人口問題研究所 情報調査分析部)
研究分担者(所属機関)
  • 本田 達郎(財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構)
  • 圓山 里子(特定非営利活動法人自立生活センター新潟)
  • 遠山 真世(立教大学コミュニティ社会福祉学科)
  • 福島 智(東京大学先端科学技術研究センター)
  • 土屋 葉(愛知大学文学部人文社会学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
社会福祉基礎構造改革の理念である、障害者がその障害の種類や程度、また年齢や世帯状況、地域の違いにかかわらず、個人が尊厳をもって地域社会で安心した生活がおくれるようになるために必要な施策へとつなぐ基礎データを得ることである。
研究方法
独自調査『障害者生活実態調査』を実施し、そこで得られたデータを基礎とした実証分析研究と文献サーベイによる情報収集と整理及び理論研究の2つの方法で実施された。調査は外部委託することなく、調査員の採用・訓練を行い直接的に本研究チームが実施した。
結果と考察
独自調査からは障害者の生活実態を他の調査では得ることの出来ない2つの側面から明らかにすることができた。それは障害者を同居する家族との関係で把握できたこと。時間簿調査で活動実態を捉えたことである。本調査の特徴は、特定の障害者集団ではなく、行政区域内に登録されている障害者を母集団として無作為に抽出し、年齢を18歳以上65歳未満に限定し、3障害すべてを対象にしたことである。調査から障害者を就労・生活時間・家計から分析した。障害種別・就労の有無・家族種別・性別により障害者の間でも差異がみられた。一般との比較では、障害者は特殊な集団であることが明らかになった。福祉的就労が一般就労とは大きく異なり、社会参加の状況が一般と異なることなどデータとして明らかにされた。
文献サーベイからは、障害の法的定義・認定に関する国際比較、知的障害に関する国際的動向、諸外国の障害者就労支援施策、イギリスのコミュニティケア・ダイレクトペイメント制度等、国際的な情報の収集ができた。本研究で分担研究者や研究協力者に障害当事者の参加を得られた意義は大きい。
結論
日本において、障害者の自立は、地域で生活することを基盤に議論されているが、障害者の社会参加が進んでいるとは言いがたい。それは、障害者の実際の暮らしぶりが一般の人々から見えないからである。障害者の生活実態が見えるような調査を、障害者だけを対象とした調査ではなく一般を対象とした調査において行うことの重要性を本調査は明らかにした。障害者の多様性を実態把握から踏まえながらも、障害者に限定された議論ではなく、ベーシック・インカムの議論など、すべての人の問題として障害者の問題を捉える必要がある。国際社会の動向を調べてみると、障害者権利条約の署名から批准にむけて日本が学ぶべきことは多い。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-01-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200724002C