在宅重度障害者に対する効果的な支援の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
200724001A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅重度障害者に対する効果的な支援の在り方に関する研究
課題番号
H17-障害-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
川村 佐和子(青森県立保健大学健康科学部看護学科)
研究分担者(所属機関)
  • 石鍋圭子(青森県立保健大学健康科学部看護学科)
  • 紙屋克子(国立大学法人 筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 川口有美子(特定非営利活動法人ALS/MNDサポートセンターさくら会)
  • 佐藤美穂子(財団法人日本訪問看護振興財団)
  • 田中雅子(社団法人日本介護福祉士会)
  • 小倉朗子(財団法人東京都医学研究機構東京都神経科学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
10,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
複雑で重度な障害をもつ人々の生活の質向上のための保健福祉等の効果的な支援の在り方を研究する。とくに遷延性意識障害やALSによる障害者を対象として①重度障害を定義し、②遷延性意識障害者及びALSによる障害者の生活実態と支援に関する調査を行い、③遷延性意識障害者に対する看護プログラム及び④効果的な関係職種連携のモデルを作成し、ケアの質保証に寄与する。
研究方法
本研究年度は、目的②については、遷延性意識障害者に対する全国的な生活実態調査を実施した。③④は先駆的な実践例やケアミックス支援例のサービス実態調査を行い、これらの結果よりケアミックスモデル・看護プログラムを作成し、その有効性及び効果的な活用のための課題を検討する。
結果と考察
遷延性意識障害者の実態把握:障害の原因等の複雑性から困難であった全国調査を実施した(n=376)。障害の原因は外傷性と疾患によるものに分かれ、年齢層は若年・高齢の二層性であった。利用制度・サービスの利用状況では、在宅療養継続のための家族介護者のニーズもが明らかとなり、特徴的な生活実態・課題を把握した。
遷延性意識障害の看護プログラムの開発:対象者5名に、障害予防・軽減の看護プログラムを実践し、除皮質硬直や関節拘縮の改善、コミュニケーション方法の確立等の成果を得た。
療養者が連携支援を効果的に利用できるためのツールの開発: 療養者本人が効果的かつ主体的に支援を受けていくために、ALS療養者向けの「自律生活プログラム」を作成した。
効果的な関係職種連携のモデルの作成:看護と介護の連携による「たんの吸引」を安全で効果的に提供するための支援モデルを作成し、支援体制や各職種の責任を明確化して提示した。また、モデルの活用ツールとして、「たんの吸引」の実施に関する「同意書」「連携協定書」等を含めた。また、介護職への業務実態調査に基づくリスク分析を行い、安全な「たんの吸引」の提供のための対応策を明らかにした。
連携支援モデルの検証:訪問看護師、介護職に対する調査により、有用性及び実現化への課題としての体制整備の必要性が明らかとなった。
結論
在宅重度障害者の様々なケアニーズに対応し、安全で効果的な療養生活を保障するための連携支援モデル及び遷延性意識障害者の障害の軽減・予防のための看護プログラムを開発した。いずれも、有用性は示唆されたものの、適切な活用のための支援体制整備の課題が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2008-04-04
更新日
-

文献情報

文献番号
200724001B
報告書区分
総合
研究課題名
在宅重度障害者に対する効果的な支援の在り方に関する研究
課題番号
H17-障害-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
川村 佐和子(青森県立保健大学健康科学部看護学科)
研究分担者(所属機関)
  • 石鍋圭子(青森県立保健大学健康科学部看護学科)
  • 島崎謙治(政策研究院政策研究大学院大学)
  • 紙屋克子(国立大学法人 筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 川口有美子(特定非営利活動法人ALS/MNDサポートセンターさくら会)
  • 古和久幸(学校法人北里学園北里大学)
  • 佐藤美穂子(財団法人日本訪問看護振興財団)
  • 田中雅子(社団法人日本介護福祉士会)
  • 小倉朗子(財団法人東京都医学研究機構東京都神経科学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
複雑で重度な障害をもつ人々の生活の質向上のための効果的な支援の在り方を研究する。とくに遷延性意識障害やALSによる障害者を対象として①重度障害を定義し、②遷延性意識障害者及びALSによる障害者の生活実態と支援に関する調査を行い、③遷延性意識障害者に対する看護プログラム及び④効果的な関係職種連携のモデルを作成し、ケアの質保証に寄与する。
研究方法
目的①は現行制度やケアニーズを検討し、目的②はALS患者・遷延性意識障害者に対する生活実態調査を実施し、③④の基礎資料とした。③④は先駆的な支援実践例のサービス実態調査を行い、ケアミックスモデル・看護プログラムを作成した。支援モデルの効果的活用のための調査や外国の連携システムとの比較を行ない推敲を加え、検討した。
結果と考察
1)重度障害者」の定義:現行制度の定義の課題を加味し、重度障害者ニーズの視点から再定義した。2)遷延性意識障害者の実態把握:障害の原因等の複雑性から困難であった全国調査を実施した(n=376)。障害の原因は外傷性と疾患によるものに分かれ、年齢層は若年・高齢の二層性であった。この成果により、他の重度障害者との比較を可能とする基礎資料を得た。3)ALS患者のケアニーズの把握:ケア提供の時間・人数のニーズ、社会参加支援のケアニーズ等、具体的な要素について調査し、支援モデルの基礎資料とした。4)遷延性意識障害の看護プログラム開発:対象者5名に、障害予防・軽減の看護プログラムを実践し、関節拘縮の改善、コミュニケーション方法の確立等の成果を得た。5)職種間役割分担システムの検討:日米の連携システムについて法律的視点から分析し、日本の状況に適した連携支援モデル作成の資料とした。6)関係職種連携のモデルの作成:連携支援における各職種の責任を明確化し、連携による「たんの吸引」のための支援モデルを作成した。モデルの活用ツールとして、「同意書」「連携協定書」等を含めた。更に、介護職の業務実態調査や「たんの吸引」の実例に基づきリスク分析を行い、安全な「たんの吸引」のための対応策を示した。7)連携支援モデルの検証:訪問看護師、介護職への調査により、有用性及び実現化への課題として、体制整備の必要性が明らかとなった。8)療養者のためのツール開発: 療養者本人が主体的に支援を受けるために、ALS療養者向けの「自律生活プログラム」を作成した。
結論
在宅重度障害者に対する効果的な連携支援のためのモデル及び障害の軽減・予防のための看護プログラムを開発した。このモデルの効果的活用のためには、支援体制整備の必要性が示唆され、今後はモデルの実現化・普及を目指していく。

公開日・更新日

公開日
2008-04-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200724001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
看護学および介護学の視点では、連携支援のモデルを提示するという課題に斬新性がある。また、成果である連携支援モデルおよび障害の軽減・予防の看護プログラムには、検証のための調査も実施しており、有効性が確認されている。更に、取組に利用者が対等に参加していることで、ケア提供者側のみでなく、ケアの受け手である障害者本人からの推敲も加えた点に意義がある。
臨床的観点からの成果
成果である連携支援モデルは、在宅重度障害者のケアニーズの調査を前提として、現状のニーズに即したものを作成した。すでに、有用性については確認しており、在宅重度障害者の療養生活を安全で効果的なものとするために活用可能である。更に、支援モデルの有効な活用のために、現状におけるケア提供のリスクの分析を加えていることにより、具体的な対応策も提示している。
ガイドライン等の開発
保健医療福祉の包括的なケアニーズをもつ在宅重度障害者に対して、まず、関係職種が効果的に連携し、それぞれの責務のもとケア提供するための支援モデルを開発した。更に、在宅重度障害者のうち、遷延性意識障害者に対しては、障害の軽減及び悪化予防のための先駆的な実践・成果に基づく看護プログラムを開発した。
その他行政的観点からの成果
○障害者自立支援法の重度障害者等包括支援サービスにおけるケアミックスをより有効に活用していくための支援体制整備に寄与できる。
○重度障害者等包括支援サービス等をより効果的に行なうために ケアミックスに必要なプログラム、モデル、ツールの提示及び研修等を通しての普及に寄与する。
その他のインパクト
○第12回日本難病看護学会(平成19年8月25日;青森県立保健大学)との共催により、「安心と安全-在宅障害者とともに創るチームのかたち-」と題した公開シンポジウムを開催し、研究成果を発表した。
○遷延性意識障害者に対する看護プログラム開発の取り組みについては、2008年1月15日・16日に「読売新聞夕刊:あんしん社会保障 障害者ケア最前線」で取り上げられ、紹介された。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
31件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
23件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-