地域・職域における生活習慣病予防活動・疾病管理による医療費適正化効果に関する研究

文献情報

文献番号
200722053A
報告書区分
総括
研究課題名
地域・職域における生活習慣病予防活動・疾病管理による医療費適正化効果に関する研究
課題番号
H19-循環器等(生習)-一般-019
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
津下 一代(あいち健康の森健康科学総合センター)
研究分担者(所属機関)
  • 村本あき子(あいち健康の森健康科学総合センター )
  • 石川 貴之(トヨタ自動車 メディカルサポート部)
  • 玉腰 暁子(愛知医科大学 公衆衛生学)
  • 沼田 健之(岡山県南部健康づくりセンター)
  • 小池 城司(福岡市健康づくりセンター)
  • 中川 正美(中川整形外科・内科)
  • 水上 哲秀(水上クリニック)
  • 川渕 孝一(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 医療経済学分野 )
  • 加田 賢治(社会保険中京病院 循環器科)
  • 織田 順(東京医科大学)
  • 宮地 元彦(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 運動生理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
26,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成20年度の特定健診・保健指導制度の導入を踏まえて、効果的・効率的かつ統合的に予防対策を推進する方法論の検討とアウトカム評価のあり方を検討することを目的としている。
①特定保健指導試行事業を行い、健康指標に及ぼす効果を検証する。対象者の特性にあわせ、行動変容を効果的・効率的に惹起するプログラムを開発する。
②保健事業評価のための医療費分析の方法を検討する。
③保健指導の安全性を確保するため、運動指導中の循環器系事故防止対策について検討する。
研究方法
①地域・職域における効果的かつ効率的な生活習慣病予防活動に関する研究:保健指導プログラムおよび教材作成、人材養成などを行い、健診による階層化、保健指導試行事業を実施、健康指標の変化を評価する。
②生活習慣病予防事業による医療費におよぼす効果の検討:レセプトデータと健診データを突合し、データマイニングをおこなう。
③運動に関する保健指導の安全確保に関する研究:文献的考察、3次救急における運動関連の重症心血管事故に関する調査、運動指導時の安全管理に関する調査をおこなう。
結果と考察
①地域・職域の積極的支援モデルでは 308人に対して、教室型、健康増進施設活用型、郵送・IT型などの積極的支援を行い、中間評価でメタボリックシンドローム減少率は42.5%、予備群・該当者の減少率は20.4%であった。対象者特性を考慮したプログラムや教材作成と運用計画、バリアンスへの対応が重要であった。
②1人当たり年間医療費は、高血圧、糖尿病、脂質異常症3疾患併発例が47,051点、2疾患併発例が12,746-22,760点、1疾患のみでは6,060-7,688点、いずれにも罹患していない例が2,128点であり、リスク数を減らすことが医療費適正化に有用である可能性が示唆された。
③文献的考により6METs以上の強度の運動中は心イベントの相対発生リスクが2-56倍も高い。運動指導時の安全管理マニュアルを整備する必要がある。
結論
本年度は、保健指導プログラム作成、人材養成、特定保健指導試行事業の実施と評価を行い、中間評価ではあるがメタボリックシンドローム該当者の減少効果を確認した。これは来年度からの特定保健指導実施に向けたモデルとなりうるものであるため、得られた成果や運用上のノウハウなどについては、研修会や刊行物を通してすでに広く公表し、全国の保険者、保健指導機関が応用できるように情報提供を行うことが重要である。今後、試行事業参加者について追跡調査を行うとともに、今回の評価指標を用いて特定保健指導事業を検証していく。

公開日・更新日

公開日
2008-05-12
更新日
-