わが国の女性における生活習慣病の実態把握と発症要因の探索及び介入に関する研究

文献情報

文献番号
200722052A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国の女性における生活習慣病の実態把握と発症要因の探索及び介入に関する研究
課題番号
H19-循環器等(生習)-一般-018
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
太田 博明(東京女子医科大学 産婦人科)
研究分担者(所属機関)
  • 松村 康弘(独立行政法人国立健康・栄養研究所 情報センター 栄養疫学)
  • 林 邦彦(群馬大学医学部保健学科・疫学)
  • 藤田 利治(統計数理研究所 疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
更年期外来受診者を対象にメタボリックシンドローム(Met-s)の罹患とライフスタイルとの関連性を明確化し,ライフスタイルの改善と通じた発症予防法および進展抑制法を検討・提唱する(研究1)。
また,日本ナースヘルス研究データから生活習慣病の発生の実態と生活習慣・保健習慣などとの関連を分析する(研究2)。
研究方法
研究1
ウエスト周囲径の計測とBIA法にて内臓脂肪面積(VFA)を測定し,BIA法の有用性を検討する。また脂質異常症の血管硬化度として PWV値を測定し,動脈硬化への傾きの把握する。さらに腰椎骨密度(BMD)をDXA法にて測定し,PWVとの関係を検討する。
研究2
調査データから身長、体重、ウエスト周囲長、血圧値、血液検査値の情報があり、人工閉経者以外の40?59歳の9,647名を解析対象とした。さらにサブサンプルに連続1週間の食事日誌(記録法)および食品摂取頻度調査票による調査を行い,加速時計を用いて、連続1週間の日常身体活動量を測定する。
結果と考察
研究1
(1) 臍部ウエスト周囲径とVFAとは有意な正相関を呈し,合併症数はウエスト周囲径よりもVFAの方がより関係していることが判明し,BIA法によるVFAはMet-s診断および管理に有用性が認められた。
(2) PWV値とTC値およびLDL-C値とは相関を認めなかったが, TG値とPWV値とは有意な正相関を,またHDL-C値とは有意な負相関を呈し,PWV値は脂質代謝の劣化とともに上昇を認めた。
(3) BMDとPWV値は有意な負相関を呈し,低骨密度であるとPWV値は高く,動脈硬化傾向にあることが判明した。
研究2
Met-sを示す者の割合全体では3.4%と低かった。年齢階級別には、40?59歳の年齢に従いその割合は上昇した。なお,栄養素摂取量や身体活動量のデータは解析中である。
結論
研究2
BIA法によるVFAは臍部ウエスト周囲径の測定よりもMet-sによる合併症数を反映する検査法であった。またPWV値はMet-s診断基準のTG値およびHDL-C値と相関し,動脈硬化の指標として有用性があることが判明した。
研究1
生活習慣は男女で大きく異なり,女性における生活習慣の健康影響についてのエビデンスは不足しているが,全国の成人女性を対象とした本研究から女性特有の健康問題を解明し,健康ケアの疫学的エビデンスの抽出が可能となる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
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