多施設コホートを基盤とした糖尿病・メタボリックシンドロームの発症要因と脳卒中・心筋梗塞の発症に果たす役割に関する前向き研究

文献情報

文献番号
200722051A
報告書区分
総括
研究課題名
多施設コホートを基盤とした糖尿病・メタボリックシンドロームの発症要因と脳卒中・心筋梗塞の発症に果たす役割に関する前向き研究
課題番号
H19-循環器等(生習)-一般-017
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
吉政 康直(国立循環器病センター 動脈硬化代謝内科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡山 明(結核予防会 第1健診部)
  • 河野 雄平(国立循環器病センター 高血圧腎臓内科)
  • 清原 裕(九州大学医学研究院 環境医学)
  • 斎藤 重幸(札幌医科大学内科学第2講座)
  • 宮本 恵宏(国立循環器病センター 動脈硬化代謝内科)
  • 小久保喜弘(国立循環器病センター 予防検診部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では糖尿病とメタボリックシンドローム(MetS)の増加が指摘されているが、同一集団においてこれらの有病率を長期に比較検討がほとんどされていない。本研究は同一集団に糖負荷検査を2度実施し、(1)90年代との有病率を比較し、糖尿病・境界型の推移を把握する、(2)糖尿病・境界型、MetSの罹患要因を明らかにする、(3)糖負荷試験をベースラインに循環器疾患発症との追跡研究を行う、(4)3施設のデータを統合し、腹囲や糖尿病・境界型と循環器疾患の発症・死亡との関係を生活習慣要因も考慮した解析を行い、今後の保健指導に役立つデータを資することを目的とする。
研究方法
3施設データ統合研究は、倫理委員会の承認を受け、厚生労働省大臣官房統計情報部に目的外利用申請を行った。吹田研究では、倫理委員会の承認を得て糖負荷検査を開始した。前回糖負荷検査を受けた30?59歳の同意された住民を対象に、糖負荷検査を実施した。血清は凍結保存し、後で一括測定する。久山研究では、全住民の75.0%の受診率を得て、約3000名の糖負荷検査のデータを得た。端野壮瞥町研究では、糖負荷検査からIFGまたはIGTを分類し、インスリン作用や分泌能を評価し,血圧値や空腹時採血による脂質値を測定した。
結果と考察
吹田研究では、糖尿病型は全脳卒中、脳梗塞でリスクであった。男女別では、男性の糖尿病が循環器疾患、全脳卒中、脳梗塞でリスクであった。また、腹囲は60歳未満の男性と60歳以上の女性において循環器疾患との関係がみられたが、生活習慣も合せて調整するとすべての関連がなくなった。BMIは循環器疾患との関連性が見られなかった。MetS(日本診断基準)は、60歳未満の男性と全年齢対象の女性で循環器疾患との関係がみられた。久山研究では、代謝性疾患の頻度が増加しており、特に糖尿病有病率が10年間で男女共に増加がみられた。一方、MetSの有病率は、用いる基準によって大きな違いがみられた。端野壮瞥町研究では、インスリン感受性障害やβ細胞機能低下に基づく食後の血糖高値がみられ、血圧値や脂質異常との関連が明らかにされた。
結論
腹囲及びMetSは、性年代別に循環器疾患との関係を見る必要性がある。糖尿病有病率は男女ともに顕著な増加が認められた。3施設のデータを統合したデータベースから、糖尿病型、境界型と循環器疾患との関連を解析し、どの様な生活習慣要因が糖尿病またはMetSの罹病予防につながるか次年度以降解析可能となった。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
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