日本人における動脈硬化性大動脈弁膜疾患の発症・進展予防に関する研究

文献情報

文献番号
200722049A
報告書区分
総括
研究課題名
日本人における動脈硬化性大動脈弁膜疾患の発症・進展予防に関する研究
課題番号
H19-循環器等(生習)-一般-015
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山本 一博(大阪大学臨床医工学融合研究教育センター)
研究分担者(所属機関)
  • 増山 理(兵庫医科大学医学部)
  • 中谷 敏(国立循環器病センター)
  • 吉田 清(川崎医科大学医学部)
  • 木佐貫 彰(鹿児島大学医学部保健学科)
  • 尾辻 豊(産業医科大学医学部)
  • 赤阪 隆史(和歌山県立医科大学医学部)
  • 大手 信之(名古屋市立大学大学院医学研究科)
  • 平野 豊(近畿大学医学部附属病院)
  • 山本 秀也(広島大学病院)
  • 寒水孝司(大阪大学臨床医工学融合研究教育センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
23,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国でも、欧米と同様に大動脈弁硬化を指摘される患者数は急速に増加している。高齢者の大動脈弁硬化は16%もの高頻度で大動脈弁狭窄に移行し、病態が悪化すると治療の第一選択は大動脈弁位人工弁置換術となるが、高齢患者の手術リスクは高く、手術対象患者の増加は医療費増大にもつながる。本研究は、日本人高齢者における大動脈弁硬化の背景因子と本病態の経年変化の解析から、発症進展予知に結びつく指標と進展促進要因を探索し一次予防法の確立を目指すと同時に、発症後の病態進展阻止に結びつく薬剤を見出し、治療介入指針を確立することを目的とする。
研究方法
1) 後向き調査研究
対象
過去3年以内に、心エコー検査にて大動脈弁の変性変化または狭窄所見を認めた50才以上の症例500例。リウマチ性心疾患、大動脈弁位人工弁置換術あるいは大動脈弁形成術後、その他主治医が不適当と判断した症例は除外。

調査項目
登録時および2-5年前の患者背景、心エコー検査データ、血液検査データを登録する。

2) 前向き調査研究
対象
心エコー検査にて大動脈弁の変性変化または狭窄所見を認めた50才以上の外来追跡可能な症例300例(3年間で登録)。リウマチ性心疾患、大動脈弁位人工弁置換術あるいは大動脈弁形成術後、その他主治医が不適当と判断した症例は除外。
調査項目
登録時、およびその後1年毎に3年間、患者背景、心エコー検査データ、血液検査データを登録する。さらに、調査期間内における、狭心痛や失神の発現、心不全の出現ないし増悪、心不全症状の推移(NYHA、SAS)、心血管イベントに基づく入院、大動脈弁位人工弁置換術ないし形成術の施行、心血管死、全死亡、登録後の投薬内容の変化についても登録を行う。
結果と考察
平成20年3月11日現在で、後向き調査研究では784例の登録を得ており、目標症例数の500例をすでに到達した。後向き調査研究の症例登録は今年度で終了し、平成20年度に探索的な解析を行う。前向き調査研究の症例登録は平成19-21年度にかけて行う予定であり、初年度にあたる今年度の症例登録は平成20年3月11日現在で118例となっており、こちらでも初年度の目標症例数の100例を達成した。
結論
本研究は、日本人高齢者における大動脈弁硬化の一次予防、発症後の治療介入指針の確立に寄与し、高齢化社会を迎えるわが国における社会福祉の向上と医療費抑制に貢献することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2008-03-31
更新日
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