文献情報
文献番号
200722046A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒスタミンと心不全の関連についての検討-H2レセプターブロッカーは心不全を改善するか
研究課題名(英字)
-
課題番号
H19-循環器等(生習)-一般-012
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
北風 政史(国立循環器病センター臨床研究開発部)
研究分担者(所属機関)
- 筒井 裕之(北海道大学大学院医学研究科)
- 和泉 徹(北里大学医学部)
- 安村 良男(大阪医療センター循環器科)
- 佐々木 達哉(大阪南医療センター循環器内科ー)
- 松原 広己(岡山医療センター循環器内科)
- 白木 照夫(岩国医療センター生活習慣診療部)
- 海北 幸一(熊本大学大学院医学薬学研究部)
- 宮尾 雄治(熊本医療センター循環器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
41,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
「ヒスタミンH2レセプターブロッカー」に関しては循環器分野においてQT延長をきたす副作用の報告はあるものの、心不全との関連を報告した研究はほとんど知られていない。これまでの予備的検討において、すでに市販・臨床応用されているかかる薬剤を使用することが、心不全の管理にも大きな影響を及ぼすと考えられる。本研究ではヒスタミン刺激と心筋代謝障害・心不全とのかかわりを明確にし、さらに基礎的にそのメカニズムを解析し、加えて臨床的に多施設薬剤の効果確認試験を施行することにより心不全の病態に対するヒスタミンの関わりを明らかにすることを目的とする。
研究方法
本研究では、下記の検討により心筋障害のメカニズムを解明する。
①マウス心不全モデルにおけるヒスタミンH2レセプターブロッカーの心不全予防効果の検討
②成犬ペーシング不全モデルにおけるヒスタミンH2レセプターブロッカーの心不全予防効果の検討
③糖尿病マウスを利用したマウス心筋代謝における長期間高血糖による心筋障害とヒスタミン関連の検討
④多施設共同臨床試験によるH2ブロッカーの心不全に対する効果およびそのメカニズムの検討
上記④の臨床試験に関しては、プロペンシティー解析を用いた検討を多施設共同で行うプロトコルを作成し、症例の登録を開始している。
①マウス心不全モデルにおけるヒスタミンH2レセプターブロッカーの心不全予防効果の検討
②成犬ペーシング不全モデルにおけるヒスタミンH2レセプターブロッカーの心不全予防効果の検討
③糖尿病マウスを利用したマウス心筋代謝における長期間高血糖による心筋障害とヒスタミン関連の検討
④多施設共同臨床試験によるH2ブロッカーの心不全に対する効果およびそのメカニズムの検討
上記④の臨床試験に関しては、プロペンシティー解析を用いた検討を多施設共同で行うプロトコルを作成し、症例の登録を開始している。
結果と考察
本年度は、基礎研究の「成犬ペーシング不全モデルにおけるヒスタミンH2レセプターブロッカーの心不全予防効果の検討」において、イヌ心不全がヒスタミンH2レセプターブロッカーの投与により軽減することを確認すると同時に、かかる効果発現のメカニズムとして想定されていた心筋細胞内cAMPレベルがヒスタミンH2レセプターブロッカーの投与により実際に減少することが確認された。(2007年度アメリカ心臓病学会発表)また、臨床研究の「多施設共同臨床試験によるH2ブロッカーの心不全に対する効果およびそのメカニズムの検討」においては、プロペンシティー解析を用いた検討を多施設共同で行うプロトコルを作成し、参加各施設の倫理委員会にて審議を行い、症例登録を開始した。集積された症例に対して中間解析したところ、心不全症例においてかかる薬剤が、再入院の回数を減少させる可能性が示唆された。
結論
「ヒスタミンH2レセプター遮断薬」が臨床的、基礎医学的に心不全の病態を改善することが再確認された。加えてかかる改善には心筋細胞内のcAMPが関与することが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2008-05-12
更新日
-