筋肉の量的、質的維持がメタボリックシンドロームの予防に及ぼす効果に関する研究-具体的な筋力トレーニングプログラムの開発-

文献情報

文献番号
200722032A
報告書区分
総括
研究課題名
筋肉の量的、質的維持がメタボリックシンドロームの予防に及ぼす効果に関する研究-具体的な筋力トレーニングプログラムの開発-
課題番号
H18-循環器等(生習)-若手-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
田辺 解(筑波大学大学院 人間総合科学研究科スポーツ医学専攻)
研究分担者(所属機関)
  • 久野 譜也(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
  • 前田 清司(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は中年者を対象として筋力トレーニング(Tr)による筋肉の質的・量的変化がメタボリックシンドローム(MS)のリスクに及ぼす影響を明らかにし、MS予防のための具体的運動プログラムを開発することを目的として計画され、次の二つの課題について検討を行った。
 課題1のMS予防のための筋力・筋量の基準の作成では、中年者における筋量、及び筋力がMSに及ぼす影響について検討し、最終的には筋量、及び筋力の基準値を設定することを目的とした。課題2のMS予防のための具体的な筋力Trプログラムの開発では、保健指導現場等で実際に実施されるMS解消又は予防のための運動指導を想定した上で、筋力TrがMS予防や解消に及ぼす影響を検討し、MS予防のための具体的な筋力Trプログラムを開発することを目的とした。
研究方法
 課題1では、健康な中年者359名を対象として、日本人のMS診断基準に基づき、MS群、予備群、非該当群に分類した。筋量の指標にはインピーダンス法で評価した全身筋肉量、筋肉率、MRIで測定した大腿筋と大腰筋の横断面積(CSA)を、筋力の指標には等速性下肢筋力、上体起こし回数などを用い、これらの筋量と筋力をMS群、予備群、非該当群で比較した。
 課題2では、中年女性121名を対象とし、食事制限群、持久性Tr群、筋力Tr群、持久性Trと筋力Trの両方を行う群、及び対照群に分類した。なお、運動Trを実施する群は、食事制限と身体活動量の増加を運動Trと並行して行った。12週間の介入前後にMS関連因子、及び課題1で測定したものと同様の筋量と筋力を測定した。
結果と考察
 課題1で、体重あたりの筋量、筋CSA、筋力は、非該当群に比べてMS群や予備群でより低い値であったことから、MS予防において筋の量的・質的維持の重要性が示唆された。
 課題2について、食事制限を伴う運動介入が、メタボリックシンドロームに及ぼす影響について、筋肉率や体重あたりの筋横断面積の増加とMS因子の改善に関係性が認められたことから、体重に対する筋量の割合の維持、増加はMS予防に重要である可能性が示唆された。また、食事による減量に伴い筋量の減少が認められた。
結論
 3年計画の2年目である本年度の研究成果は、最終的な目的の達成に向けて重要な基礎資料となったと言える。最終年度においてはMS予防のための筋量・筋力の基準値及び具体的筋力Trプログラムを提示する。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
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