幼児期・思春期における生活習慣病の概念、自然史、診断基準の確立及び効果的介入方法に関するコホート研究

文献情報

文献番号
200722030A
報告書区分
総括
研究課題名
幼児期・思春期における生活習慣病の概念、自然史、診断基準の確立及び効果的介入方法に関するコホート研究
課題番号
H18-循環器等(生習)-一般-049
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
吉永 正夫(国立病院機構鹿児島医療センター 循環器・がん専門施設 小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 徳田 正邦(徳田こどもクリニック)
  • 花木 啓一(鳥取大学医学部保健学科 母性・小児家族看護学講座)
  • 内山 聖(新潟大学大学院医歯学総合研究科 内部環境医学講座 小児科学分野)
  • 伊藤 善也(日本赤十字北海道看護大学基礎科学講座 小児科学)
  • 岡田 知雄(日本大学医学部 小児科)
  • 城ヶ崎 倫久(国立病院機構鹿児島医療センター 循環器・がん専門施設 臨床研究部)
  • 堀米 仁志(筑波大学大学院人間総合科学研究科 臨床医学系小児科)
  • 大関 武彦(浜松医科大学 小児科学)
  • 馬場 礼三(愛知医科大学 小児科学)
  • 原 光彦(東京都立広尾病院 小児科)
  • 篠宮 正樹(医療法人社団 西船内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
22,748,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児の肥満形成期である幼児期と思春期を対象に包括的データ収集を行い、個々の生活習慣病(内臓肥満、高血圧、脂質代謝異常、耐糖能異常)の概念、自然史、頻度、病態を解明し、診断基準を確立すること
研究方法
本年度は3か年計画の第2年目の研究として、幼児期および高校生のボランティアを対象に生活習慣病検診行い、個々の生活習慣病についてデータ集積を行った。1万8千人を超す幼児期の生活習慣に関する全国的調査も行なった。
結果と考察
1) 思春期の個々の生活習慣病に関する基準値(暫定値)を作成した。決定された基準値は現在成人領域で用いたれている値よりかなり低い値であった。
2) 収縮期高血圧、肥満、肝機能異常は思春期の血管弾性指標を悪化させる因子であった。
3) 思春期の個々の生活習慣病集簇の予測因子としてレプチン高値が最も強い予測因子であった。男子は女子より有意に個々の生活習慣病の集簇が進んでいた。
4) 本人・母の朝食欠食、保護者のsedentary styleは高校生の肥満、高血圧、HDL-コレステロール低値の危険因子であった。
5) 思春期の血圧、肥満は6歳時の血圧、肥満と関連を有していた。
6) 幼児期生活習慣病に関する基準値作成が可能になった。幼児期においても血液凝固線溶系が生活習慣病発症に密接に関与していた。
7) 18,241名の幼児期生活習慣に関するアンケートを収集した。幼児のBMI値は父のBMI値と有意に相関し、母のBMI値とは相関していなかった。
結論
思春期(高校生)においては包括的なデータ収集ができ、個々の生活習慣病の基準値(暫定値)が作成でき、また思春期生活習慣病の病態、概念、自然史がかなり正確に判明できた。最終年度までに合計1,500名程度に対象を増加させ、最終的な診断基準の確立と生活習慣病の一次・二次予防のガイドライン作成を行なうことが可能になった。
幼児期の生活習慣アンケートは全国から1万8千人規模で収集でき、現時点での幼児と保護者の生活習慣を詳細に検討することが可能になった。思春期および幼児期のデータから、幼児期からの生活習慣病予防が重要であることが判明した。本研究により、小児への保護者の影響は父親の影響が母親と同等、あるいは特定の生活習慣病に関しては父親の生活習慣の関与が大きいことが示された。幼児期生活習慣病予防に関しては、幼児だけでなく、父親、母親が参加できる生活習慣病検診の促進を図り、思春期同様の成果を挙げる必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
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